Google I/O 2026(2026年5月19日〜20日)は、Geminiが「質問に答えるAI」から「作業を引き受けるAIエージェント」へ軸足を移した発表の場でした。ただし、発表から4か月以上が過ぎた2026年9月30日時点では、主力モデルも料金も提供状況も、発表当日から変わっています。
この記事は、I/Oで発表されたAIエージェント関連の内容を、Googleの公式ページで確認できた範囲だけ「発表時点」と「2026年9月30日時点」に分けて整理します。確認できなかった製品名・日付・数値は書いていません。
結論を先に書くと、I/O当日の看板だったGemini 3.5 Flashは、Gemini APIの公式モデル一覧では「legacy(旧世代)」扱いになり、現在の最上位Flashは2026年9月2日にGAとなったGemini 3.8 Flashです。エージェント機能を試すなら、まず3.8 Flashを基準に考えるのが現実的です。
- I/O 2026で発表されたAIエージェント関連の内容は何か
- 発表時点から現在までに、モデル・料金・提供状況がどう変わったか
- Antigravity、Managed Agents、Computer Use、Gemini Sparkは今どの段階にあるか
- 旧モデルを使っている場合、どこを見直すべきか

AIは、目的と手順を整理し、まずは一つの作業から試してみてください。
この記事でわかること
【完全無料】AI×SNSで成果を出す100大特典を受け取る
AIの使い方を、SNS運用の実務につなげたい方へ。LINEで特典の案内を受け取れます。
- Google I/O 2026で発表されたAIエージェントの全体像
- 発表から現在までの変化(3.5 Flashから3.8 Flashへ)
- モデル別の料金と用途の比較
- Antigravityとマネージドエージェント
- Computer Useツールの現在の位置づけ
- Gemini Sparkなど一般向けエージェントの提供状況
- Gemini Omni Flashの発表とその後
- 導入時の進め方と注意点
Google I/O 2026の全体像:エージェントを前面に出した発表
Google I/O 2026の中心は、Gemini 3.5シリーズと、エージェント開発基盤Antigravityの拡張でした。Googleはこの時期を「agentic Gemini era(エージェント型Geminiの時代)」と位置づけています。
Googleの公式ブログによると、Sundar Pichai氏の基調講演は2026年5月19日に行われ、タイトルは「I/O 2026: Welcome to the agentic Gemini era」でした。ここで紹介された主な柱は、モデル(Gemini 3.5 Flash、Gemini Omni)、開発者向けエージェント基盤(Antigravity 2.0)、一般向けエージェント(Gemini Spark)、検索のエージェント化(information agents)の4つです。詳しくはI/O 2026 基調講演の公式記録で読めます。
発表内容の一覧は、Googleが公開した「100 things we announced at I/O 2026」にまとまっています。開発者向けの要点はGoogle Developers Blogの開発者キーノートまとめが正本です。
「エージェント」とは何を指すのか
AIエージェントは、質問に1回答えて終わるのではなく、目標を受けて複数の手順を自分で進め、途中でツールを使い、結果を返すAIの使い方を指します。Googleの開発者向け資料では、Gemini APIのマネージドエージェントを「1回のAPI呼び出しでLinuxのサンドボックスを用意し、そこでエージェントが推論、コード実行、ファイル管理、Web閲覧を行う仕組み」と説明しています。
発表時点の主な項目
発表時点で公式に示された主な項目を、製品ごとに短く整理します。各項目の提供状況は、後の章で現在の状態を併記します。
- Gemini 3.5 Flash:I/O当日に発表。Googleは「frontier intelligence with action(高度な知能と実行力の組み合わせ)」を掲げる新シリーズの最初のモデルと説明
- Gemini 3.5 Pro:講演では「次の月に提供予定」と予告
- Antigravity 2.0とAntigravity CLI、Antigravity SDK:エージェントを複数並行で動かす開発基盤
- Managed Agents in the Gemini API:1回のAPI呼び出しで、リモートのサンドボックスを備えたエージェントを用意
- Gemini Spark:Geminiアプリ内の個人向けエージェント
- Searchのinformation agents:検索内でバックグラウンドで動く情報収集エージェント
- WebMCP:ブラウザ上のエージェント向けに、Webサイト側がツールを公開する提案中のオープン標準
発表から現在まで:Gemini 3.5 Flashから3.8 Flashへ
I/O当日の主力だったGemini 3.5 Flashは、現在のGemini API公式モデル一覧で旧世代(legacy)扱いです。2026年9月30日時点の最新Flashは、9月2日にGAとなったGemini 3.8 Flashです。
Gemini APIのリリースノートを時系列で確認すると、Flashのモデルは短い間隔で更新されています。下の表は、リリースノートに記載された日付と内容だけを抜き出したものです。
| 日付(2026年) | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 5月19日 | Gemini 3.5 FlashがGA。Managed Agents(公開プレビュー)とAntigravityエージェントも同日に登場 | Gemini APIリリースノート |
| 6月24日 | Computer Useツールが、Gemini 3.5 Flashで公開プレビューとして開始 | 同上 |
| 7月21日 | Gemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-LiteがGA | 同上 |
| 8月13日 | Gemini 3.7 FlashがGA | 同上 |
| 9月2日 | Gemini 3.8 FlashがGA | 同上、公式ブログ |
| 9月18日 | Gemini 2.5系へのアクセスを、過去に利用したユーザーに限定。新規プロジェクトには3.5 Flash-Liteまたは3.8 Flashを案内 | 同上 |
Googleの公式ブログは、Gemini 3.8 Flashを「長期的なコーディングと自律エージェント向け」と位置づけ、3.7 Flashと同じ速度と低価格を維持しながら推論とコーディング性能を高めたモデルと説明しています(2026年9月2日付)。詳細はGemini 3.8 Flashの公式発表を確認してください。
この変化が記事の読み方に与える影響
I/O当日の記事や動画で「最新はGemini 3.5 Flash」と説明されていても、現在の公式一覧では3.8 Flashが最新で、3.5 Flashは旧世代です。モデル名をコードに書く場合は、公式のモデル一覧で現在のIDを確認してから指定してください。
モデル別の料金と用途の比較
Gemini APIの料金は、モデルごとに100万トークン単位で公式の料金表に載っています。下の表は2026年9月30日に料金ページで確認した、標準(Standard)・有料枠の単価です。
料金は変更されることがあります。単価は米ドル、100万トークンあたり、標準(Standard)の有料枠です。最新の数字はGemini API料金ページで確認してください。なお、英語版と日本語版の料金ページで、Gemini 3.8 Flashの単価に食い違いはありませんでした(日本語版も確認済み)。
| モデル | 入力(USD) | 出力(USD) | 公式の位置づけ |
|---|---|---|---|
| Gemini 3.8 Flash | 2026年12月31日まで0.75、2027年1月1日から1.50 | 2026年12月31日まで3.75、2027年1月1日から7.50 | 最も高性能なFlash。長期のソフトウェア開発、自律エージェント向け |
| Gemini 3.7 Flash | 2026年12月31日まで0.75、2027年1月1日から1.50 | 2026年12月31日まで3.75、2027年1月1日から7.50 | 日常のコーディングやツール利用向け |
| Gemini 3.6 Flash | 2026年12月31日まで0.75、2027年1月1日から1.50 | 2026年12月31日まで3.75、2027年1月1日から7.50 | 前世代のFlash |
| Gemini 3.5 Flash | 1.50 | 9.00 | 旧世代のFlash(I/O当日の主力モデル) |
| Gemini 3.5 Flash-Lite | 0.30 | 2.50 | 大量処理・翻訳・簡単なデータ処理向けの低コスト版 |
表のとおり、3.8 Flashの単価は3.5 Flashより低く設定されています。ただし3.6 Flash以降の低い単価は2026年12月31日までの適用で、2027年1月1日以降は単価が変わると料金ページに明記されています(3.7 Flashと3.8 Flashについては、Googleが「introductory price(導入期価格)」と表記しています)。予算を立てる際は、期間の切り替えを含めて見積もってください。
Googleの公式ブログは、3.8 Flashが複雑な課題では追加の推論ステップやツール呼び出しを行い、特に高い努力レベルではより多くのトークンを使う場合があると説明しています。単価が同じでも、タスクによっては使用量が増える点は見積もりで考慮が必要です。トークン消費を抑えたい場合は、低い努力レベルの設定(思考の設定はGemini APIのThinkingの解説を参照)や、引き続きサポートされている3.7 Flashの利用が選択肢とされています(公式ブログ)。
AntigravityとManaged Agents:開発者向けエージェント基盤
Antigravityは、複数のエージェントを並行で動かして開発を進めるためのGoogleのエージェント開発基盤で、Managed Agentsはその仕組みをGemini APIから呼び出せる形にしたものです。
I/Oの開発者キーノートでは、Antigravity 2.0とAntigravity CLIという2つの利用窓口が紹介されました。専門のサブエージェントを立ち上げて複雑な作業を分担でき、ターミナルのサンドボックス、認証情報のマスク、Gitのポリシー強化で保護される、と公式に説明されています。プログラムから制御したい場合は、Antigravity SDKでエージェントの挙動をカスタマイズし、自前の環境に配置できます(開発者キーノートのまとめ)。
Managed Agentsの現在の状態
Gemini APIの公式ドキュメントでは、マネージドエージェントは2026年9月30日の確認時点でも「Public Preview(公開プレビュー)」と明記されています。Googleは、重要なワークフローで頼る前にエージェントの操作と出力を確認することを求めています。
公式ドキュメントによると、標準のAntigravityエージェントはGemini 3.8 Flashをもとに作られた汎用エージェントで、Googleがホストする安全なLinuxサンドボックス内でコード実行、ファイル管理、Web検索を行います。基盤モデルは、設定で3.7 Flash、3.6 Flash、3.5 Flashなどへ切り替えられます。もうひとつの管理型エージェントとして、調査を自律的に進めるDeep Research(使い方はGeminiのDeep Researchの使い方)も用意されています(Agents overview)。
料金は従量課金で、公式ドキュメントは1回のやり取りが複数の推論ループを起こし、通常は10万〜300万トークンを消費する場合があると説明しています。プレビュー期間中は環境の計算資源は課金されないと記載されています。また、サンドボックスは初期状態で外部への通信が制限されておらず、許可リスト(allowlist)で制限できます。認証情報は管理資格情報として保存し、必要最小限の権限にとどめるよう公式が案内しています(Agents overview)。
Antigravityエージェントの更新と旧版の終了日
リリースノートによると、2026年9月17日にantigravity-preview-09-2026が公開され、従来のantigravity-preview-05-2026を置き換える形で旧版は非推奨になりました。旧版は2026年10月5日に終了します。リモートのサンドボックスで出力テキストだけを読んでいる場合は、エージェント名の文字列を更新するだけで済みますが、ローカルでツールを動かしたり、関数呼び出しのステップを解析したりしている場合は、組み込みツールの引数の書き方が変わっているため、移行の確認が必要です(Gemini APIリリースノート)。
社内の関連記事として、Managed Agentsの本番運用の考え方はManaged Agentsを本番向けに広げる方法の解説でも扱っています。
Computer Useツール:画面操作の自動化の現在地
Computer Useは、AIが画面を見てクリックや入力を行う機能で、2026年9月30日時点でもGemini APIの公式ドキュメント上は「プレビュー機能」と明記されています。
リリースノートによると、Computer Useは2026年6月24日にGemini 3.5 Flashで公開プレビューが始まりました。意図(intent)を伴う簡素化された操作、ブラウザ・モバイル・デスクトップ環境への対応、設定可能な安全ポリシー、プロンプトインジェクションの検出などが含まれると説明されています(Gemini APIリリースノート)。
現在の公式ドキュメントでは、Computer Useの推奨モデルはGemini 3.8 Flashで、高精度のUI操作と安定したツール呼び出しが特徴とされています。3.7 Flashは前の安定版、3.5 Flashも「前の安定版」として記載されています。プレビュー機能であることから、Googleはミスやセキュリティ上の弱点が含まれ得るため、重要な作業では厳重に監督し、重要な判断、機微なデータ、失敗を取り戻せない操作には使わないよう案内しています(Computer Useの公式ドキュメント)。
仕組みや対応環境は、社内のGemini Computer Useの仕組みと安全機能の解説で詳しく整理しています。
Gemini Sparkと検索のエージェント:一般向けの提供状況
Gemini Sparkは、Geminiアプリの中で動く24時間稼働の個人向けエージェントで、2026年5月19日のI/Oで発表されました。提供地域とプランは、発表後に段階的に広がっています。
Googleの発表では、SparkはGemini 3.5とAntigravityをもとにしたエージェントで、利用者が有効にし、重要な行動の前には確認を求める設計とされています。発表時は、信頼できるテスターへの提供とGoogle AI Ultra(米国)向けのベータを予告していました(100 things we announced at I/O 2026)。
その後の状況は、Geminiアプリのヘルプページ「What’s new for Gemini Spark」で確認できます。下の表は、このヘルプページの記載を日付つきで抜粋したものです。
| 日付(2026年) | 公式ヘルプの記載内容 |
|---|---|
| 5月19日 | 米国でSchedules(定期実行)とSkills(スキル)付きの提供が開始 |
| 6月17日 | Geminiアプリ対応地域のうち、日本を含むいくつかの国・地域を除いて展開開始 |
| 6月29日 | カスタムのConnected Appsに、MCPサーバーURLで接続できるようになった |
| 7月14日 | Google AI Ultra加入者向けに、Geminiアプリ対応地域へ拡大(欧州経済領域、ナイジェリア、スイス、英国を除く) |
| 7月16日 | 米国のGoogle AI Pro加入者向けに英語で提供開始 |
この表の出典はWhat’s new for Gemini Spark(Gemini アプリ ヘルプ)です。提供地域・言語・プランは更新され続けるため、ご自身のアカウントで使えるかは、このヘルプページと、アプリ内の表示で確認してください。日本語版のヘルプでは記載が異なる場合があります。
検索のinformation agentsとGoogle AIプラン
I/Oでは、検索に「information agents」を導入することも発表されました。バックグラウンドで24時間動き、関心のある話題を追い、変化があれば要約して知らせる仕組みで、最初はGoogle AI ProとUltraの加入者向けに夏に展開すると説明されています(基調講演の公式記録)。
同じ日のGoogle AIサブスクリプションの発表では、月額100ドルの新しいGoogle AI Ultraプランが加わり、従来の最上位Ultraは月額250ドルから200ドルに値下げされました。100ドルのプランはProプランより5倍高い使用上限やAntigravityへの優先アクセスなどを備えると説明されています(Google AI subscription updates from Google I/O 2026)。これは発表時点の内容で、現在の価格・特典は公式のプラン一覧で確認してください。プランの選び方はGoogle AIプランの違いの解説が参考になります。
Gemini Omni Flash:発表、プレビュー、GAの流れ
Gemini Omniは、任意の入力から任意の出力を生成することを目指すGoogleの新しいモデルで、最初のモデルGemini Omni Flashは動画出力から始まりました。API向けには2026年8月27日にGA版が出ています。
基調講演では、Omniは「あらゆる入力からあらゆる出力を生成できるモデル」で、まず動画出力から始め、画像とテキストは後から追加する、と説明されました。Gemini Omni FlashはGeminiアプリ、Google Flow、YouTube Shortsで使え、開発者向けAPIは「数週間以内」に展開する予定とされていました(基調講演の公式記録)。
その後、Gemini APIのリリースノートでは次のように更新されています。2026年6月30日にgemini-omni-flash-previewが公開プレビューとして登場し、8月27日にGA版のgemini-omni-1.1-flashが公開されました。GA版には、動画の延長、最初と最後のフレームを指定する補間、解像度の指定(360p、720p、1080p、4K)が加わったと説明されています。旧プレビュー版のエンドポイントは2026年9月30日に非推奨となる予定です(Gemini APIリリースノート)。プレビュー版をコードで指定している場合は、GA版のモデルIDへの切り替えが必要です。
料金ページによると、GA版の料金は入力が100万トークンあたり1.50ドル、出力がテキストで9.00ドル、動画で17.50ドルです。動画出力は、720p動画1秒あたり5,792トークンの計算で、標準料金では1秒あたり約0.10ドルに相当すると注記されています。無料枠はなく、有料枠向けです(Gemini API料金ページ)。
WebMCPとChrome:Webサイト側のエージェント対応
WebMCPは、Webサイト側がJavaScript関数やHTMLフォームを「ツール」として公開し、ブラウザ上のAIエージェントがそれを使えるようにする、提案中のオープン標準です。
Google Developers Blogによると、WebMCPの試験的なオリジントライアルはChrome 149から始まり、Chrome上のGeminiへの対応は「まもなく」と説明されています。ほかに、コーディングエージェント向けのModern Web Guidanceや、エージェントがChrome DevToolsの機能を使えるChrome DevTools for agentsも紹介されました(開発者キーノートのまとめ)。
WebMCPは「提案中の標準」であり、すべてのサイトや環境で使えるものではありません。自社サイトを運営している場合は、公式の発表内容を確認しつつ、まず社内の試験環境で挙動を見るところから始めるのが現実的です。
旧モデルを使っている場合の見直しポイント
Gemini 2.0系は2026年6月1日に終了し、2.5系は2026年9月18日以降、過去に使った利用者に限って提供されています。新しい開発は、3.5 Flash-Liteか3.8 Flashを前提に考えるのが公式の案内です。
リリースノートでは、gemini-2.0-flash、gemini-2.0-flash-001、gemini-2.0-flash-lite、gemini-2.0-flash-lite-001が2026年6月1日に終了し、代わりにgemini-3.5-flashまたはgemini-3.1-flash-liteを使うよう案内されています。2.5系は「非推奨ではなく、別途通知があるまで提供される」とされたうえで、新しいプロジェクトには3.5 Flash-Liteまたは3.8 Flashが推奨されています(Gemini APIリリースノート)。終了予定日は公式の非推奨ページにまとまっています。
| 今使っているもの | 公式で確認できる状況 | 見直しの観点 |
|---|---|---|
| Gemini 2.0 Flash系 | 2026年6月1日に終了 | 公式が示す後継モデルへ切り替える |
| Gemini 2.5系 | 過去の利用者に限り提供。非推奨ではないが新規向けは3.5 Flash-Lite/3.8 Flash | 新規案件は新しいモデルで設計し、既存案件は代替モデルで出力を比べる |
| gemini-omni-flash-preview | 2026年9月30日に非推奨予定 | GA版gemini-omni-1.1-flashへ切り替える |
| antigravity-preview-05-2026 | 2026年10月5日に終了 | antigravity-preview-09-2026へ移行し、ローカルツールの引数を確認する |
導入の進め方:小さく試して、人が確認する
エージェントの導入は、繰り返しが多く、ルールが明確で、人が結果を確認しやすい作業を1つ選び、範囲を絞って試すところから始めるのが安全です。
以下は、導入の流れを説明するための「仮の例」です。実在の企業や成果を示すものではありません。
| 段階 | 仮の例:問い合わせメールの下書き |
|---|---|
| 対象作業 | 社内のよくある質問に対する返信の下書きを作る |
| 任せる範囲 | 下書きの作成まで。送信は人が行う |
| 使う機能 | Gemini APIの通常の生成。画面操作や自律実行は使わない |
| 確認方法 | 担当者が下書きを読み、誤りがあれば修正して送る |
| 広げる条件 | 修正の頻度と内容を記録し、理由を説明できる範囲で対象を増やす |
画面操作(Computer Use)や自律実行型のエージェントを使う場合は、上の例よりも厳しい条件が必要です。公式ドキュメントが示すとおり、重要な判断、機微なデータ、取り消せない操作には使わず、権限は必要最小限にとどめます。
モデルの選び方の基本は、「まず新しい世代の標準モデルで試し、費用が問題なら低コスト版を比べる」ことです。たとえば大量の単純処理なら3.5 Flash-Lite、複雑な多段作業なら3.8 Flashが公式の位置づけに沿った候補です。ツール呼び出しの基本はFunction Callingの入門解説、ターミナルでの利用はGemini CLIの使い方にまとめています。料金の読み方はGemini API料金の読み方の解説、3.8 Flash自体の特徴はGemini 3.8 Flashの解説を参照してください。
デメリット・注意点 — 正直に書く

コストが想定外に膨らむ可能性
公式ドキュメントは、マネージドエージェントの1回のやり取りが複数の推論ループを起こし、通常10万〜300万トークンを消費する場合があると説明しています。また、Gemini 3.8 Flashは複雑な課題で追加の推論やツール呼び出しを行うため、トークン使用量が増えることがあると公式ブログも述べています。
本番で動かす前に、使用量の上限設定と、少量での試算をしてください。すぐに結果が要らない処理は、Batch APIの料金の考え方も比較対象になります。料金の仕組みは公式の料金ページで確認できます。
誤りが残る可能性と、人の確認
エージェントは複数の手順を自動で進めるため、途中の誤りがそのまま次の手順に引き継がれる場合があります。公式ドキュメントも、コード、データ変換、設定変更の出力は、特に外部システムに影響する作業では、展開の前に事前に人が確認するよう求めています。法律、医療、財務に関わる内容は、専門家の確認を前提にしてください。
プレビュー機能は仕様が変わる可能性
Managed AgentsとComputer Useは、2026年9月30日の確認時点でプレビュー扱いです。プレビューの機能は、名称、パラメータ、提供条件が変わる場合があります。実際にAntigravityエージェントでは、2026年9月に旧版の終了日が示され、組み込みツールの引数の書き方も変わりました。本番の重要業務に使う場合は、正式提供の状況を見て判断してください。
データの扱いと外部への接続
エージェントに外部サービスの認証情報を渡す場合、そのエージェントは渡された権限の範囲で操作できます。公式ドキュメントは、最小権限のアカウントやAPIキー、短い有効期限のトークンを使い、定期的にローテーションするよう案内しています。個人情報や機密情報を扱う場合は、社内の規程と、Googleの利用規約、プライバシーに関する方針を先に確認してください。
よくある質問(FAQ)
- Q1. Google I/O 2026で一番の目玉は何でしたか?
- 公式の基調講演では、Gemini 3.5 Flash、Gemini Omni、Antigravity 2.0、Gemini Sparkが主な柱として紹介されました。ただし発表から時間がたっており、モデルは現在3.8 Flashが最新です。
- Q2. Gemini 3.5 Proは提供されましたか?
- 基調講演では「次の月に提供予定」と予告されました。2026年9月30日に取得した公式のリリースノートとモデル一覧では、Gemini 3.5 Proの記載を確認できていません。提供状況は公式モデル一覧でご確認ください。
- Q3. 無料でGeminiのエージェント機能を試せますか?
- Gemini APIの料金ページでは、3.8 Flashなどに無料枠が表示されていますが、無料枠の内容はモデルと機能で異なり、Omni Flashのように有料枠向けのものもあります。マネージドエージェントにも、無料枠のレート制限付きの利用が記載されています。条件は公式ページで確認してください。
- Q4. Gemini Sparkは日本で使えますか?
- Geminiアプリのヘルプページでは、2026年6月17日の拡大時点で日本が除外地域に含まれていました。その後、7月14日にGoogle AI Ultra向けの拡大が記載されていますが、提供地域は更新され続けます。ご自身のアカウントでの利用可否は、ヘルプページとアプリ内の表示で確認してください。
- Q5. 今から新しく作るなら、どのモデルを選べばよいですか?
- 公式は、新しいプロジェクトには3.5 Flash-Liteまたは3.8 Flashを案内しています。複雑な多段作業なら3.8 Flash、大量の単純処理なら3.5 Flash-Liteが、公式の位置づけに沿った出発点です。
- Q6. Computer Useを業務で使ってよいですか?
- 公式ドキュメントはプレビュー機能とし、重要な判断、機微なデータ、取り消せない操作には使わないよう案内しています。試す場合は、影響の小さい作業を人が見守る形で始めてください。
- Q7. Gemini Omni Flashのプレビュー版を使っています。どうすればよいですか?
- リリースノートでは、旧プレビュー版のエンドポイントは2026年9月30日に非推奨となる予定と記載されています。GA版のモデルIDへの切り替えを検討してください。
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| AIエージェント | 目標を受けて、ツールを使いながら複数の手順を自分で進めるAIの使い方 |
| Antigravity | Googleのエージェント開発基盤。デスクトップアプリ、CLI、SDKの形で提供される |
| Managed Agents | Gemini APIの1回の呼び出しで、サンドボックス付きのエージェントを用意する仕組み(公開プレビュー) |
| Computer Use | AIが画面を見てクリックや入力を行う機能(プレビュー) |
| Gemini Spark | Geminiアプリ内で動く個人向けのエージェント |
| Gemini Omni | 任意の入力から任意の出力を生成することを目指すモデル。最初は動画出力 |
| WebMCP | Webサイト側がツールを公開し、ブラウザ上のエージェントが使えるようにする提案中の標準 |
| トークン | AIが処理する文章などの最小単位。API料金の計算単位 |
| GA(一般提供) | プレビュー段階を終え、正式に提供される状態 |
まとめ
Google I/O 2026は、Geminiのエージェント化を打ち出した発表でした。ただし発表当日の情報と、2026年9月30日時点の公式情報には差があります。この記事の要点は次のとおりです。
- モデル:I/O当日のGemini 3.5 Flashは旧世代となり、最新は9月2日にGAとなったGemini 3.8 Flash(公式モデル一覧)
- 料金:3.6 Flash以降は2026年12月31日までの適用単価で、2027年1月1日以降は単価が変わる
- 開発基盤:Managed AgentsとComputer Useは公開プレビュー。旧Antigravityエージェントは10月5日に終了
- 一般向け:Gemini Sparkは提供地域とプランが段階的に広がっている。利用可否は公式ヘルプで確認
- Omni:8月27日にGA版が登場し、プレビュー版は9月30日に非推奨となる予定
数字や提供状況は変わり続けるため、導入の前には公式ページで最新の内容を確認してください。まず影響の小さい作業で試し、人が確認する仕組みを残したまま、対象を少しずつ広げていくのが現実的な進め方です。
※本記事は2026年9月30日時点の公式情報をもとにしています。料金・機能・提供地域は変更される場合があります。最新情報はGoogle公式でご確認ください。
あわせて読みたい・姉妹メディア
