「Gemini CLIって、今から始めても無料で使えるの?」――Google AIのニュースを追いかけていると、こういう疑問を持つ人がここ最近増えている。理由は単純で、Gemini CLIの提供条件が2026年に入ってから大きく動いたからだ。ターミナル(コマンドラインインターフェース、通称CLI)からGeminiモデルを直接呼び出せる開発者向けツールとして注目を集めてきたが、公式情報を読み込むと、個人の無料利用をめぐる状況は思っているより複雑になっている。
本記事では、Google公式のGemini CLIドキュメントサイト(geminicli.com)、GitHub公式リポジトリのREADME、Google Developers Blogの告知記事を2026年10月13日に取得し、そこに書かれている内容だけを根拠に、Gemini CLIで何ができるか、インストール方法、認証と無料枠の数値、基本的な使い方、そして向いている作業・向いていない作業を整理する。公式ページごとに更新日が違い、記載が食い違う箇所もあるため、どのページに何と書かれているかを分けて示す。
先に結論を書いておくと、Gemini CLIの個人向け無料アクセスは2026年6月18日を境に大きく変わっている。Google Developers Blogの告知は、この日にGoogle AI Pro・Ultraの利用者と、Gemini Code Assist for individualsによる無料利用者に対してGemini CLIがリクエストを処理しなくなると書いている。geminicli.comの各ページ上部の共通バナーも、無料ティアとGoogle Oneのユーザーについて、この日にGemini CLIが後継のAntigravity CLIに置き換えられたと告知している。一方で、同じサイトの別のページには、個人アカウント向けの手順や無料枠の数値がそのまま残っている。この食い違いに気づかず「無料で使えるはず」と手順を進めると、想定通りに動かず混乱することになる。
このあと順番に、公式ページの実際の記載を確認していく。まず自分がどの認証区分に該当するかを把握してから具体的な操作に進むのが、遠回りに見えて一番早い進め方だ。
Gemini CLIとは何か できることの全体像
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Gemini CLIは、GoogleのGeminiモデルをターミナル(コマンドライン)から直接呼び出せるオープンソースのAIエージェントで、コードの理解・生成からファイル操作、シェルコマンドの実行、Web検索の連携までを1つのプロンプトから行える。
Google公式のGemini CLI GitHubリポジトリのREADMEは、Gemini CLIをGeminiの力をターミナルに直接持ち込むオープンソースのAIエージェントと説明している。ライセンスはApache License 2.0だ(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
公式ドキュメントのクイックスタートページでは、AIアシスタントとして、コードの理解・生成だけでなく、ドキュメントのレビューや編集まで幅広い作業を手伝えると説明されている(Get started with Gemini CLI)。ブラウザ版の基本操作を先に知っておきたい場合はGoogle AIの使い方ガイドを参照するとよい。
READMEの「Why Gemini CLI」では、強みとして次の6点を挙げている。個人のGoogleアカウント利用時の無料ティア(60リクエスト/分・1,000リクエスト/日)、Gemini 3モデルによる推論力向上と100万トークンのコンテキストウィンドウ、Google検索グラウンディング・ファイル操作・シェルコマンド・Webフェッチといった組み込みツール、MCP(Model Context Protocol)による拡張性、ターミナル前提の設計、そしてApache 2.0によるオープンソース公開だ(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。ただし、今回取得したmainブランチのREADMEにはAntigravityという語が見当たらず、この無料ティアの数値は、次の項で説明する2026年6月18日以降の提供状況の変化を反映しているかどうかが読み取れない。
2026年6月18日以降の提供状況 個人向け無料アクセスの終了とAntigravity CLIへの移行
Google Developers Blogの告知は、2026年6月18日にGoogle AI Pro・Ultraの利用者とGemini Code Assist for individualsの無料利用者に対するGemini CLIのリクエスト処理が止まると伝えており、geminicli.comの各ページのバナーも、無料ティアとGoogle Oneのユーザーについて同日にAntigravity CLIへ置き換えられたと告知している。
Gemini CLIのドキュメントサイト(geminicli.com)では、今回取得したインストールガイド・認証ガイド・クイックスタート・FAQ・Quotas and pricing・コマンドリファレンス・ツールリファレンス・ヘッドレスモードの各ページの先頭に、同じ趣旨のバナーが表示されていた。無料ティアとGoogle Oneのユーザーについて、2026年6月18日にGemini CLIがAntigravity CLIに置き換えられたという内容で、詳細は告知ブログへのリンクで案内されている(Gemini CLI installation, execution, and releases、Gemini CLI authentication setup)。
バナーがリンクしているGoogle Developers Blogの記事(2026年5月19日付)を読むと、経緯がわかる。Googleはエージェント中心の開発基盤Google Antigravityに取り組みを統合し、新しいターミナル体験としてAntigravity CLIを発表した。記事は、発表日からAntigravity CLIがすべての人に提供されること、2026年6月18日にGemini CLIとGemini Code Assist IDE拡張機能が、Google AI Pro・Ultraの利用者と、Gemini Code Assist for individualsで無料利用している人へのリクエスト処理を止めることを伝えている。Gemini Code Assist for GitHubも同じ日付でGitHub組織への新規インストールが止まり、その後の数週間でリクエストの処理も止まるとされている(An important update: Transitioning Gemini CLI to Antigravity CLI)。
一方で、同じ告知記事は法人向けの継続利用にも触れている。Gemini Code Assist StandardまたはEnterpriseライセンス経由でGemini CLIやIDE拡張機能を使っている組織と、Google Cloud経由でGemini Code Assist for GitHubを使っている組織は、アクセスが変わらないとされている。また、Gemini CLIは有料のGeminiおよびGemini Enterprise Agent PlatformのAPIキーでも引き続き使える、と書かれている(An important update: Transitioning Gemini CLI to Antigravity CLI)。
ここで注意したいのは、同じgeminicli.com内でもページによって記載が食い違って見えることだ。公式ページの記載を並べると次のようになる。
| 公式ページ | 更新日の表示 | 個人アカウントまわりの記載 |
|---|---|---|
| 各ページ共通のバナー | ページごとに異なる | 無料ティアとGoogle Oneのユーザーは2026年6月18日にAntigravity CLIへ置き換え |
| Google Developers Blog | 2026年5月19日付 | 2026年6月18日にGoogle AI Pro・Ultraと個人の無料利用のリクエスト処理を停止 |
| Quotas and pricing | 2026年6月18日 | 個人向けCode Assistは1,000、Google AI Proは1,500、Google AI Ultraは2,000リクエスト/日の表が掲載されたまま |
| FAQ | 2026年4月10日 | Google AI Pro・Ultraの購読者は上限が高くなる、という説明が掲載されたまま |
| クイックスタート | 2026年4月17日 | 「Sign in with Google」で個人のGoogleアカウントにサインインする手順を案内 |
| 認証ガイド | 2026年9月18日 | 個人のGoogleアカウント(無料ティア、Google AI Pro・Ultra)の推奨方法としてサインインを案内 |
| Plansページ | 表示なし | FreeプランをGoogleアカウントですぐに認証できるものとして案内 |
| GitHub README | 表示なし | 個人のGoogleアカウントで1,000リクエスト/日の無料ティアと記載。Antigravityという語は見当たらない |
バナーとブログ記事の告知内容と、個別ページに残った具体的な数値・手順のどちらが実際の挙動を正しく反映しているかは、公式ページの記載だけでは断定できない。個人アカウントでの利用を考えている場合は、思い込みで進めず、実際にgeminiコマンドを起動してサインインを試し、表示されるメッセージを自分の目で確かめたほうが早い。
Antigravity CLIを含むGoogle I/O 2026のAIエージェント関連発表全体はGoogle I/O 2026 AIエージェント全貌で整理しているので、背景を広く押さえたい場合はあわせて確認するとよい。ブラウザ版のGeminiアプリの無料での使い方はGoogle AI無料活用ガイドにまとめている。
利用者の区分別に見る公式の記載と確認の進め方
Gemini CLIが今の自分のアカウントで使えるかは、個人のGoogleアカウント、Google AI Pro・Ultra、Gemini Code Assist Standard・Enterprise、Gemini APIキー、Vertex AIのどれに当たるかで、参照すべき公式の記載が変わる。
告知ブログと認証ガイドの記載を、利用者の区分ごとに並べて整理すると次のとおりだ。認証ガイドは、個人のGoogleアカウントには無料ティアのアカウントとGoogle AI Pro・Ultraの購読が含まれ、会社・学校・Google Workspaceのアカウントは組織のアカウントに当たると説明している(Gemini CLI authentication setup、告知ブログ)。
| 利用者の区分 | 告知ブログの記載 | ドキュメント側の記載 | 確認の進め方 |
|---|---|---|---|
| 個人のGoogleアカウント(無料、Gemini Code Assist for individuals) | 2026年6月18日以降、リクエスト処理の対象外になる | クォータ表は1,000リクエスト/日。認証ガイドはサインイン手順を案内 | geminiを起動してサインインを試し、表示を確認する |
| Google AI Pro・Ultra(個人) | 2026年6月18日以降、リクエスト処理の対象外になる | クォータ表はProが1,500、Ultraが2,000リクエスト/日 | サインイン後の表示と/stats modelの内容を確認する |
| Gemini Code Assist Standard・Enterprise(Google Cloud経由) | アクセスは変わらない | クォータ表はStandardが1,500、Enterpriseが2,000リクエスト/日。Google Cloudプロジェクトの設定が必要になる場合がある | 組織の管理者にライセンスとプロジェクト設定を確認する |
| Gemini APIキー | 有料のGeminiのAPIキーでは引き続き使える。無料枠のキーには、この記事は触れていない | クォータ表は無料のキーが250リクエスト/日でFlashモデルのみ。READMEは1,000リクエスト/日と記載 | キーを発行し、Google AI Studioの利用状況とCLIの/stats modelで上限を確認する |
| Vertex AI | Vertex AIという名称では書かれておらず、Gemini Enterprise Agent PlatformのAPIキーが挙げられている | クォータ表は、従量課金の選択肢としてVertex AIを案内 | Google Cloudの管理者に利用可否と課金の設定を確認する |
Vertex AIとGemini Enterprise Agent Platformが同じものを指すかどうかは、今回取得した公式ページからは読み取れなかったため、対応づけは書かない。Gemini APIキーの無料枠についても、告知ブログと認証ガイドの間に、2026年6月18日以降の扱いを示す記載は見当たらなかった。業務で使う場合は、個別ページの数値を前提にせず、社内の管理者と公式の最新表示を照らして判断するのが安全だ(Gemini CLI: Quotas and pricing)。
Gemini CLIで具体的にできること
Gemini CLIは、コードベースの理解・生成、ファイル操作の自動化、GitHubワークフローとの連携、MCPサーバーを介した外部ツール接続まで、ターミナルからの1つのプロンプトで実行できる。
公式READMEの「Key Features」には4つの領域が整理されている(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
1つ目はコードの理解と生成だ。大規模なコードベースへの質問・編集、PDFや画像・スケッチからの新規アプリのひな形生成(マルチモーダル)、自然言語でのデバッグや原因調査に対応する(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
2つ目は自動化と外部連携で、プルリクエストの照会や複雑なリベース処理といった定型的な運用作業を自動化できるほか、MCP(Model Context Protocol)サーバー経由でImagen・Veo・Lyriaなどのメディア生成機能を含む新しい機能を追加できる。スクリプトの中で非対話的に実行し、ワークフロー全体を自動化することも想定されている(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
3つ目は高度な機能で、Google検索によるグラウンディングでリアルタイム情報を参照したり、会話をチェックポイントとして保存・再開したり、プロジェクトごとのカスタムコンテキストファイル(GEMINI.md)で挙動を調整したりできる(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
4つ目はGitHub連携だ。「Gemini CLI GitHub Action」を使うと、プルリクエストの自動レビュー、Issueの自動ラベリング・優先度付け、Issueやプルリクエスト内で@gemini-cliとメンションしたときのオンデマンド対応、チーム独自のスケジュール実行・オンデマンド実行のワークフロー構築が可能になる(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
MCPサーバーは~/.gemini/settings.jsonに設定を追加して使う。READMEは、設定後にプロンプトの中で次のように書くと、連携先のツールを呼び出せる例を示している。
> @github List my open pull requests
> @slack Send a summary of today's commits to #dev channel
> @database Run a query to find inactive users
(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。GitHubやSlack、データベースといった業務ツールをコマンドラインの中に集約できる点が、ブラウザ版のGeminiとの実務上の違いになる。業務ツール連携の他のアイデアはGoogle AI活用事例でも幅広く紹介している。
インストール前に確認する動作環境
Gemini CLIの公式インストールガイドは、推奨OSとしてmacOS 15以降・Windows 11 24H2以降・Ubuntu 20.04以降を挙げ、ランタイムにNode.js 20.0.0以降、常時インターネット接続を条件としている。
公式の「Gemini CLI installation, execution, and releases」ページ(最終更新2026年5月14日)には、推奨システム仕様が明記されている(Gemini CLI installation, execution, and releases)。表にまとめると次のとおりだ。
| 項目 | 推奨される内容 |
|---|---|
| OS | macOS 15+ / Windows 11 24H2+ / Ubuntu 20.04+ |
| ハードウェア(通常利用) | 短いセッションや一般的な編集作業には4GB以上のRAM |
| ハードウェア(重い利用) | 長時間セッションや大規模コードベース、深い文脈を扱う場合は16GB以上のRAM |
| ランタイム | Node.js 20.0.0以降 |
| シェル | Bash、Zsh、またはPowerShell |
| 利用地域 | Gemini Code Assistの対応地域 |
| ネットワーク | インターネット接続が必要 |
なお、Google Cloud ShellやCloud Workstations環境ではGemini CLIがあらかじめインストールされているため、追加の作業は要らない(Gemini CLI installation, execution, and releases)。手元のNode.jsのバージョンが分からない場合は、ターミナルでnode -vと入力すれば確認できる。20.0.0より古いバージョンが表示された場合は、Node.js公式サイトやnvmなどのバージョン管理ツールで20.0.0以降に上げてから進める。
インストール方法を比較する
Gemini CLIはnpm・Homebrew・MacPorts・Anacondaのいずれかでインストールでき、インストールせずにnpxで実行することもできる。公式ドキュメントはほとんどの利用者に、インストールしてからgeminiコマンドで起動する方法を勧めている。
標準的なインストール方法は次の4通りで、公式ガイドはこの中から選ぶことを勧めている(Gemini CLI installation, execution, and releases)。
# npmでグローバルインストール
npm install -g @google/gemini-cli
# Homebrew(macOS/Linux)
brew install gemini-cli
# MacPorts(macOS)
sudo port install gemini-cli
# Anaconda(制限された環境向け)
conda create -y -n gemini_env -c conda-forge nodejs
conda activate gemini_env
npm install -g @google/gemini-cli
インストール後は、ターミナルでgeminiと入力するだけで起動する。インストールせずに試したいだけなら、npxを使えば永続的なインストールなしで実行できる(Gemini CLI installation, execution, and releases)。
# インストールなしで実行
npx @google/gemini-cli
開発中の最新機能を試したい場合は、GitHubのmainブランチを直接指定して実行することもできる(Gemini CLI installation, execution, and releases)。
npx https://github.com/google-gemini/gemini-cli
また、インストールガイドは、セキュリティと分離のためにGemini CLIをコンテナ内で実行する方法も紹介している。すでにローカルにインストール済みの場合は、--sandboxフラグを付けて起動すれば、サンドボックス内で処理を実行できる。インストールガイドの例は次のとおりだ(Gemini CLI installation, execution, and releases)。
gemini --sandbox -y -p "your prompt here"
この例に含まれる-y(--yolo)は、CLIのチートシートでは非推奨とされ、すべての操作を自動承認するフラグだと説明されている。代わりに--approval-mode=yoloを使うよう案内されているが、自動承認は取り返しのつかない操作にも及ぶため、初めて試す段階では付けないほうが安全だ(Gemini CLI cheatsheet)。
リリースチャンネルはstable(安定版、毎週公開、latestタグ)・preview(週次のプレビュー版、previewタグ)・nightly(日次のナイトリー版、nightlyタグ)の3種類があり、公式は多くの利用者にstable版を勧めている。タグを省略したインストールはstable版になる(Gemini CLI installation, execution, and releases)。READMEには、stableを毎週火曜のUTC 20:00、previewを毎週火曜のUTC 23:59、nightlyを毎日UTC 00:00に公開すると書かれている(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
インストール後のバージョン確認・更新・削除
入れたバージョンの確認方法として、公式FAQはgemini --version(またはgemini -v)の実行、起動中のセッションでの/about、パッケージマネージャーによる一覧確認を挙げている。npmでグローバルインストールした場合の更新はnpm install -g @google/gemini-cli@latestだ(Gemini CLI FAQ)。CLIのチートシートには、最新版への更新コマンドとしてgemini updateも載っている(Gemini CLI cheatsheet)。
削除は入れ方によって変わる。npmのグローバルインストールならnpm uninstall -g @google/gemini-cli、Homebrewならbrew uninstall gemini-cli、MacPortsならsudo port uninstall gemini-cliを使う。npxで実行しただけの場合は、npmのキャッシュ内の_npxディレクトリを消す方法が案内されている(Uninstalling the CLI)。
認証方法を選ぶ Googleアカウント・APIキー・Vertex AI
Gemini CLIの認証方法には、Googleアカウントでのサインイン、Google AI StudioのAPIキー、Google CloudのVertex AIの3種類があり、公式の認証ガイドは多くの利用者に、個人のGoogleアカウントでサインインして始める方法を勧めている。
公式の認証ガイドは、利用者のタイプ別に推奨の認証方法を次のように整理している(Gemini CLI authentication setup)。
| 利用者のタイプ | 推奨される認証方法 | Google Cloudプロジェクト |
|---|---|---|
| 個人のGoogleアカウント | Sign in with Google | 原則不要(例外あり) |
| 会社・学校・Google Workspaceのアカウント | Sign in with Google | 必要 |
| Google AI StudioのAPIキーを持つ利用者 | Gemini APIキー | 不要 |
| Google Cloud Vertex AIの利用者 | Vertex AI | 必要 |
| ヘッドレスモード | Gemini APIキーまたはVertex AI | Gemini APIキーなら不要、Vertex AIなら必要 |
1. Googleアカウントでサインイン(OAuth)。 geminiを起動し「Sign in with Google」を選ぶと、ブラウザ経由の認証フローが始まる。この方法はターミナルと通信できる場所にWebブラウザがあることが前提だ。Google AI ProまたはUltraの購読者は、購読に使っているGoogleアカウントで認証する。会社・学校・Google Workspaceのアカウントを使う場合、Google Developer Program経由のGemini Code Assistライセンスを使う場合、Gemini Code Assistサブスクリプションのライセンスを使う場合は、別途Google Cloudプロジェクトの設定が必要になる(Gemini CLI authentication setup)。
2. Gemini APIキー。 Google AI Studioで取得したAPIキーをGEMINI_API_KEYという環境変数に設定して使う方法。READMEは、モデルを自分で選びたい開発者や、有料ティアへすぐ切り替えたい場合に向くと説明している。
export GEMINI_API_KEY="YOUR_GEMINI_API_KEY"
gemini
起動後に「Use Gemini API key」を選ぶ(Gemini CLI authentication setup、Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。APIキーはソースコードに直書きせず、プロジェクトの.gemini/.envファイルやOSのキーチェーン・シークレットマネージャーで管理するよう、公式FAQも案内している(Gemini CLI FAQ)。
3. Vertex AI。 Google Cloudのgcloud CLIによるApplication Default Credentials、サービスアカウントのJSONキー、Google CloudのAPIキーのいずれかで認証する。どの方法でも、Vertex AI APIを有効にしたプロジェクトのIDをGOOGLE_CLOUD_PROJECTに、リソースの場所をGOOGLE_CLOUD_LOCATIONに設定する。Application Default Credentialsやサービスアカウントを使う場合、すでにGOOGLE_API_KEYやGEMINI_API_KEYを設定しているなら、先に解除する必要がある(Gemini CLI authentication setup)。READMEは、Vertex AIを、セキュリティやコンプライアンスの機能とスケーラビリティを求める企業チームと本番ワークロード向けの選択肢として紹介している(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
ヘッドレスモード(非対話実行)について、認証ガイドは、すでに認証情報がキャッシュされていればそれが使われ、まだサインインしていない場合は環境変数でGemini APIキーまたはVertex AIを設定する必要があると説明している(Gemini CLI authentication setup)。
注意点として、Claude CodeやOpenClaw、OpenCodeのようなサードパーティ製ツールが、Gemini CLIのOAuth認証を横流しして使う行為は利用規約に反し、アカウントの停止や解約の理由になり得ると公式FAQは説明している。Geminiを別のコーディングエージェントから使いたい場合は、Vertex AIかGoogle AI StudioのAPIキーを使うのが、公式が案内している方法だ(Gemini CLI FAQ)。
認証方法ごとの無料枠と料金の実際の数値
Google公式のQuotas and pricingページには認証方法ごとの上限リクエスト数の表が掲載されているが、同じサイトのバナーや告知ブログの内容と食い違うため、表の数値はそのまま当てはめず、自分の環境の表示で確かめる必要がある。
公式の「Quotas and pricing」ページ(最終更新2026年6月18日)には、認証方法ごとの1日あたりの上限リクエスト数が一覧化されている(Gemini CLI: Quotas and pricing)。
| 認証方法 | ティア/サブスクリプション | 1ユーザー1日あたりの上限 |
|---|---|---|
| Googleアカウント | Gemini Code Assist(個人向け) | 1,000リクエスト |
| Googleアカウント | Google AI Pro | 1,500リクエスト |
| Googleアカウント | Google AI Ultra | 2,000リクエスト |
| Gemini APIキー | 無料ティア(Unpaid) | 250リクエスト |
| Gemini APIキー | 従量課金(Paid) | プランにより変動 |
| Vertex AI | Expressモード(無料) | プランにより変動 |
| Vertex AI | 従量課金(Paid) | プランにより変動 |
| Google Workspace | Code Assist Standard | 1,500リクエスト |
| Google Workspace | Code Assist Enterprise | 2,000リクエスト |
| Google Workspace | Workspace AI Ultra | 2,000リクエスト |
同ページは、Gemini APIキーの無料枠について、1日あたり最大250リクエストで、リクエスト先はFlashモデルのみと補足している。有料の個人向けプランとして挙げられているのはGoogle AI ProとAI Ultraで、表にないGoogle AI Plusなどの区分は対応していないと書かれている。Workspaceのアカウントについても、表にないWorkspace AI Standard・Plus・AI Expandedなどは対応していないとされている(Gemini CLI: Quotas and pricing)。
ここで数値の食い違いに注意したい。READMEの「Why Gemini CLI」と認証オプションの説明では、Gemini APIキーの無料枠について、Gemini 3(FlashとProの混在)で1日1,000リクエストと説明されており、Quotas and pricingページの記載(1日250リクエスト、Flashモデルのみ)とは上限の数値も対象モデルの範囲も一致しない(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ、Gemini CLI: Quotas and pricing)。さらに、公式FAQには、Google AI Pro・Ultraの上限が高いことについて、Gemini 2.5のProとFlashが対象だと説明する項目もある(Gemini CLI FAQ)。どの数値が現状に近いかは公式ページの記載だけでは断定できないため、実際にAPIキーを発行した後、Google AI Studioの利用状況ダッシュボードか、CLI内の/stats modelコマンドで自分のアカウントに表示される上限を確認したほうが早い。
なお、Vertex AIのExpressモードは、課金を有効にするまでに90日間の猶予がある無料のモードとして案内されている。クォータやモデルは利用者のアカウントごとに異なる。リクエストは1分あたりの回数も制限され、需要が高い時間帯はサービスの提供状況に左右されるとも書かれている(Gemini CLI: Quotas and pricing)。APIキーでの従量課金は、呼び出しごと・トークンごとの支払いになり、少ないトークンの小さな呼び出しが多いと割高になり得るが、上限で作業が止まらないようにできる唯一の方法とされている(同ページ)。モデルごとのAPI料金は、Gemini API Pricingで確認できる。
基本的な使い方 起動から最初のタスクまで
Gemini CLIはgeminiコマンドで対話モードを起動でき、-pフラグでプロンプトを直接渡す非対話(ヘッドレス)実行にも対応しており、スクリプトへの組み込みや自動化にも使える。
公式のクイックスタートガイドは、Gemini CLIの使い方をインストール、認証、設定、利用の流れで説明している(Get started with Gemini CLI)。インストールと認証はここまでで説明した通りなので、実際にプロンプトを投げる部分を見ていく。起動はシンプルで、ターミナルで次のように打つだけだ。
gemini
起動後は対話形式でプロンプトを入力できる。クイックスタートが挙げている例は次の4つで、結果は使用モデルやプロジェクト環境によって変わるとの注記がある(Get started with Gemini CLI)。
例1 写真ファイルを中身に応じてリネームする。 photosフォルダの中にphoto1.pngなど連番の画像が並んでいる状態で、次のようにプロンプトを送る。
Rename the photos in my "photos" directory based on their contents.
Gemini CLIはファイル名変更の許可を求めてきて、「Allow once」を選ぶと、画像の内容に応じてyellow_flowers.pngのようなファイル名に変更される(Get started with Gemini CLI)。
例2 リポジトリのコードを読んで説明させる。 公開リポジトリのコードを実際に読んで要約させたい場合は、次のようなプロンプトを使う。
Clone the 'chalk' repository from https://github.com/chalk/chalk, read its key source files, and explain how it works.
Gemini CLIはgit cloneの実行許可を求め、主要なソースファイルを読む許可も求めたうえで、実際のソースコードに基づいた説明を返す。クイックスタートはこの例を、READMEだけでなくコードそのものを読む使い方として紹介している(Get started with Gemini CLI)。
例3 複数のCSVファイルを1つに統合する。 年度別に分かれた売上データのCSVを1つにまとめたい場合は、次のように指示する。
Combine the two .csv files into a single .csv file, with each year a different column.
各ファイルを読んだあと、新しいファイルへの書き込み許可を求められ、許可すると月別に年度を列にした統合CSVが提示される(Get started with Gemini CLI)。
例4 ユニットテストのひな形を生成する。 既存のコンポーネントに対してテストを書きたい場合は、対象ファイル名を指定するだけでよい。
Write unit tests for Login.js.
新規ファイルの書き込み許可を与えると、テストファイルが生成される(Get started with Gemini CLI)。
スクリプトから使う場合(ヘッドレスモード)。 対話画面を使わずに結果だけが欲しい場合は、-p(または--prompt)フラグを使う。TTYではない環境で実行した場合や、-pを指定した場合に自動的にヘッドレスモードになる(Headless mode reference)。
gemini -p "Explain the architecture of this codebase"
構造化した出力が欲しい場合は--output-format jsonを、進捗をリアルタイムで受け取りたい長時間タスクには--output-format stream-jsonを使う(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
gemini -p "Explain the architecture of this codebase" --output-format json
gemini -p "Run tests and deploy" --output-format stream-json
JSON出力のスキーマはresponse(モデルの最終回答)、stats(トークン使用量とAPIレイテンシ)、error(失敗時のみ)の3つで構成される。ストリーミング出力の場合はinit(セッション情報)・message(会話の断片)・tool_use(ツール呼び出し)・tool_result(ツールの出力)・error(警告やエラー)・result(最終結果と集計統計)という種類のイベントが改行区切りのJSON(JSONL)で流れてくる。終了コードは、0が成功、1が一般的なエラーまたはAPI障害、42が入力エラー(不正なプロンプトや引数)、53がターン数の上限超過を示す(Headless mode reference)。CI/CDやcronジョブに組み込む場合は、この終了コードで成否判定をする設計になる。
よく使うオプションを、CLIのチートシートから抜き出すと次のとおりだ(Gemini CLI cheatsheet)。
| オプション・コマンド | 内容 |
|---|---|
gemini -p "query" |
非対話で質問して結果を出力する |
gemini -i "query" |
プロンプトを実行したあと、対話モードを続ける |
gemini -r "latest" |
直近のセッションを再開する |
--list-sessions |
現在のプロジェクトのセッション一覧を表示して終了する |
-m / --model |
使用するモデルを指定する |
-s / --sandbox |
サンドボックス内で実行する |
--approval-mode |
ツール実行の承認方法(default・auto_edit・yolo・plan)を選ぶ |
--include-directories |
作業対象に追加するディレクトリを指定する |
-o / --output-format |
出力形式(text・json・stream-json)を選ぶ |
-v / --version |
バージョンを表示して終了する |
複数のディレクトリをまたいで参照させたい場合は--include-directoriesを使う。READMEには次の例が載っている(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。
gemini --include-directories ../lib,../docs
使用したトークン量や現在のクォータ状況は、セッション中に/stats modelと入力すればいつでも確認できる(Get started with Gemini CLI)。
使うモデルの選び方と最新モデル名の確認先
Gemini CLIで使うモデルは、起動後の/modelコマンドか、起動時の-mフラグで選べ、公式ドキュメントは複雑な作業にPro系、速さを優先する作業にFlash系を勧めつつ、多くの利用者にはAutoの設定を勧めている。
モデル選択のドキュメント(最終更新2026年3月19日)は、/modelを実行すると設定のダイアログが開き、モデルをシステムに選ばせるAutoと、特定のモデルを選ぶManualを選べると説明している。公式はAutoの設定を勧めており、期待した結果が得られないときはPro、速い応答が欲しいときはFlashやFlash-Liteに切り替える使い分けを挙げている。/modelや--modelで選んだモデルはサブエージェントのモデルを上書きしないため、利用状況のレポートに別のモデルが出ることがあるとも書かれている(Gemini CLI model selection)。
READMEには、モデルを指定して起動する例としてgemini -m gemini-2.5-flashが載っている。これは書き方の例で、最新のモデルを示すものではない(Gemini CLI公式GitHubリポジトリ)。CLIのチートシートによると、-mには具体的なモデル名のほか、auto・pro・flash・flash-liteというエイリアスを指定できる(Gemini CLI cheatsheet)。
Gemini APIのモデル一覧(2026年10月13日に確認)には、長期的なソフトウェア開発・自律エージェント・複雑な企業業務向けの安定版モデルとしてGemini 3.8 Flash(gemini-3.8-flash)、大量の処理を高速かつ低コストで実行するための安定版モデルとしてGemini 3.5 Flash-Lite、複雑な問題解決に向けた高度な知能を提供するプレビュー版モデルとしてGemini 3.1 Proが掲載されている(Gemini API models)。ただし、今回取得したGemini CLIのドキュメント(モデル選択、Gemini 3のページ、チートシート)には、Gemini 3.8 FlashとGemini 3.5 Flash-Liteの名称は見当たらなかった。Gemini 3のページには、Gemini 3.1 Proのプレビュー版がCLIで使えるかどうかを、/modelでManualを選び、gemini-3.1-pro-previewが表示されるかで確かめる手順が書かれている(Gemini 3 on Gemini CLI)。自分の環境で選べるモデルは、/modelのManualで直接確認するのが確実だ。ブラウザ版の最新モデルの特徴はGemini 3.8 Flashとはも参考になる。
覚えておきたいスラッシュコマンドと主要ツール
Gemini CLIは/から始まるスラッシュコマンドでセッションを管理し、実際のファイル操作やシェル実行はrun_shell_commandやwrite_fileといった組み込みツールが担当する。
公式のコマンドリファレンス(最終更新2026年8月17日)には30以上のスラッシュコマンドが列挙されているが(CLI commands)、最初に覚えておくと使いやすいのは次のあたりだ。
/help(または/?) ヘルプを表示する/aboutバージョン情報を表示する/auth認証方法を切り替える/chat(/resumeのエイリアス) 会話の保存・再開・共有を行う/clear会話の文脈を消して新しいセッションを始め、画面もクリアする/compress会話全体を要約に置き換えてトークンを節約する/init現在のディレクトリを分析してGEMINI.mdを生成する/model使用モデルを設定する/mcp設定済みのMCPサーバーを管理する/memoryGEMINI.mdから読み込んだ文脈(階層メモリ)を管理する/plan読み取り専用のプランモードに切り替える/rewind会話を過去の時点に戻し、必要ならファイルの変更も戻す(Escを2回押すショートカットもある)/tools現在利用できるツールを一覧表示する(/tools descで詳細説明も表示)/statsセッションの統計を表示する(/stats modelでトークン数とクォータ)/directory(/dir) ワークスペースに含めるディレクトリを管理する/settings設定エディタを開く/agentsローカルとリモートのサブエージェントを管理する/quit(/exit) 終了する
(CLI commands)。実際の処理を担う代表的な組み込みツールは次のとおりだ(Tools reference)。
| ツール名 | 種別 | できること |
|---|---|---|
| run_shell_command | 実行 | 任意のシェルコマンドを実行する。対話的セッションやバックグラウンド処理にも対応し、実行前に手動確認が必要。 |
| glob | 検索 | globパターンでワークスペース内のファイルを探す。 |
| grep_search | 検索 | ファイルの中身を正規表現で検索する。 |
| list_directory | 読み取り | 指定したパス内のファイル・サブディレクトリ名を一覧表示する。 |
| read_file | 読み取り | 指定したファイルの内容を読む。テキストのほか画像・音声・PDFにも対応。 |
| read_many_files | 読み取り | 複数ファイルの内容をまとめて読む。プロンプト内の@指定から呼び出されることが多い。 |
| replace | 編集 | ファイル内のテキストを部分的に置き換える。実行前に手動確認が必要。 |
| write_file | 編集 | ファイルを新規作成、または上書きする。実行前に手動確認が必要。 |
| google_web_search | 検索 | Google検索で最新の情報を調べる。 |
| web_fetch | 取得 | 指定したURLの内容を取得して処理する。外部への接続は、プライベートや予約済みのIPアドレス範囲に対して検証される。 |
| ask_user | 対話 | 不足している情報を対話形式でユーザーに確認する。 |
| write_todos | その他 | モデルが自分の作業手順を管理するための内部タスクリストを保持する。 |
プロンプトの中で@に続けてファイルやディレクトリのパスを書くとread_many_filesが呼ばれ、その内容がプロンプトに取り込まれる。!に続けてコマンドを書くとrun_shell_commandが直接実行される。ファイルを書き換えたりシェルコマンドを実行したりするファイルの書き換えやシェルコマンド実行など、状態を変更する系統のツールは、実行前に差分や実行コマンドの内容が表示され、手動での承認が求められる設計だ。公式ドキュメントも、ツールの実行を許可する前に確認プロンプトを注意深く確認するよう呼びかけている。サンドボックスと、フォルダごとにツールの使用を許可する信頼済みフォルダの設定も用意されている(Tools reference)。
Gemini CLIが向いている作業
Gemini CLIは、コードベースの理解・自動生成、複数ファイルにまたがるデータ整形、GitHubワークフローの自動化、スクリプトからの非対話実行など、ターミナルとファイルシステムを前提にした作業に向いている。
ここまでの内容を踏まえると、Gemini CLIが力を発揮しやすい場面は次のように整理できる(クイックスタート、READMEの紹介例に基づく)。
- 既存コードベースの読解・要約――公開リポジトリをクローンして中身を読ませ、実装の仕組みを説明させる使い方(前述のchalkの例)。
- 複数ファイル・複数フォーマットのデータ変換――年度別のCSVを1つに統合するような、手作業だと転記ミスが起きやすい処理(前述のCSV統合の例)。
- 単体テストのひな形生成――既存の実装ファイルを渡すだけでテストコードの土台を作らせる(前述のLogin.jsの例)。
- 内容を見て判断が必要なファイル操作の自動化――画像の中身に応じたリネームなど、単純なルールでは書けない処理(前述の写真リネームの例)。
- GitHubのPRレビューやIssueトリアージの自動化――Gemini CLI GitHub Actionを使い、コメントやラベル付けを自動化する。
- CI/CDやcronジョブへの組み込み――ヘッドレスモードと終了コードを使い、非対話でのチェック処理をパイプラインに組み込む。
- MCP経由での社内ツール連携――GitHub・Slack・データベースなど、複数のツールをコマンドラインの中から横断的に操作する。
いずれも、ターミナルとファイルシステムに直接アクセスできるという、ブラウザ版のGeminiにはない前提を活かした使い方だ。
Gemini CLIが向いていない作業と注意点
Gemini CLIはターミナル操作とファイルシステムへのアクセスを前提とするため、スマホ単体での利用や、ブラウザだけで完結する資料要約・メール作成、個人の無料アカウントだけに依存した業務フローの構築には向いていない。
逆に、次のような場面ではGemini CLI以外の選択肢のほうが向いている。
- スマホだけで完結させたい場合――Gemini CLIはターミナルが前提のツールなので、外出先でスマホから使いたいならGeminiスマホアプリの使い方のほうが実用的だ。
- Gmailやドキュメントでの日常業務効率化――メールの文面づくりや文書作成が中心なら、GeminiはGmailとGoogleドキュメントで仕事をどう変える?で紹介している使い方のほうが目的に合う。
- 資料の要約や音声解説の作成――複数の資料を読み込んで要約や音声概要を作りたいなら、NotebookLMの使い方の方が向いている。
- 個人の無料アカウントだけに依存した業務フローの構築――前述のとおり、2026年6月18日以降は無料ティアとGoogle Oneの扱いが公式サイト上でも食い違っている。業務で継続利用する前提なら、告知ブログが継続利用を明記しているCode Assist StandardやEnterpriseのライセンス、有料のAPIキーでの運用を、社内の管理者に確認したうえで検討したほうが安全だ(告知ブログ)。
- サードパーティ製ツールでのOAuth横流し――前述のとおり、Gemini CLIのOAuth認証を他のコーディングエージェントに使い回す行為は利用規約に反し、アカウント停止などの理由になり得る(Gemini CLI FAQ)。
- 確認プロンプトを読まずに全部許可すること――ファイルの上書きやシェルコマンドの実行は取り返しがつかない場合があるため、内容を確認せずに許可し続けるのは避けたほうがよい。
つまずいたときの確認ポイント
Gemini CLIで動かない・止まるときは、利用上限のエラー、バージョン、認証方法、Windowsでのコマンドの違いの順に、公式FAQの案内に沿って切り分けると原因を絞りやすい。
「API error: 429 – Resource exhausted」というエラーが出た場合は、リクエスト数の上限を超えているサインだ。公式FAQは、Google AI StudioやGoogle Cloudのダッシュボードで利用状況を確認すること、プロンプトをまとめて送るなどして短時間のリクエストを減らすこと、継続的に上限が足りないならクォータ増枠をGoogleに申請することを対処法として挙げている(Gemini CLI FAQ)。エラーの原因を確かめずにリトライを繰り返すより、まずこの手順を試すほうが早く解決する。
動作が想定と違うときは、まずバージョンを確認する。gemini --versionで今のバージョンを表示し、npmで入れているならnpm install -g @google/gemini-cli@latestで更新できる(Gemini CLI FAQ)。サインインの画面で意図しない認証方法が選ばれていると感じたら、セッション中に/authで認証方法を切り替えられる(CLI commands)。
Windowsでchmod +xのようなコマンドが原因でCLIが止まる場合、公式FAQは、chmodがLinuxやmacOSなどUnix系OS向けのコマンドでWindowsには標準で無いと説明している。Windowsではicaclsなどの同等のコマンドを使うか、Git BashやWSLのようなUnix系の環境を使う方法が挙げられている(Gemini CLI FAQ)。また、キャッシュされたトークン数が統計に出ないのは、キャッシュの作成にGemini Code Assist APIが対応していないため、OAuthで認証した利用者では表示されない、とFAQは説明している。APIキーまたはVertex AIの利用者には、キャッシュされたトークン数が使われた場合に表示される。
まとめ
Gemini CLIは、ターミナルからGeminiモデルを直接呼び出し、コードの理解・生成、ファイル操作、GitHub連携、MCP経由の外部ツール接続までをこなせるオープンソースのAIエージェントだ。npm・Homebrew・MacPorts・Anacondaのいずれかでインストールでき、npxで一時的に実行することもできる。認証はGoogleアカウントのサインイン、Gemini APIキー、Vertex AIの3通りから選べる。
ただし2026年10月13日に公式ページを取得した時点で最も押さえておきたいのは、2026年6月18日を境に、Google AI Pro・Ultraの利用者と個人の無料利用者に対するGemini CLIのリクエスト処理が止まると告知され、geminicli.comのバナーも無料ティアとGoogle Oneのユーザーが後継のAntigravity CLIに置き換えられたと告知している点だ(告知ブログ)。Gemini Code Assist StandardやEnterpriseのライセンスは変わらず、有料のAPIキーでも引き続き使えるとされているが、公式サイト内でも更新日の古いページには個人向けの手順や無料枠の数値がそのまま残っており、記載は一枚岩ではない。
次にやることは難しくない。まず自分がどの認証区分に当たるかを確認し、個人の無料利用を前提にしているなら実際にgeminiコマンドでサインインを試して挙動を確かめる。業務での利用を検討しているなら、社内のGoogle Workspace管理者やGoogle Cloud担当者に、Code Assist StandardやEnterpriseのライセンス、あるいは有料のAPIキーでの運用が可能かを先に確認してから、インストール作業に進むのが遠回りに見えて一番早い。
よくある質問(FAQ)
- Q1. Gemini CLIは今も無料で使えますか?
- 公式ドキュメントのバナーによれば、無料ティアとGoogle Oneのユーザーについて、Gemini CLIは2026年6月18日にAntigravity CLIへ置き換えられたとされている。告知ブログも、同日にGoogle AI Pro・Ultraと個人の無料利用に対するリクエスト処理が止まると伝えている。一方で同サイトの一部ページには個人向けの手順や無料枠の数値がまだ残っており、記載が一致していない。個人アカウントで使えるかどうかは、実際にサインインを試して挙動を確かめたほうが早い。
- Q2. Gemini CLIとAntigravity CLIは何が違いますか?
- Google公式ブログによれば、Antigravity CLIはGoで構築されており、複数のエージェントをバックグラウンドで非同期に動かせる点が特徴とされている。Agent Skills・Hooks・Subagents・Extensions(Antigravity CLIではプラグインとして提供)といった主要機能は引き継がれているが、発表時点では機能が1対1で同等ではないとも説明されている(告知ブログ)。
- Q3. Gemini CLIのインストールに必要な環境は何ですか?
- 公式ガイドでは、OSはmacOS 15以降・Windows 11 24H2以降・Ubuntu 20.04以降、ランタイムはNode.js 20.0.0以降、シェルはBash・Zsh・PowerShellのいずれか、Gemini Code Assistの対応地域で、インターネット接続が必要とされている(インストールガイド)。
- Q4. 認証で「Google Cloud Project」の設定が必要になるのはどんな時ですか?
- 公式ガイドによると、会社・学校・Google Workspaceのアカウントを使う場合、Google Developer Program経由のGemini Code Assistライセンスを使う場合、Gemini Code Assistサブスクリプションのライセンスを使う場合の、いずれかに当てはまるときに設定が必要になる。ほとんどの個人のGoogleアカウント(無料・有料とも)では、認証にGoogle Cloudプロジェクトは不要とされている(認証ガイド)。
- Q5. 「API error: 429 – Resource exhausted」と表示されたらどうすればよいですか?
- 公式FAQでは、この表示はAPIリクエストの上限を超えたサインだとしている。対処法として、Google AI StudioやGoogle Cloudのダッシュボードで利用状況を確認すること、プロンプトをまとめるなど送信回数を減らす工夫をすること、必要に応じてGoogleへクォータ増枠を申請することが挙げられている(FAQ)。
- Q6. Claude CodeなどほかのAIエージェントからGemini CLIの認証を使い回せますか?
- 公式FAQは、サードパーティ製ツールがGemini CLIのOAuth認証を横流しして使う行為を利用規約に反するものとし、アカウントの停止や解約の理由になり得ると説明している。別のコーディングエージェントからGeminiを使いたい場合は、Vertex AIかGoogle AI StudioのAPIキーを使うのが、公式が案内している方法だとされている(FAQ)。
- Q7. Gemini CLIの設定ファイルはどこに保存されますか?
- 公式FAQによると、設定はホームディレクトリの
~/.gemini/settings.jsonと、プロジェクトのルートディレクトリにある./.gemini/settings.jsonの2箇所に保存される(FAQ)。 - Q8. インストールしたGemini CLIのバージョンはどう確認し、どう更新しますか?
- 公式FAQでは、
gemini --version(またはgemini -v)の実行、または起動中のセッションでの/aboutでバージョンを確認できるとされている。npmでグローバルインストールした場合の更新はnpm install -g @google/gemini-cli@latestだ(FAQ)。
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