Gemini 3.8 Flash TTSとは|音声生成の料金・言語・声の選び方

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📅 公開日: 2026年10月2日

Gemini 3.8 Flash TTSは、Gemini APIで使えるテキスト読み上げ(TTS)用のモデルです。Google AI for Developersのリリースノート(英語版)では、2026年9月22日の項目に「Gemini 3.8 Flash TTS and Gemini 3.8 Flash-Lite TTS generally available (GA)」と書かれています。つまり一般提供(GA)として案内された音声生成モデルです。モデルIDはgemini-3.8-flash-ttsで、同時に軽量版のgemini-3.8-flash-lite-ttsも一般提供になりました。

この記事では、音声生成を業務に組み込みたい人が最初に知っておきたい点を、公式ページの文言に沿って整理します。扱うのは、2モデルの違い、入出力の仕様、対応言語、声の選び方、スタイル指示の書き方、出力形式、料金、旧プレビュー版からの移行、導入前の確認項目です。取得日は2026年9月30日で、参照した英語版ガイドの最終更新表記は「Last updated 2026-09-24 UTC」でした。仕様や料金は変わるため、実装前に、各公式ページで現行の表記を確かめてください。

先に結論をまとめます。台本を正確に読み上げさせる用途で、表現力と方言対応を優先するならFlash TTS、大量処理や音声エージェントの応答用で費用と速度を優先するならFlash-Lite TTSが公式の想定です。どちらもテキストだけを受け取り、音声だけを返します。会話しながらリアルタイムに応答させたい場合はLive APIという別の仕組みを使います。

目次

Gemini 3.8 Flash TTSとは|一般提供になった音声生成モデル

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Gemini 3.8 Flash TTSは、書いたテキストを指定どおりの声・口調で音声にするためのGemini APIのモデルで、2026年9月22日のリリースノートで一般提供(GA)として案内されています。

リリースノート(英語版、日本語版)の説明によると、Flash TTSは「スタジオ品質の音声忠実度、ニュアンスのある演技、地域の方言、長文のマルチターン安定性」を目指して設計されたクリエイティブ向けのフラッグシップです。英語版の原文は「Flagship creative TTS model engineered for studio-grade voice fidelity, nuanced acting, regional dialects, and long-form multi-turn stability.」で、日本語版もほぼ同じ意味の訳になっています。

このリリースでは、モデル2つに加えて、音声を管理するためのVoicesエンドポイント(/v1beta/voices)も一般提供として並んで案内されました。音声デザイン(Voice design)、音声複製(Voice replication)、拡張音声ライブラリ(Extended Voice Library)という3つの仕組みが、このエンドポイントを軸に使えるようになっています。

ここで押さえたいのは、TTSは「台本をそのまま読ませる」ための機能だという点です。英語版のTTSガイド(Text-to-speech generation)は、TTSを、正確なテキストの読み上げと、スタイルや音の細かな制御が要る場面(ポッドキャストやオーディオブックの生成など)に向いたものと位置づけています。モデルが台本の内容を考えて話し方を決める機能ではなく、与えた文章を指定した声と調子で音声にする機能です。

Flash TTSとFlash-Lite TTSの違い|どちらを選ぶか

公式ページの整理では、Flash TTSは表現力と忠実度を最優先にする作品づくり向け、Flash-Lite TTSは大量処理・低遅延・低コスト向けで、旧プレビュー版gemini-3.1-flash-tts-previewの置き換え先とされています。

2モデルは同じAPIの形式とプロンプトの書き方を共有しており、公式のモデルページ(Flash TTS、Flash-Lite TTS)が同じAPI形式とプロンプト構造を共有すると説明しています。TTSガイドは、パラメータ1つの変更で切り替えられると書いています。選ぶ基準は次の表のとおりです。内容はTTSガイドの「When to use which model」に基づいています。

比較の観点 Gemini 3.8 Flash TTS Gemini 3.8 Flash-Lite TTS
モデルID gemini-3.8-flash-tts gemini-3.8-flash-lite-tts
公式が示す主な強み 音声の忠実度、演技のニュアンス、方言への対応 高いスループット、低遅延、費用対効果
公式が挙げる向いた用途 オーディオブック、スタジオ品質のナレーション、複雑な複数話者の対話、難しい発音、地域・少数方言、長い朗読 大量生産、リアルタイム音声エージェントのカスケード構成、読み上げ機能、音声複製、日常的な単一話者の音声
対応言語数(表記) 130以上 100以上(モデル一覧の説明文では101言語)
音声デザイン・音声複製 対応 対応
位置づけ 新しい上位のクリエイティブ向け gemini-3.1-flash-tts-previewの置き換え先

使い分けの目安は単純です。声の芝居や方言の再現度が成果物の価値を左右するなら上位のFlash TTS、話す内容が定型的で本数や回数が多いならFlash-Lite TTSから試す、という順序が公式の説明と合います。ただし「どちらが自分の用途で聞き取りやすいか」は、実際に短い台本で聞き比べてから判断してください。公式は、実装前にGoogle AI Studioでモデルを試せることも案内しています。

入出力・上限・対応言語|テキストだけを受け取り音声だけを返す

Gemini 3.8 TTSの2モデルは、入力はテキストのみ、出力は音声のみで、モデルページ上の入力トークン上限は8,192、出力トークン上限は16,384(Gemini APIの提供上の上限)と記載されています。

モデルページ(gemini-3.8-flash-tts)の仕様欄には、対応データ型として入力がText、出力がAudio、トークン上限が入力8,192・出力16,384と書かれています。TTSガイドも「TTS models accept text-only inputs and produce audio-only outputs.」と明記しています。画像や音声ファイルを渡して読み取らせる用途には使えません。

同じモデルページの機能欄では、Audio generation、Caching(コンテキストキャッシュ)、Batch API、Flex inference、Priority inferenceが「Supported」、Code execution、File search、Function calling、Grounding with Google Maps、Image generation、Live API、Search grounding、Structured outputs、Thinking、URL contextが「Not supported」と表示されています。Flash-Lite TTSのモデルページも同じ並びです。ツール呼び出しや構造化出力を組み合わせる設計は、TTSモデルの上では前提にしないほうが安全です。関数呼び出しや構造化出力そのものは、別の対応モデルで扱う話になります。関連する仕組みは関数を呼び出させる仕組みの基本とJSON形式で出力させる方法で確認できます。

対応言語について、TTSガイドは「The TTS models detect the input language automatically.」と説明しています。言語を指定する必要はなく、入力した文章の言語が自動で判別されます。対応数は、Flash TTSが130以上、Flash-Lite TTSが100以上です。日本語は、英語版ガイドの対応言語表で両モデルにチェックが付いています。日本語版ガイドにも同じ数(130以上・100以上)が書かれており、英語版と日本語版で食い違いはありませんでした。一方、Flash-Lite TTSでは対応していない言語(表でハイフン表示の言語)もあるため、日本語以外の言語を扱う場合は言語表で個別に確かめてください。

モデルの一覧ページ(Models)では、Flash TTSは「130 languages」、Flash-Lite TTSは「101 languages」と表記されています。ガイド本文の「over 100」とは書き方が違うだけで、矛盾ではありません。ただし、正確な数字を記事や社内資料に書く場合は、どのページの表記を根拠にしたかを併記しておくのが無難です。

声の選び方|プリビルド音声・拡張ライブラリ・音声デザイン・音声複製

Gemini 3.8 TTSでは、声を「プリビルド音声」「拡張音声ライブラリ」「音声デザイン」「音声複製」の4通りで選ぶか作ることができ、後ろの2つはカスタム音声としてvoice_...形式のIDで再利用します。

TTSガイド(英語版)は、声の入手方法を次の4つに分けています。

方法 公式の説明 指定する値の例
プリビルドのスタジオ音声 厳選された30種類の音声が表に掲載されている Kore、Puckなどの名前
拡張音声ライブラリ 言語・アクセント・キャラクターに応じた追加の音声。GET /v1beta/voicesで検索できる 一覧から選んだ音声
音声デザイン 自然言語の説明から、永続するカスタム音声を作る。AI StudioまたはPOST /v1beta/voices(type=prompted)で作成 voice_…
音声複製 参考音声と同意音声から声を複製する。AI StudioまたはPOST /v1beta/voices(type=replicated)で作成 voice_…、または保存しない場合のvoicekey_…

プリビルド音声の数は、ガイドの表に「Zephyr — Bright」「Puck — Upbeat」「Kore — Firm」のように、名前と声質を組にして30種類並んでいます。声質の語は英語表記で、日本語の話者名ではありません。日本語の台本をどの声で読ませると聞き取りやすいかは、短い文章で試して選んでください。

音声の総数については、公式ページ間で書き方が異なります。リリースノート(英語版)は「150+ prebuilt and custom voices」と書き、TTSガイドは拡張音声ライブラリを「Hundreds of additional voices」と表現しています。数え方(プリビルドのみか、カスタム音声を含むか、追加分のみか)が違う可能性があり、どちらが正確とも断定できません。件数を記事や提案書に載せる必要があるなら、両方のURLを示すか、件数を書かずに「多数の音声から選べる」と表現するのが安全です。

拡張音声ライブラリは、voices.list()(REST ではGET /v1beta/voices)で検索できます。TTSガイドの絞り込みパラメータ表によると、言語コード、地域コード、アクセント、性別の印象(female・male・neutral)、声の高さ(low・medium・high)、ペルソナ、利用文脈(Audiobook・Conversational・Newsなど)、音声の種類(prebuilt・prompted・replicated)、自由入力の検索語で絞り込めます。1ページの取得件数は既定が50、最大が1,000です。同じ条件の中で複数の値を渡すとOR、異なる条件同士はANDで組み合わされます。

カスタム音声には保存の上限があります。TTSガイドと音声デザインのページによると、保存する(store=True)音声は1プロジェクトあたり200個までで、音声デザインで作った声と音声複製で作った声の合計です。保存期間(TTL)は1年です。保存しない(store=False)音声複製ではvoicekey_で始まる鍵が返り、アプリ側で保管し、鍵の有効期間は7日と書かれています。長く使う声はstore=Trueで保存し、期限や上限を管理表に記録しておくと、運用中に声が使えなくなる事態を避けられます。

音声複製には、人の音声を扱うための条件がついています。音声複製のページによると、作成には同じ成人話者による2つの実際の録音が必要です。1つは10〜30秒の自然で明瞭な参考音声(source_audio)、もう1つは所定の同意文を読み上げた同意音声(consent_audio)です。推奨形式は24kHz・モノラル・16ビットのWAVと書かれています。同意文の英語の原文は「I am the owner of this voice and I consent to Google using this voice to create a synthetic voice model.」で、声の持ち主本人の同意が前提の仕組みです。同意文は、公式ページが挙げる30の言語ロケールのいずれかで読み上げる必要があり、日本語(ja-JP)の同意文も掲載されています。参考音声と同意音声は、話者の照合が成功しやすいよう、同じマイク・同じ録音環境で録ることが勧められています。

スタイル指示とインラインタグ|speech_metadataの使い分け

Gemini 3.8 TTSは入力テキストを台本そのもの(逐語の書き起こし)として扱うため、話し方の指示はspeech_metadataに、笑いや間などその場限りの出来事は山かっこのタグに分けて書くのが公式の作法です。

TTSガイド(英語版)によると、Gemini 3.8 TTSは「treats the text field strictly as a verbatim transcript」、つまりtextフィールドを逐語の台本として扱います。「明るく言ってください:こんにちは」のような指示文をtextに混ぜると、指示まで読み上げられるおそれがあると、モデルページの移行ガイドにも書かれています。指示は、その適用範囲で置き場所を分けます。

範囲 置き場所 公式ページに載っている例
そのターン全体に続く話し方(感情・速さ・声の高さ・音量) speech_metadata.style “whispered urgently”、”out of breath”、”warm and enthusiastic”
特定の位置で起きる非言語の音や間 台本の中の山かっこタグ <short pause>、<sigh>、<cough>、<breath>、<laugh>
話者の指定(複数話者のとき) speech_metadata.speaker 設定した話者名と一致させる

タグについては注意点があります。公式は、最高の音質のために山かっこ(<…>)を使い、人間の声による出来事(咳、ため息、息づかいなど)に限ることを勧めています。拍手や物音のような効果音のタグは避け、話し方はstyleに書くよう案内されています。間は、句読点や三点リーダー(…)、<short pause>と<long pause>の各タグ、ターン全体の速さ(”speaking rapidly”や”speaking slowly”)の3段階で調整できます。

途中で感情が変わる台本は、1つのターンに詰め込まず、ターンを分けてそれぞれ別のstyleを付けます。公式は、声の人格そのものは音声デザインで先に作っておき、styleはターンごとの微調整だけに使うことを勧めています。長い「役柄の説明」を毎回styleに書く方式から、声の設計を先に済ませて再利用する方式へ移ることが、3.8世代の考え方です。

ここで、仮の例を1つ示します。社内研修用の短い読み上げ台本を作る場面です。導入の一文は「落ち着いた、聞き取りやすい話し方」、注意事項の一文は「ゆっくり、はっきりと」のようにstyleを分け、文と文の間に<short pause>を入れます。これは仮の例であり、実際の聞こえ方は選んだ声と文章によって変わるため、公開前に耳で確かめてください。

単一話者と複数話者の組み立て方

単一話者はgeneration_config.speech_configに声を1つ指定し、複数話者はspeakersに話者と声の組を並べ、各ターンにspeakerを明記します。1回のリクエストで扱える複数話者はプリビルド音声で2人までです。

TTSガイドの単一話者の例(Interactions API)では、モデルにgemini-3.8-flash-ttsを指定し、入力の中のtype: "user_input"のコンテンツにtextを置き、annotationsでtype: "speech_metadata"とstyleを付けます。出力にはresponse_format={"type": "audio"}を指定し、声はgeneration_config.speech_configで{"voice": "Kore"}のように書きます。返ってきた音声は、PythonとJavaScriptのSDKではinteraction.output_audioという便利プロパティから取り出せます。REST の生のJSONでは、steps[].content[].dataにbase64符号化された音声が入ります。

複数話者では、speech_configに"mode": "conversational"とspeakers(例:Joeに声Puck、Janeに声Kore)を設定し、各ターンのspeech_metadataにspeakerを書きます。公式の移行ガイドは、複数話者のリクエストでは「Every turn … must explicitly include speaker」、すなわちすべてのターンに設定済みの話者名を指定するよう求めています。1つでも話者の指定を欠くと期待どおりに割り当てられない可能性があるため、台本を作る段階で全ターンの話者名を機械的に検査しておくと安心です。

制限も確認しておきます。TTSガイドの「Limitations」によると、1回のリクエストで複数話者(speech_config.speakers)を扱えるのは、プリビルド音声を使う場合の2人までです。音声デザインや音声複製で作ったカスタム音声を複数の登場人物の対話に組み合わせるには、話者ごとにターンを個別に合成し、あとで結合する必要があります。その際、単発リクエストの既定出力はRIFFヘッダー付きのWAVなので、生のPCM(audio/l16)を指定するか、各ターンのWAVヘッダーを取り除いてから、24kHzのPCMフレームをつなぎます。ヘッダー込みのWAVをそのまま結合すると、途中に不要なデータが混ざる点に注意してください。

出力形式とストリーミング|WAV・PCM・mu-law・A-law

Gemini 3.8 TTSの既定の出力は、通常のリクエストではヘッダー付きのWAV(audio/wav)、ストリーミングではヘッダーなしの生PCM(audio/l16)で、どちらも24kHz・モノラル・16ビットの符号付きリトルエンディアンPCMです。

TTSガイド(英語版)の「Audio output formats」によると、出力は次のとおりです。response_formatのmime_typeと、任意のsample_rate(例:24000、16000、8000)で変更できます。

形式 mime_type 公式の説明
WAV(通常リクエストの既定) audio/wav RIFFヘッダー付きの非圧縮WAV。16ビットPCM、モノラル、既定24kHz
生PCM(ストリーミングの既定) audio/l16 ヘッダーなしの16ビットリニアPCM(24kHz、モノラル)
mu-law audio/mulaw 8ビットG.711 mu-law。北米や日本の電話・IVRで一般的と説明されている
A-law audio/alaw 8ビットG.711 A-law。欧州や国際的な電話で一般的と説明されている

この既定値は、旧プレビュー版と違う点です。ガイドの移行の項によると、gemini-3.1-flash-tts-preview以前のTTSは、通常のリクエストでもヘッダーなしの生PCM(audio/l16)を返していました。3.8では既定でWAVが返るため、以前に生PCMへ自分でWAVヘッダーを付けていたコードは、そのヘッダー付与処理を外して、返されたバイト列をそのまま.wavファイルに保存する形に直します。電話回線向けにmu-lawやA-lawが要る場合は、response_formatで明示します。

ストリーミングについては、Interactions APIでstreamを有効にすると、生PCMのチャンクが順に届きます。チャンクにはコンテナのヘッダーが付かないので、再生側でつなぎ合わせて流せます。長文の読み上げで、全部の生成を待たずに再生を始めたい場合に使います。なお、旧プレビュー版のストリーミング対応は2026年6月17日のリリースノートに記載があります。3.8で使える形式や既定値は、この記事で引いた最新のガイドを基準に確認してください。

料金|Standard・Batch・Flex・Priorityの単価と2027年1月の切り替わり

Gemini 3.8 Flash TTSとFlash-Lite TTSの料金は100万トークンあたりの米ドルで示され、2026年12月31日までと2027年1月1日以降で単価が異なり、Standardには無料枠、Batch・Flexには無料枠がない(Not available)と表示されています。

料金の根拠は公式のGemini Developer API pricing(英語版)で、取得日は2026年9月30日、表示通貨は米ドル、Paid Tierの単価です。どのモデルも、入力はテキストのトークン、出力は音声のトークンに課金されます。音声のトークン換算は、同ページの注記で「25 tokens per second of audio」(音声1秒あたり25トークン)と書かれています。下表はStandardの単価です。

モデル 入力(テキスト、100万トークンあたり) 出力(音声、100万トークンあたり) 公式が併記する音声10秒あたりの目安
Flash TTS(〜2026年12月31日) $0.50 $9.00 $0.00225
Flash TTS(2027年1月1日〜) $1.00 $18.00 $0.0045
Flash-Lite TTS(〜2026年12月31日) $0.50 $6.00 $0.0015
Flash-Lite TTS(2027年1月1日〜) $1.00 $12.00 $0.003

同じ料金ページには、処理方式ごとの単価もあります。Flash TTSのBatchは入力$0.25・出力$4.50、Flexも同じ単価で、どちらも2026年12月31日までの表示です。2027年1月1日以降はBatchとFlexとも入力$0.50・出力$9.00です。Priorityは、〜2026年12月31日が入力$0.90・出力$16.20、2027年1月1日〜が入力$1.80・出力$32.40です。Flash-Lite TTSは、Batchが入力$0.25・出力$3.00(2027年1月1日以降は入力$0.50・出力$6.00)、Flexも同じ、Priorityが入力$0.90・出力$10.80(2027年1月1日以降は入力$1.80・出力$21.60)と表示されています。コンテキストキャッシュの単価や保管料も、同ページに別項目で載っています。

無料枠は、StandardのFree Tier列に「Free of charge」と表示されています。一方、Free Tierでは「Used to improve our products」が「Yes」と表示され、有料枠では「No」です。機密性のある台本を送る用途では、無料枠の扱いを確認してから使うかどうかを決めるのが安全です。BatchとFlexのFree Tier列は「Not available」で、無料では使えません。

2026年12月31日を境に、同じモデルの単価が切り替わる点は、予算化するときに見落としやすい点です。Flash TTSの出力は$9.00から$18.00へ、Flash-Lite TTSの出力は$6.00から$12.00へ、いずれも2倍の表示です。年をまたいで運用する場合は、2027年1月1日以降の単価で試算しておくと、後から想定を超える事態を避けられます。旧プレビュー版のGemini 3.1 Flash TTS Previewは、Standardの表示で入力$1.00・出力$20.00です。3.8の2モデルの出力単価は、どちらの期間の表示でもこの$20.00を下回っています。料金の全体像はGemini APIの料金の見方、割引の考え方は非同期処理で費用を抑える方法、繰り返し使う入力の扱いは入力を再利用して費用を抑える仕組みでも整理しています。

料金の見積もり方|音声の長さからトークンと金額を計算する

出力の料金は「音声の秒数 × 25トークン ÷ 100万 × 出力単価」で計算でき、テキスト入力分の料金は別に加わります。

音声1秒が25トークンという換算は、料金ページの注記にあります。この換算を使えば、生成したい音声の長さから、出力側の費用の目安を出せます。次の表は、Flash TTSのStandardの単価(〜2026年12月31日は100万トークンあたり$9.00、2027年1月1日〜は$18.00)にこの計算を当てはめた仮の例です。長さの違うナレーションを想定した架空の数字で、実際の請求額ではありません。入力のテキストトークンの料金は含んでいません。

音声の長さ(仮の例) 出力トークン数(25トークン/秒で計算) 〜2026年12月31日の出力側費用 2027年1月1日〜の出力側費用
10秒 250 約$0.00225 約$0.0045
1分 1,500 約$0.0135 約$0.027
10分 15,000 約$0.135 約$0.27

10秒の行の値は、料金ページが「Equivalent to $0.00225 per 10s audio」と併記している数字と一致します。1分と10分の行は、この10秒あたりの目安に倍数を掛けた計算です。ここに、台本のテキストを入力として送るトークンの料金が加わります。日本語のテキストが何トークンになるかは、実際にトークン数を数える機能で測ってから見積もってください。日数や本数が多いほど、この差は積み上がります。

見積もりの考え方は、次の順序が使いやすいです。まず、1回で作る音声の長さの見込みを出し、出力トークンを計算します。次に、台本のテキストのトークン数を測って入力側を足します。最後に、処理方式(Standard、Batch、Flex、Priority)ごとの単価を掛けて、期間(2026年12月31日まで/2027年1月1日以降)ごとに並べます。音声を確認するための試し聞きや、聞き直しによる再生成も回数に含めておくと、実際の請求と見積もりのずれが小さくなります。

Live APIやNotebookLMの音声との違い|どの仕組みを選ぶか

TTSは台本を正確に音声化する非対話型の機能で、リアルタイムに聞き返しながら会話するLive APIや、資料から音声要約を作るNotebookLMとは目的が異なります。

公式ガイドは、TTSをLive APIで行う音声生成と区別しています。英語版ガイドの表現では、Live APIは「interactive, unstructured audio, and multimodal inputs and outputs」(対話的で構造化されていない音声と、複数モードの入出力)向けで、TTSは正確なテキストの読み上げと細かなスタイル制御が要る場面向けです。TTSモデルのモデルページでもLive APIは「Not supported」と表示されています。ライブで話しかけて応答を受ける用途にTTSモデルを使うことはできません。ライブ対話の仕様や料金は、リアルタイムの音声対話を扱う仕組みの記事で整理しています。

やりたいこと 向いた仕組み 理由
用意した台本を、指定した声と口調でそのまま音声にする Gemini 3.8 TTS(Flash TTSまたはFlash-Lite TTS) 入力はテキスト、出力は音声で、台本を逐語で読み上げる設計
話しかけに対して、その場で音声で応答させる Live API ガイドが、対話的な音声はLive API側と区別している
資料や調べものの要点を、音声で聞ける形にまとめる NotebookLMの音声概要 資料を読み込んで要約する消費者向けの機能。API とは別の枠組み
文章の中身を考えさせたうえで、その結果を音声化する テキスト生成モデルで台本を作り、TTSで音声化する TTSは台本を作らないため、前段の生成と後段の音声化を分ける

公式のTTSガイドには、台本を別のGeminiモデル(gemini-3.8-flash)で生成してから、その文章をTTSに渡す例も載っています。台本づくりと音声化を別々の呼び出しにする考え方は、文章の品質確認と音声の品質確認を切り分けられる利点があります。モデルの特徴は同じ世代のFlashモデルの解説を、消費者向けの音声要約はNotebookLMの基本的な使い方を参考にしてください。

旧プレビュー版からの移行|変更が必要な点

gemini-3.1-flash-tts-previewなど旧TTSモデルから3.8へ移るときは、指示の置き場所、話者の指定、既定の出力形式の3点を見直すのが、公式の移行ガイドの要点です。

モデル一覧ページ(Models)は、Gemini 3.1 Flash TTSを「Legacy text-to-speech preview model」と表示し、Gemini 3.8 Flash TTSまたはFlash-Lite TTSへの更新を勧めています。なお、TTSガイドの対応モデル表では、Gemini 2.5 Pro Preview TTSとGemini 3.1 Flash TTS Previewは単一話者と複数話者に対応し、音声デザインと音声複製には対応していません。3.8の2モデルは、4つの機能すべてに対応しています。

移行で見直す項目は、TTSガイドとモデルページの移行ガイドで、次のように整理されています。

見直す項目 旧モデルでの書き方 3.8での書き方(公式の案内)
話し方の指示 台本の文中に演出指示を書く speech_metadata.styleに移す。台本のtextには読み上げる文だけを置く
話者の指定 文中のラベルで区別する 各ターンのspeech_metadataにspeakerを書き、設定済みの話者名と一致させる
非言語の音 文章での描写 山かっこのタグ(<laugh>、<sigh>、<short pause>など)を、その位置にだけ使う
役柄の設定 長い説明をプロンプトに毎回書く 音声デザインで声を先に作り、IDを再利用する
出力形式 通常リクエストでも生PCMが既定 通常リクエストは既定でWAV。生PCMやmu-law、A-lawは明示する

移行の進め方としては、まず短い台本で旧モデルと3.8の出力を聞き比べ、次にspeech_metadataへの書き換えを1つずつ反映する順序が現実的です。ヘッダー処理の変更のように、失敗すると音声が壊れる箇所は、保存したファイルを再生して確かめる工程を入れてください。旧プレビュー版の提供終了の日付は、この記事で参照した公式ページには見当たりませんでした。廃止の予定が公表されたかどうかは、リリースノートで最新の項目を確認してください。

導入前に確認したいチェックリスト

導入前には、用途の適合、言語、声の権利、出力形式、費用、運用上の管理の6点を公式ページと照らして確認すると、後戻りを減らせます。

ここまでの内容を、実装に入る前の確認項目としてまとめます。すべて、この記事で引用した公式ページ(TTSガイド、料金ページ、モデルページ)で確かめられる内容です。

確認項目 確認する内容 参照するページ
用途の適合 台本の読み上げか、対話か。TTSは入力テキスト・出力音声のみ TTSガイド、モデルページ
言語 使う言語が、選んだモデルの対応言語表にあるか(Flash-Liteは一部非対応の言語あり) TTSガイドの対応言語表
声の権利 音声複製は本人の同意音声が必要。公開範囲・利用目的の社内ルールを決める 音声複製のページ
出力形式 WAV、生PCM、mu-law、A-lawのどれが必要か。既定値の違いに注意 TTSガイドの出力形式の項
費用 処理方式ごとの単価と、2027年1月1日以降の単価で試算したか 料金ページ
運用管理 カスタム音声の上限(200個)と保存期間(1年、鍵は7日)を管理表に記録したか TTSガイド、音声デザイン・音声複製のページ

チェックリストの各項目は、担当者を決めて、確認した日付とURLを残しておくと、公式の更新があったときに差分を追いやすくなります。特に料金と対応言語は変わりやすい項目です。定期的に見直す運用にしておくと、記事や社内資料の記載が古くなるのを防げます。

台本の事実確認は、音声化の前に済ませます。TTSは台本を正確に読むだけで、内容が正しいかどうかは判断しません。台本の作成をAIに任せる場合でも、事実や数字は公式の情報と照合してから音声にします。固有名詞や数字の読み、英単語の発音は、公開前に人が耳で聞いて確かめてください。複数人で運用するときは、話者名の表記を統一し、styleを短い定型語にそろえると、修正箇所を見つけやすくなります。文章生成側の準備は、Google AIの使い方の全体像も参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. Gemini 3.8 Flash TTSはいつ一般提供になりましたか。
Google AI for Developersのリリースノート(英語版)では、2026年9月22日の項目でGemini 3.8 Flash TTSとGemini 3.8 Flash-Lite TTSが一般提供(GA)になったと記載されています。日本語版の同じ日付の項目にも同じ内容が載っています。
Q2. 日本語の読み上げに対応していますか。
英語版のTTSガイド(Text-to-speech generation)の対応言語表で、Japaneseの行はFlash TTSとFlash-Lite TTSの両方にチェックが付いています。入力言語は自動で判別されるため、言語の指定は不要と説明されています。
Q3. 無料で試せますか。
2026年9月30日時点の料金ページでは、両モデルのStandardのFree Tier列が「Free of charge」と表示されています。ただしFree Tierでは入力内容が製品改善に使われると表示されているため、機密性のある台本には向きません。BatchとFlexには無料枠がありません。
Q4. 自分の声や他人の声を使えますか。
音声複製のページによると、同じ成人話者の10〜30秒の参考音声と、所定の同意文を読み上げた同意音声の2つが必要です。公式は、本人による同意音声を必須としています。同意を得られない他人の声を複製する用途には、この仕組みを使わないでください。詳細は音声複製の公式ページを確認してください。
Q5. 声の種類はいくつありますか。
公式ページ間で表記が異なります。TTSガイドはプリビルドのスタジオ音声を30種類とし、拡張音声ライブラリを「数百の追加音声」と表現しています。リリースノートは「150以上のプリビルド音声とカスタム音声」と記載しています。数え方が違う可能性があり、正確な総数は断定できません。
Q6. Live APIとどちらを使えばよいですか。
用意した台本を正確に音声化するならTTS、話しかけに応じてその場で音声応答させるならLive APIです。TTSモデルのモデルページではLive APIが「Not supported」と表示されているため、TTSモデルでライブ対話はできません。
Q7. 音声の料金はどう計算しますか。
出力は音声1秒あたり25トークンとして換算され、料金ページの単価(100万トークンあたり)が適用されます。入力のテキスト分は別に加わります。2026年12月31日までと2027年1月1日以降で単価が違うため、両方で試算してください。

まとめ|Gemini 3.8 Flash TTSを選ぶときの判断基準

Gemini 3.8 Flash TTSとFlash-Lite TTSは、2026年9月22日に一般提供となった、テキストから音声を作るためのモデルです。表現力と方言対応を重視するならFlash TTS、大量処理と費用を重視するならFlash-Lite TTSが、公式の整理に沿った選び方です。入力はテキスト、出力は音声のみで、ツール呼び出しや構造化出力、Live APIには対応していません。

実装では、話し方をspeech_metadata、間や息づかいを山かっこのタグ、話者を各ターンのspeakerに分けて書きます。通常リクエストの既定出力がWAVになった点は、旧プレビュー版からの移行で見落としやすい変更です。声は、プリビルド、拡張ライブラリ、音声デザイン、音声複製から選べ、カスタム音声には200個の上限と保存期間があります。音声複製は本人の同意音声が前提です。料金は、2026年12月31日を境に単価が切り替わるため、両方の期間で試算してください。

最後に、この記事の数値と仕様は2026年9月30日時点の公式ページに基づいています。実装や予算化の前に、各公式ページで最新の表記を確認してください。

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この記事を書いた人

株式会社S.Line 代表取締役。偏差値39から起業し、AIとSNSの活用で「普通の人」が成果を出す方法を発信。

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