Gemini 3.8 Liveとは|できること・料金・Live APIでの使い方

gmon logo
📅 公開日: 2026年10月10日

Gemini 3.8 Liveは、Gemini APIのLive APIで使う音声対話向けのモデルで、モデルIDはgemini-3.8-liveです。公式のモデル一覧では「Default Live API model for most low-latency voice agent experiences without reasoning delays」と説明され、「New」「Stable」のラベルが付いています。つまり、低遅延の音声エージェントを作るときに最初に検討する標準のモデル、という位置づけです。

この記事では、Gemini 3.8 Liveというモデル単体に絞って、できること、対応する入出力、Live APIとの関係、料金、制限、使い始め方、Gemini 3.8 Live Extended ThinkingやGemini 3.8 Flashとの使い分けを整理します。料金と制限は、取得日(2026年10月9日)と適用条件(Gemini APIの有料枠かどうか、単位は100万トークンあたりか1分あたりか)を添えて書きます。公式ページで確認できなかった項目は推測で埋めず、「公式ページで見つけられなかった」と明記します。

Live APIの仕組みそのもの(接続方式やセッション管理の全体像)は、既存記事のGemini Live APIとは|対応モデル・料金・セッション制限で扱っています。本記事はそちらと役割を分け、「Gemini 3.8 Liveを選ぶかどうか」の判断に必要な情報に集中します。

目次

Gemini 3.8 Liveとは|公式が示すモデルの位置づけ

【完全無料】AI×SNSで成果を出す100大特典を受け取る

AIの使い方を、SNS運用の実務につなげたい方へ。LINEで特典の案内を受け取れます。

【完全無料】AI×SNSで成果を出す100大特典を受け取る

Gemini 3.8 Liveは、Googleが公式モデル一覧で「ほとんどの低遅延な音声エージェント体験向けの標準Live APIモデル」と位置づけている、音声から音声へ応答するモデル(モデルID: gemini-3.8-live)です。

公式のモデル一覧の音声モデルの欄では、Gemini 3.8 Liveについて「The default option for most low-latency voice agent experiences and real-time dialogue without reasoning delays」と書かれています。キーワードは「低遅延」「リアルタイムの対話」「推論による遅延なし」の3つです。人が話しかけたらすぐ声で返す、という場面で待ち時間を短く保つことを優先したモデルだと読めます(要約は筆者によるもので、原文が正です)。

同じ一覧には、Gemini 3.8 Liveの兄弟モデルとして、Gemini 3.8 Live Extended Thinking(モデルID: gemini-3.8-live-extended-thinking)が載っています。説明は「High-reasoning Live API model for voice interactions, recommended when higher background reasoning is required」で、バックグラウンドでの推論を厚くしたいときに推奨される、という位置づけです。どちらを選ぶかは後半の比較で整理します。

なお、名前が似ているGemini 3.8 Flash(gemini-3.8-flash)は別のモデルです。公式の説明は「Our most intelligent Flash model, engineered for long-horizon software engineering, autonomous agents, and complex enterprise workflows」で、長い工程のソフトウェア開発や自律エージェント、業務ワークフロー向けとされています。Liveは「声で会話する」ための標準モデル、Flashは「考えて作業する」ための主力モデル、と役割が違います。Flash側の詳細はGemini 3.8 Flashとは?できること・制限・旧世代Flashとの違いにまとめています。

モデル一覧で見る|Gemini 3.8 Live系とFlashの公式説明

公式モデル一覧には、Gemini 3.8 Live、Gemini 3.8 Live Extended Thinking、Gemini 3.8 Flashがそれぞれ別のモデルIDで並んでおり、説明文の主眼が「音声エージェント」か「ソフトウェア開発・エージェント」かで分かれています。

次の表は、公式のモデル一覧(2026年10月9日取得)の記載を、モデルごとに並べたものです。説明文は英語の原文を日本語に要約しています。

モデル名 モデルID 公式説明の主眼
Gemini 3.8 Live gemini-3.8-live ほとんどの低遅延な音声エージェント体験向けの標準モデル。推論による遅延なし
Gemini 3.8 Live Extended Thinking gemini-3.8-live-extended-thinking 音声対話向けの高推論モデル。バックグラウンドの推論が多く必要なときに推奨
Gemini 3.8 Flash gemini-3.8-flash 長期のソフトウェア開発、自律エージェント、複雑な業務ワークフロー向けのFlashモデル

3つとも、一覧上では「New」「Stable」のラベルが付いています。ただしこの記事の目的上、安定版のラベルを「長期間変わらない」という意味には読みません。公式の更新で表記や推奨が変わることがあるため、実装の直前に一覧を開き直すのが安全です。

この表から分かる判断は単純です。声で会話するアプリにはLive系、文章やコードを深く考えて出力する用途にはFlash、という切り分けから始めます。そのうえでLive系の中でも、応答の速さを優先するならGemini 3.8 Live、考える量を増やしたいならExtended Thinking、と二段階で絞ります。

Gemini 3.8 Liveでできること|音声対話と周辺機能

Gemini 3.8 Liveでできることは、音声を送って音声で返答を受け取るリアルタイム対話を中心に、テキストや画像フレームの入力、関数呼び出し、思考(interleaved reasoning)の利用まで、公式のLive API機能ガイドで確認できる範囲に限られます。

Live APIの機能ガイドのモデル比較表から、Gemini 3.8 Liveの列に書かれている内容を拾うと、次のとおりです。

  • 思考: 「Supported (interleaved reasoning)」。ただしthinkingLevelは未対応で、セットアップ時には指定せず省略します
  • クライアントからの内容送信: send_client_contentがセッションの全期間で使え、役割(userまたはmodel)を明示できます
  • 非同期の関数呼び出し: 「Supported (default)」で、behavior: NON_BLOCKINGを指定するか、後方互換のブロッキングモード(behavior: BLOCKING)も使えます。関数のスケジューリング(SILENT、WHEN_IDLE、INTERRUPTED)にも対応と書かれています

つまり、単に話しかけて話し返すだけでなく、会話の途中でツール(関数)を呼び出して、予約状況や在庫を調べてから答える、といった作りも公式の機能として想定されています。関数呼び出しの基本はGemini APIのFunction Calling入門|仕組み・書き方・料金が参考になります。

声や言語については、同じ機能ガイドに「Native audio output models support any of the voices available for our Text-to-Speech (TTS) models」と書かれ、声はTTS用の音声から選べるとされています。また、ネイティブ音声出力モデルは適切な言語を自動で選び、言語コードを明示して指定する設定には対応しない、とも書かれています。これらは「native audio output models」全般についての文で、Gemini 3.8 Liveだけを名指しした文ではありません。同じ機能ガイドの中で3.8 Liveが扱われているため当てはまると読むのが自然ですが、声や言語の細かな挙動は、実装前にGoogle AI Studioで聞き比べて確かめてください。

対応言語は、機能ガイドに「Live API supports the following 99 languages」とあり、一覧には日本語(ja)も含まれています。この99言語はLive API全体の記述で、3.8 Live専用の一覧ではない点に注意が必要です。

対応する入力と出力|音声・画像・テキストの形式

Live APIの公式仕様では、入力は16kHzのraw 16-bit PCM音声・画像・テキスト、出力は24kHzのraw 16-bit PCM音声で、Gemini 3.8 Liveの応答はテキストではなく音声として返ってきます。

Live APIの概要ページの技術仕様表には、入力が「Audio (raw 16-bit PCM audio, 16kHz, little-endian), images (JPEG <= 1FPS), text」、出力が「Audio (raw 16-bit PCM audio, 24kHz, little-endian)」、プロトコルが「Stateful WebSocket connection (WSS)」と書かれています。次の表は、この仕様を日本語で整理したものです。

方向 種類 公式の仕様(要約)
入力 音声 raw 16-bit PCM、16kHz、リトルエンディアン
入力 画像 JPEG、1秒あたり1フレーム以下(概要ページの表記)
入力 テキスト テキストの入力に対応
出力 音声 raw 16-bit PCM、24kHz、リトルエンディアン

画像の形式は、公式ページ同士で書き方が少し違います。概要ページの技術仕様表は「JPEG」と書く一方、機能ガイドの動画フレームの説明は「individual images (e.g., JPEG or PNG) at a specific frame rate (max 1 frame per second)」です。JPEGなら両方の記述と矛盾しないため、実装ではJPEGを選ぶのが無難ですが、PNGが使えるかどうかを断定はしません。

出力についても注意点があります。機能ガイドの制限の項には「The native audio models only support AUDIO response modality」とあり、応答のモダリティは音声のみで、テキストで受け取りたいときは出力音声の文字起こし機能を使う、と案内されています。つまり「テキストで答えを返す」用途のAPIとしては設計されていません。文字だけで構造化データを得たい場合は、Gemini APIの構造化出力とは|JSONスキーマ指定と使い方で扱う通常のAPI呼び出しのほうが目的に合います。

音声ファイルをまとめて文字に起こしたいだけなら、リアルタイム接続は不要です。その場合はGemini 3.5 Transcribeとは|文字起こしの使い方・料金・制限のように、文字起こし向けのモデルを検討するほうが話が早くなります。

Live APIとの関係|モデルと接続方式の役割分担

Gemini 3.8 Liveはモデル、Live APIはそのモデルとリアルタイムにやり取りするための接続方式で、実装ではLive APIの接続を開くときにモデルIDとしてgemini-3.8-liveを指定します。

両者の関係は、「エンジン」と「道路」のように分けて考えると整理しやすくなります。Live APIは、WebSocketによる状態を保つ接続で、音声や画像を送り続けながら応答を受け取り続ける通信路です。その上で動く頭脳として、どのモデルを使うかを選ぶ必要があり、公式のサンプルコードではGenAI SDKでの開始ガイドのとおり、Pythonならmodel = "gemini-3.8-live"、JavaScriptならconst model = 'gemini-3.8-live';と書かれています。

したがって、Live APIの設計論(セッションをどう維持するか、接続をどう再開するか、クライアントから直接つなぐか)はモデルを替えても共通する部分が多く、その解説はGemini Live APIとは|対応モデル・料金・セッション制限に任せます。本記事で扱うのは、そのうえでGemini 3.8 Liveを選ぶ理由と、モデルごとに差が出る部分です。

実装方式は、公式の概要ページで2種類に整理されています。サーバー経由でつなぐ方式(Server-to-server)は、自社のバックエンドがLive APIにWebSocketで接続し、クライアントから受け取った音声などを転送します。ブラウザやアプリから直接つなぐ方式(Client-to-server)は、フロントのコードがLive APIへ直接つなぎます。後者では、機能ガイドの制限の項にあるとおり、Live APIの認証は既定ではサーバー間のみのため、リスクを抑えるために一時トークン(ephemeral tokens)が必要になります。

画面付きのアプリでも、音声を中心にした電話型のアプリでも、最初に決めるのは「サーバー経由か、直接接続か」です。この判断はモデル選びより先に行ったほうが、後戻りが少なくなります。

料金|Gemini 3.8 Liveの単価と無料枠の読み方

Gemini 3.8 Liveの料金は、公式料金ページで3.8 Live、3.8 Live Extended Thinking、3.1 Flash Live Previewが同じ料金表に並んでおり、有料枠は100万トークンあたりの米ドル単価(音声と画像・動画は1分あたりの単価も併記)で示されています。

公式の料金ページの該当セクションは、「Gemini 3.8 Live, Gemini 3.8 Live Extended Thinking, and Gemini 3.1 Flash Live Preview」という見出しで、リアルタイムの音声エージェントや対話向けの低遅延な音声から音声へのモデルをまとめて扱っています。次の表は、Standardの有料枠(Paid Tier、100万トークンあたり、米ドル)の値を、2026年10月9日に確認した内容に基づいて書き写したものです。

区分 種類 有料枠の単価(米ドル)
入力 テキスト 0.75(100万トークンあたり)
入力 音声 3.00(100万トークンあたり)または0.005/分
入力 画像・動画 1.00(100万トークンあたり)または0.002/分
出力(思考トークンを含む) テキスト 4.50(100万トークンあたり)
出力(思考トークンを含む) 音声 12.00(100万トークンあたり)または0.018/分

無料枠(Free Tier)の入力と出力は、いずれも「Free of charge」と表記されています。同じ料金表には「Used to improve our products」という行があり、無料枠は「Yes」、有料枠は「No」です。つまり、無料枠で送った内容は製品改善に使われる扱いで、有料枠では使われない、という違いが公式に示されています。業務の音声や顧客情報を扱うなら、この行は料金より先に確認したい点です。一方で、無料枠の利用回数や時間の上限は、この料金セクションには書かれていませんでした。上限が必要な場合は、公式のレート制限のページを別途確認してください。

Google検索によるグラウンディングは、料金表の無料枠(Free Tier)では「Supported」と表記されています。有料枠(Paid Tier)では、月5,000件の無料の検索リクエスト(Gemini 3.x系のモデルで共有)を超えると、1,000リクエストあたり14米ドルです(2026年10月9日取得)。また、Geminiへの1回のリクエストが複数の検索クエリになる場合があり、実行された検索クエリごとに課金される、という注記も付いています。グラウンディングの仕組みはGoogle検索によるグラウンディングとは?Gemini APIの料金と仕組みで解説しています。

料金の単位は「100万トークンあたり」が基本で、1分あたりの表記は目安として併記されている、と読むのが自然です。実際の請求がどちらで計算されるかは、料金ページの注記と請求画面で確認してください。モデル別の単価全体や、キャッシュ・無料枠を含む試算の考え方は、Gemini API料金の読み方2026|モデル別単価・キャッシュ・無料枠・試算にまとめています。

料金の見積もり例|1分あたりの単価で考える(仮の例)

Gemini 3.8 Liveの費用感は、入力音声が1分あたり0.005米ドル、出力音声が1分あたり0.018米ドルという公式の併記単価を使うと、会話の長さと話す割合から大まかに見積もれます。

ここでは、数字の使い方を示すための仮の例を1つ置きます。実在の事例ではなく、公式の併記単価(有料枠、2026年10月9日取得)に当てはめた計算です。

仮の条件 計算 結果(米ドル)
ユーザーが話した音声の入力: 合計2分 2分 × 0.005 0.010
モデルが話した音声の出力: 合計3分 3分 × 0.018 0.054
合計(5分の会話1回分、音声のみ) 0.010 + 0.054 0.064

この見積もりには含まれないものがあります。システム指示や会話履歴として毎回送られるテキストのトークン、画像・動画の入力、Google検索のグラウンディングなどです。したがって、表の合計は「音声だけで見たときの下限に近い目安」であり、請求額の予測そのものではありません。

見積もりを実用にするコツは、1回の会話の長さではなく「出力音声の分数」に注目することです。表のとおり、単価は出力音声のほうが高く設定されています。応答が長いエージェントほど費用が膨らみやすいため、システム指示で返答を短く、要点から話すように設計すると、費用と待ち時間の両方を抑えやすくなります。

制限|セッション時間・接続時間・コンテキストの上限

Live APIの公式ドキュメントでは、圧縮を使わない場合の上限が音声のみのセッションで15分、音声と映像のセッションで2分、接続そのものの寿命が約10分と示されており、Gemini 3.8 Liveを使うときもこの考え方が前提になります。

セッション管理のページには、「Without compression, audio-only sessions are limited to 15 minutes, and audio-video sessions are limited to 2 minutes」と書かれています。上限を超えるとセッション(したがって接続)が終了します。また接続の寿命も「around 10 minutes」に制限されており、接続が切れるとセッションも終わります。同じページの例ではモデル名としてgemini-3.8-liveが使われていますが、このページは3.8 Live専用の上限を別に示してはいません。

項目 公式の記載 対処として案内されているもの
音声のみのセッション(圧縮なし) 15分まで コンテキストウィンドウ圧縮
音声と映像のセッション(圧縮なし) 2分まで コンテキストウィンドウ圧縮
接続の寿命 約10分 セッション再開(session resumption)
再開トークンの有効期間 最後のセッション終了から2時間 新しい接続で最後のトークンを渡す
コンテキストウィンドウ ネイティブ音声出力モデルで128kトークン 圧縮の設定でトークン数の目安を調整

コンテキストウィンドウの128kトークンは、機能ガイドで「128k tokens for native audio output models」と書かれた値です。Gemini 3.8 Liveを名指しした文ではないため、この値が3.8 Liveにそのまま当てはまると断定はしません。一方で、サーバーが接続を終了する前にはGoAwayメッセージが届き、そこに残り時間(timeLeft)が含まれると説明されています。実装では、この通知を合図に再接続の準備を始めるのが安全です。

長い会話を成立させる手段は2つ用意されています。1つはコンテキストウィンドウ圧縮で、セッション設定のcontextWindowCompressionを有効にし、スライディングウィンドウ方式と、圧縮を始めるトークン数を設定します。公式はこれにより、セッションを長く保てると説明しています。もう1つは、接続が切れても同じセッションを続けるセッション再開で、サーバーが返すトークンを次の接続に渡します。会話の履歴をキャッシュして使い回す発想に近いのはGemini APIのコンテキストキャッシュとは|料金・使い方・注意点ですが、こちらは別の機能で、役割も違います。

使い始め方|モデルIDの指定から最初の音声送信まで

Gemini 3.8 Liveを使い始めるには、Google AI Studioで動作を試したうえで、GenAI SDKでLive APIに接続し、モデルIDにgemini-3.8-live、応答のモダリティに音声を指定します。

公式が案内している流れを、順番に整理します。

  1. 試す: 機能ガイドには「To use the Live API in Google AI Studio, select Stream」とあり、AI Studioの「Stream」から実装前に動作を試せます
  2. 実装方法を選ぶ: 概要ページには、GenAI SDKのチュートリアル(Pythonのバックエンド)、WebSocketのチュートリアル(JavaScriptのフロントエンドと一時トークン)、ADKのチュートリアルの3つが案内されています
  3. 接続する: 開始ガイドのコードでは、クライアントを作り、モデルIDと設定を渡してclient.aio.live.connectでセッションを開きます
  4. 音声を送る: 音声は16kHzのraw 16-bit PCMで、MIMEタイプはaudio/pcm;rate=16000として送ります
  5. 音声を受け取る: 応答の音声は小さな塊(チャンク)として届くため、受信ループでデータを取り出して再生します

接続の最小例は、公式の機能ガイドにある次のコードが基本形です(APIキーは各自のものに置き換えます)。

import asyncio
from google import genai

client = genai.Client(api_key="YOUR_API_KEY")
model = "gemini-3.8-live"
config = {"response_modalities": ["AUDIO"]}

async def main():
    async with client.aio.live.connect(model=model, config=config) as session:
        print("Session started")
        # Send content...

if __name__ == "__main__":
    asyncio.run(main())

Gemini 3.8 Liveでは、先ほど触れたとおりthinkingLevelを指定しません。旧世代のモデルの設定をそのまま流用すると、未対応の項目を渡してしまう可能性があるため、移行時は設定項目を見直してください。思考の設定の考え方はGemini APIのThinkingとは|使い方・料金・モデル対応表が参考になります。

APIキーの扱いにも注意が必要です。キーをフロントエンドのコードに直接書くと、閲覧した人に読み取られる恐れがあります。ブラウザから直接つなぐ構成にするなら、前述の一時トークンを使うか、バックエンドを経由する構成を選んでください。

Gemini 3.8 Live Extended Thinkingとの使い分け

Gemini 3.8 Liveは応答の速さを優先する標準モデル、Gemini 3.8 Live Extended ThinkingはthinkingLevelでバックグラウンドの推論量を調整できる高推論モデルで、公式は「より高いバックグラウンド推論が必要なとき」にExtended Thinkingを推奨しています。

機能ガイドのモデル比較表は、3.8 Live、3.8 Live Extended Thinking、3.1 Flash Live Previewの3つを並べています。要点を次の表にまとめます。

比較項目 Gemini 3.8 Live Gemini 3.8 Live Extended Thinking
公式の推奨 ほとんどの低遅延な音声エージェント体験向けの標準 より高いバックグラウンド推論が必要なときに推奨
思考 対応(interleaved reasoning)。thinkingLevelは未対応で省略 対応。thinkingLevelでlow、medium、highを設定可能(minimalは未対応)
非同期の関数呼び出し 対応(既定)。ブロッキングモードも利用可。関数のスケジューリングに対応 対応するが非同期のみ。ブロッキングモードと関数のスケジューリングは未対応
send_client_content セッション全期間で利用可 セッション全期間で利用可

この表で見落としやすいのは、関数呼び出しの違いです。Extended Thinkingは非同期(NON_BLOCKING)のみで、ブロッキングモードと関数のスケジューリングが使えません。既存の実装がブロッキングを前提にしているなら、モデルを差し替えるだけでは動かない可能性があります。逆に、考える量を調整したい場合は、Extended ThinkingのthinkingLevelが手がかりになります。

選び方の目安は、まず標準のGemini 3.8 Liveで試し、「回答の質が足りない場面がある」と分かったときにExtended Thinkingを試す、という順番です。この記事では速度や精度の数値比較をしていません。公式の機能ガイドに同条件の比較値が見つからないためで、実際の差は、自分の用途の会話ログで試して判断してください。

Gemini 3.8 Flash・TTS系との使い分け

Gemini 3.8 Liveは声で双方向に会話するモデル、Gemini 3.8 Flashは長い作業や開発向けのモデル、Gemini 3.8 Flash TTSとFlash-Lite TTSは文章から音声を作るモデルで、目的ごとに使い分けます。

公式モデル一覧には、音声に関わるモデルが複数並んでいます。TTSの2つは、Liveとは役割が異なります。Gemini 3.8 Flash TTSは「Flagship creative text-to-speech model for studio-grade voice fidelity, expressive acting, Voice design, and Voice replication」、Gemini 3.8 Flash-Lite TTSは「Fast, cost-efficient text-to-speech model for high-volume production, real-time voice agent cascades, and Voice replication」と説明されています。

やりたいこと 候補になるモデル 理由(公式説明より)
人と声で会話するエージェント Gemini 3.8 Live 低遅延の音声エージェント向けの標準モデル
会話の裏で推論を厚くしたい音声エージェント Gemini 3.8 Live Extended Thinking 高推論の音声対話モデル
コードや業務ワークフローを自律的に進める Gemini 3.8 Flash 長期のソフトウェア開発や自律エージェント向け
台本どおりに高品質なナレーションを作る Gemini 3.8 Flash TTS 表現力のある高品質な音声生成向け
大量の読み上げを低コストで回す Gemini 3.8 Flash-Lite TTS 大量生産向けで、音声エージェントを段階的に組む構成にも言及あり

注目したいのは、Flash-Lite TTSの説明にある「real-time voice agent cascades」です。公式はこの語を詳しく定義していませんが、音声の入力から応答の音声までを複数の段階に分けて連ねる設計を想定した表現だと読めます(筆者の解釈です)。一方、Gemini 3.8 Liveは音声を直接受け取って音声で返すモデルです。どちらの設計が自社の用途に合うかは、費用、遅延、品質の許容範囲で決まるため、公式の単価と実際の会話ログで比べて判断してください。

TTS側の詳細は、Gemini 3.8 Flash TTSとは|音声生成の料金・言語・声の選び方と、Gemini 3.8 Flash-Lite TTSとは|違いと選び方を読むと、Liveとの切り分けがさらにはっきりします。なお、Gemini 3.8 FlashをLive APIの接続に使えるかどうかは、今回確認した公式ページに記載を見つけられなかったため、ここでは扱いません。

旧世代のLive・翻訳モデルとの位置づけ

Gemini 3.1 Flash Liveは公式が「旧世代のLive APIプレビューモデル」と説明し、Gemini 3.8 Liveへの更新を推奨しており、リアルタイム翻訳に特化したGemini 3.5 Live Translateは別の用途のモデルです。

公式モデル一覧には、Gemini 3.1 Flash Live(モデルID: gemini-3.1-flash-live-preview)が「Legacy Live API preview model. We recommend updating to Gemini 3.8 Live.」という説明で載っています。料金ページでも、3.8 Liveの料金セクションに「Gemini 3.1 Flash Live Preview」という名前で一緒に並んでいます。すでに3.1 Flash Liveで動かしているアプリがあるなら、移行の検討対象です。

機能ガイドのモデル比較表からも、違いが読み取れます。3.1 Flash Live Previewは、thinkingLevelでminimal、low、medium、highを設定でき、既定はminimal(遅延を最小にするため)です。非同期の関数呼び出しは「Not supported」で、関数呼び出しは逐次のみ、モデルはツールの応答を送るまで応答を始めません。3.8 Liveでは非同期の関数呼び出しが既定で使えるので、ツールを呼ぶ場面の体験は変わる可能性があります。移行手順は、比較表の末尾で案内されているマイグレーションガイドを参照してください。

もう1つのGemini 3.5 Live Translate(gemini-3.5-live-translate-preview)は、モデル一覧で「Low-latency, real-time speech to speech translation model that supports 70+ languages」と説明されている、音声から音声への翻訳モデルです。会話相手として応答する用途ではなく、翻訳が目的の場合の選択肢です。

ここで確認しておきたいのは、旧モデルの料金や挙動を3.8 Liveにそのまま当てはめないことです。移行前後でコードの設定項目、関数呼び出しの扱い、料金表の単価を、それぞれ公式の料金ページで読み直す手順を踏むと、予期しない差分を減らせます。

導入前に確認したいこと|用途別の判断と仮の例

Gemini 3.8 Liveの導入判断は、会話の長さが上限に収まるか、個人情報の扱いが無料枠の条件に合うか、ツール呼び出しの方式がモデルに合うかの3点を、公式の記載と照らして確認すると整理できます。

ここでは、仮の例として、ある店舗の電話予約を声で受け付けるエージェントを考えます。実在の事例ではなく、判断の手順を示すための想定です。

確認する点 仮の例での判断 根拠にする公式の記載
会話の長さ 予約の受付は数分で終わる想定。音声のみなので15分の上限に収まる。万一に備えて再接続を実装する 音声のみは圧縮なしで15分、接続の寿命は約10分
データの扱い 顧客の氏名や電話番号を含むため、無料枠ではなく有料枠で試す 料金表の「Used to improve our products」が無料枠はYes、有料枠はNo
予約状況の照会 空き枠を調べる関数を呼び出すため、非同期の関数呼び出しが既定で使える3.8 Liveから始める 3.8 Liveは非同期の関数呼び出しが既定で、スケジューリングにも対応
応答の質 複雑な条件の相談が多いと分かった場合のみ、Extended Thinkingを試す 高推論は、より高いバックグラウンド推論が必要なときに推奨

この表のポイントは、モデルを決める前に「上限」「データ」「ツール」を確認している点です。どれか1つでも条件に合わなければ、モデルを変える前に設計を見直します。たとえば会話が長くなる用途なら、圧縮と再開の仕組みを先に組み込む、といった具合です。

もう1つ、仮の例で忘れやすいのが、人間に引き継ぐ導線です。声のエージェントは、聞き取れなかったときや込み入った相談のときに、人へ切り替える出口があると運用が安定します。これはモデルの機能ではなく、サービス設計の話ですが、Liveのような会話型では導入後の満足度を左右します。

まとめると、導入前の確認は、公式の数字と条件を自分の用途に当てはめる作業です。この作業を飛ばして「最新の標準モデルだから」で選ぶと、上限や費用の見落としが後から出てきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. Gemini 3.8 Liveのモデルコードは何ですか?
公式のモデル一覧ではgemini-3.8-liveです。高推論版のExtended Thinkingはgemini-3.8-live-extended-thinkingで、別のモデルIDになります。
Q2. Gemini 3.8 Liveはテキストで答えを返せますか?
公式の機能ガイドには、ネイティブ音声モデルの応答モダリティは音声のみと書かれています。テキストで受け取りたい場合は、出力音声の文字起こし機能を使う案内があります。
Q3. 無料で使えますか?
公式の料金表では、無料枠の入力と出力が「Free of charge」と表記されています。ただし無料枠は「Used to improve our products」がYesで、送った内容が製品改善に使われる扱いです。利用回数の上限は同じ料金セクションには書かれていないため、条件を公式ページで確認してから使ってください。
Q4. 1回の会話は何分まで続けられますか?
圧縮を使わない場合、音声のみのセッションは15分、音声と映像のセッションは2分が上限と公式に書かれています。接続の寿命も約10分です。コンテキストウィンドウ圧縮とセッション再開を使うことで、より長い会話を扱う方法が案内されています。
Q5. 日本語で使えますか?
機能ガイドのLive APIの対応言語一覧に、日本語(ja)が含まれています。ただしこの一覧はLive API全体のもので、3.8 Live専用ではありません。ネイティブ音声モデルは言語を自動で選び、言語コードの指定には対応しないと書かれているため、実際の日本語の聞き取りや発話は、AI Studioで試して確認してください。
Q6. 画像や動画も入力できますか?
入力として画像フレームを送れます。概要ページはJPEGで1秒あたり1フレーム以下と書き、機能ガイドはJPEGまたはPNG、最大1フレーム毎秒と書いています。映像を含むセッションは、圧縮なしで2分が上限です。
Q7. Extended Thinkingは、どんなときに選べばよいですか?
公式は、より高いバックグラウンド推論が必要なときに推奨しています。ただし関数呼び出しは非同期のみで、ブロッキングモードと関数のスケジューリングが使えないなど、標準の3.8 Liveとの差もあります。まず標準で試し、必要が出たら切り替える進め方が分かりやすいです。
Q8. Gemini 3.8 Flashと何が違いますか?
公式の説明では、3.8 Liveは低遅延の音声エージェント向け、3.8 Flashは長期のソフトウェア開発や自律エージェント、複雑な業務ワークフロー向けです。用途の主眼が異なるため、声で会話するならLive、考えて作業するならFlashから検討します。

まとめ|Gemini 3.8 Liveを選ぶ前に押さえる要点

Gemini 3.8 Live(gemini-3.8-live)は、公式モデル一覧で低遅延な音声エージェント向けの標準Live APIモデルと位置づけられたモデルです。入力は音声・画像・テキスト、出力は音声で、Live APIのWebSocket接続を通じて使います。料金は公式の料金ページで有料枠が100万トークンあたりの単価(音声と画像・動画は分単位の併記あり)、無料枠は「Free of charge」ですが、送った内容が製品の向上に使われる扱いです。セッションと接続には時間の上限があり、具体的な数値は制限の章の表にまとめたとおりです。

選ぶ順番は、まず標準のGemini 3.8 Liveで試し、推論を厚くしたいときにExtended Thinkingを検討し、文章から音声を作りたいならTTS系、作業や開発ならFlashへ進む、という流れが分かりやすいです。API全体の仕組みはGemini Live APIとは|対応モデル・料金・セッション制限、料金の全体像はGemini API料金の読み方2026|モデル別単価・キャッシュ・無料枠・試算で確認できます。

本記事の数値と文言は、2026年10月9日にモデル一覧、料金ページ、Live API概要、機能ガイド、セッション管理で確認した内容です。公式の表記は更新されることがあるため、実装や契約の前には最新のページで再確認してください。

このサイトは株式会社S.Lineが運営しています。記事内の店舗予約・LINE登録・講座の案内には、当社または当社が集客を担当するサービスの広告(PR)が含まれます。
本記事は公式情報・専門メディアを参考に執筆しています。最新の正確な情報は引用元の公式ページをご確認ください。

この記事を書いた人

株式会社S.Line 代表取締役。偏差値39から起業し、AIとSNSの活用で「普通の人」が成果を出す方法を発信。

目次