GeminiのGemの作り方|設定手順・使い分け・共有時の注意点

GeminiのGemの作り方|設定手順・使い分け・共有時の注意点
📅 公開日: 2026年9月17日🔄 最終更新: 2026年10月16日

Geminiの Gem(ジェム)は、毎回打ち込んでいた前置きを保存しておき、同じ役割を与えたGeminiをいつでも呼び出せるようにする仕組みです。結論から言うと、作成そのものは「gemini.google.com を開く」「Gem を作成する」「名前とカスタム指示を入れる」「保存する」という短い流れで終わります。つまずきやすいのは操作の順番ではなく、カスタム指示に何を書くかと、知識ファイルを付けたGemを誰に渡すかという2つの判断です。ただし2026年10月13日以降、Googleは「スキル(skills)」の展開を始めており、公式は「スキルがまもなくGemに代わる」と案内しています。いまGemを作ってよいかは、この記事の最初の節にまとめました。

この記事では、Google公式ヘルプに実際に書かれている画面のラベルと数値だけを使って、作成手順、カスタム指示の完成例、通常のチャットとの使い分け、共有したときに相手へ何が渡るのかを順に整理します。公式ヘルプに記載が見当たらない項目は推測で埋めず、そのまま「公式ヘルプで確認してください」と書き分けます。Gemini自体の基本操作から確認したい場合は、Google AIの使い方ガイドを先に読むと、この記事の手順が追いやすくなります。

なお、この記事に登場する業務内容・Gem名・指示文・運用メモは、手順の結果がどんな文章になるかを見せるための仮の例です。実在の案件ではありません。数値と画面のラベルだけが公式ヘルプ由来で、そこに仮の例をかぶせて読んでいただく構成にしています。

目次

GemはGeminiに役割と手順を覚えさせる保存済みの指示

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Gemとは、名前とカスタム指示(必要なら知識ファイル)を保存しておき、その設定を読み込んだ状態でGeminiと会話できるようにしたものです。

Google公式のGeminiアプリ ヘルプは、この機能の目的を「Gem を作成して保存することで、Gemini アプリの回答をあなただけのニーズに合わせてカスタマイズできます」と説明しています(Gemini アプリで Gem を使用する)。Workspace管理者向けのヘルプではもう少し踏み込み、「Gem は、Gemini のカスタマイズ バージョンで、反復的なタスクの処理や新しい分野での専門知識の習得をサポートします」と書かれています。

2026年10月時点のGemとスキルの現状と、いまGemを作るべきか

スキルとは、Geminiに文体やフォーマットなど繰り返し発生するタスクの処理を覚えさせる機能で、Googleは将来的にGemに代わるものと案内しています。

Googleのリリースノートは、スキルを「アプリを見つけてスキルを追加すると、お好みの文体で文章を書いたり、指定したフォーマットに従ったりするなど、繰り返し発生するタスクを Gemini に処理させることができます」と説明し、ウェブ・モバイル・Windows と macOS のGeminiデスクトップアプリでグローバルに展開すると記載しています(Gemini アプリのリリースノート)。同じ英語版の記載には “Skills will soon replace Gems” の趣旨の一文があり、Gemが置き換えられる方向であることが読み取れます。一方で、置き換えの時期は「soon」とだけ書かれ、日付は示されていません。

Workspace向けの公式アナウンスでは、展開の状況が分かれています(Google Workspace Updates 2026年10月)。確認できた範囲を表にします。

確認したい点 公式に書かれていること
Geminiアプリのスキル Workspace Updatesでは10月13日から展開開始。完了は11月中旬の予定(リリースノートには9月30日付の展開開始の項目もある)。Geminiアプリのスキルに管理者設定はない
Workspaceのスキル 展開は「slightly delayed」とされ、新しい日程は確定次第の案内。現時点では延期扱い
年齢条件 Workspaceのスキルは18歳超のユーザーのみ。Geminiアプリのスキルは全年齢が対象と記載(リリースノートの脚注には「現在は18歳以上、順次拡大」の趣旨の注記もあり、ページ間で表現が異なる)
Gemsがいつ終わるか 「soon」とのみ記載。具体的な日付は公式に記載なし
作成済みのGemの扱い リリースノートには、Gemがなくなる際に自動でスキルへ移行すると読める記載がある。ただしWorkspace Updatesの該当投稿本文に具体的な説明はなく、移行ガイドへのリンクのみ。詳細は公式の移行ヘルプで確認が必要
日本の個人アカウントでスキルが見えるか 段階展開のため、この記事では確認できていません。見えるかどうかは、お使いの画面で確かめてください

読者がここで決めるのは、いまGemを作るかどうかです。判断はこう分けられます。(1) スキルがまだ画面に出ていないなら、いまのGemの作成機能は引き続き公式ヘルプに手順があるので、この記事の手順で作って問題ありません。(2) すでにスキルが出ている環境では、新しく作る前にスキルで同じことができるかを先に確かめてください。(3) Workspace(仕事・学校のアカウント)は展開が遅れているため、当面はGemの手順が基準になります。いずれの場合も、カスタム指示の原文は手元のドキュメントに残しておくと、スキルへ作り直す場合にもそのまま使えます。この記事で扱うカスタム指示の書き方(ペルソナ・タスク・コンテキスト・形式、禁止事項、欠損時の振る舞い)は、機能名が変わっても指示文の考え方として使い回せます。

目の前の作業をGemにするかどうかの判断

読者がここで決めるのは、目の前の作業をGemにするかどうかです。判断の目安はシンプルで、同じ前置きを3回以上打ち直しているなら移す価値があります。1回きりの調べ物や、条件が毎回変わる相談は、通常のチャットのままのほうが早く終わります。

仮の例として、Gemに移す前に毎回打っていた前置きを、そのまま書き出してみます。「あなたは社内広報の担当者です。これから貼る週次の数値メモを、社内Slack向けの短い報告文に直してください。見出しは付けず、最初の1文で結論、そのあと箇条書き3つ、最後に来週見る指標を1行。数値は私が渡したものだけを使い、増やさないでください」。この4文がそのままカスタム指示の下書きになります。逆に言えば、この4文を毎回打っていないなら、まだGemにする段階ではありません。

Gemが向く用途をもう少し広く眺めたい場合は、Google AI活用事例を目的別に整理|仕事・学習・SNS運用で使う方法で、どの作業が反復型なのかを先に洗い出しておくと、作るGemの数を絞り込めます。

作る前に決める4つの観点とプリメイドGemの扱い

Gemのカスタム指示は、ペルソナ・タスク・コンテキスト・形式という4つの観点で下書きすると、書き漏らしが見つけやすくなります。

公式ヘルプの「カスタム Gem 作成のヒント」は、「適切な Gem カスタム指示を作成するときに考慮すべき主な観点は、適切なプロンプトを作成するときと同じです。次の 4 つすべてを含める必要はありませんが、いくつかでも言及しておくと効果的です」として、ペルソナ・タスク・コンテキスト・形式の4つを挙げています(Gemini アプリで Gem の使用を開始する)。4つ全部を埋める必要はない、と公式が明言している点が実務では効きます。

ここで決めるのは、どの欄を厚く書くかです。出力の形がばらつくなら「形式」、話が脱線するなら「コンテキスト」、口調が合わないなら「ペルソナ」を厚くします。下の表は、公式の説明と、仮の例(週次レポート下書きGem)で実際に書いた文を並べたものです。

観点 公式ヘルプの説明 仮の例で実際に書いた文
ペルソナ 「Gem が担う役割と回答方法について Gem に伝えます」 あなたは社内広報の担当者です。断定を避け、事実と見通しを分けて書きます。
タスク 「Gemini にしてほしいことまたは作成してほしいものを Gem に伝えます」 貼り付けた数値メモを、社内向けの週次報告文に書き直してください。
コンテキスト 「できるだけ多くの背景情報を伝えます」 読み手は数値の詳細を追わない管理職です。前週との差が最大の関心事です。
形式 「必要な構成を指定する場合は具体的に伝えます」 結論1文、箇条書き3つ、来週見る指標1行。見出しと絵文字は使いません。

ゼロから書くのが重い場合は、用意済みのGemを土台にする手もあります。公式ヘルプは「上記の例を試してみたい場合は、Gemini ウェブアプリまたは Gemini モバイルアプリからプリメイド Gem を入手できます」と案内しています。ただし、Gemの使い方をまとめた公式ページには「現時点では、学習コーチのプリメイド Gem は言語学習をサポートしていません」という注記もあるため、語学用途で学習コーチを当て込む設計にはしないでください。

Gemを新規作成する手順とボタン表記のゆれ

Gemの作成は、パソコンのGeminiウェブアプリでGem一覧を開き、名前とカスタム指示を入れて保存するまでの操作です。

公式ヘルプ「Gemini アプリで Gem を使用する」の手順は、gemini.google.com にアクセスし、「サイドバーを開く」アイコンをクリックし、[Gem]をクリックし、[Gem を作成]をクリックし、Gemの名前とカスタム指示を入力し、必要なら[知識]の下にある「ファイルを追加」アイコンからソースを追加して、[保存]をクリックする、という並びです。

ここで1つ注意があります。同じ日本語版でも、もう一方の公式ページ「Gemini アプリで Gem の使用を開始する」では「左側にある [Gem を表示] [Gem を作成] を順にクリックします」と書かれており、一覧を開くボタンの表記が [Gem] と [Gem を表示] で食い違っています。どちらが現在の画面表記かはここでは断定せず、両方のページを併記します(Gem を使用する(パソコン)/Gem の使用を開始する)。実際の画面では、左側のサイドバーでGemの一覧に入る導線を探す、という読み方で足ります。

読者がここで決めるのは、どの端末で作業を始めるかです。公式ヘルプのモバイル版には「カスタム Gem は Gemini ウェブアプリでのみ作成、編集、削除できます。Gem の使用は、Gemini ウェブアプリとモバイルアプリで可能です」と明記されています(Gem を使用する(Android))。スマートフォンしか手元にない時間帯に作成まで終わらせる計画は立てないほうが安全です。

仮の例として、保存までに触った順番をそのまま書き出すと次のようになります。サイドバーを開く、Gemの一覧に入る、[Gem を作成]を押す、名前欄に「週次レポート下書き」と入れる、カスタム指示欄に前章の4観点をつなげた文を貼る、[保存]を押す。所要は数分で、この時点では知識ファイルをまだ付けていません。付けるかどうかは後の章で判断します。

なお、個人のGoogleアカウントでGemを作成・使用する条件として、公式ヘルプは「個人の Google アカウントで Gem を作成して使用するには、13 歳(またはお住まいの国の該当する年齢)以上である必要があります」と記載しています。年齢や地域の条件は公式ヘルプの記載をそのまま参照してください。

カスタム指示の完成例をそのまま読む(仮の例:週次レポート下書きGem)

カスタム指示とは、Gemを開くたびにGeminiへ自動的に渡される設定文で、書き方の説明ではなく完成した文そのものが成果物になります。

「こう書きましょう」という説明だけだと、実際に何行書けばいいのかが分かりません。ここでは仮の例として、前章までの判断を全部反映した完成形を、そのまま載せます。これをコピーして自分の業務語に置き換えれば、そのまま1本目のGemになります。

Gemの名前(仮の例)

週次レポート下書き(社内Slack向け)

カスタム指示の全文(仮の例)

あなたは社内広報の担当者です。私が貼り付ける週次の数値メモを、社内Slackに投稿する報告文へ書き直してください。読み手は数値の内訳を追わない管理職で、前週との差にいちばん関心があります。

出力は次の形にしてください。1行目に結論を1文。続けて箇条書きを3つ、それぞれ「指標名:今週の値(前週比の向き)」の順で書き、向きは増・減・横ばいの3語だけを使います。最後の1行に、来週いちばん見る指標を1つだけ書いてください。

守ってほしい条件です。私が渡した数値だけを使い、渡していない数値を補わないでください。値が欠けている指標は「データなし」と書いてください。原因の推測を書く場合は、推測であることが分かる語尾にしてください。見出し、絵文字、感嘆符は使いません。全体は300字以内に収めてください。

最初に私がメモを貼っていない場合は、書き直さずに「今週の数値メモを貼ってください」とだけ返してください。

この完成例で読者が持ち帰れる判断は3つあります。1つ目は、禁止事項(数値を補わない)を条件として明文化していること。2つ目は、欠損時の振る舞い(データなしと書く)を先に決めていること。3つ目は、入力がないときの返答まで指定していることです。この3つを書いておくと、出力のばらつきが減ります。

画像やSNS用の素材を作るGemを1本目にしたい場合は、同じ形で「形式」の欄だけ差し替えれば流用できます。構成の考え方はGoogle AIで画像アイデアを作る方法|SNS・ブログ画像の構成を整えるコツにまとめてあります。

「Geminiを使用して指示を書き換える」を使うか手書きするか

Geminiには、短く書いた目的文を、より詳しいカスタム指示へ膨らませる補助機能が用意されています。

公式ヘルプ「カスタム Gem 作成のヒント」は手順を「指示ボックスに 1~2 文で目的を入力します」「[Gemini を使用]をクリックして指示を書き換えます」「指示を確認して編集します」と示しています。なお、ボタンの表記はページによって異なり、もう一方の公式ページでは [Gemini を使用して指示を書き換える] と表記されたうえで、「少し入力した状態で [Gemini を使用して指示を書き換える] をクリックすると、Gemini アプリがほとんどのトピックに対してより包括的なカスタム指示を作成してくれます。生成された指示が表示されるまでに数秒かかることがあります」と説明されています(Gem を使用する(パソコン))。

ここでの判断は、書き換え結果をそのまま保存してよいかどうかです。目安を分けておきます。出力の形が決まっていない探索的なGem(アイデア出しなど)は、書き換えに任せたほうが観点が増えて得です。出力の形が決まっている業務Gem(前章の週次レポートなど)は、書き換え後に自分で削る前提で使います。膨らんだ指示は丁寧ですが、禁止事項が薄くなりやすいためです。

仮の例で、入力と手直しの結果を示します。入力は「社内Slack向けに、週次の数値メモを短い報告文へ直すGemを作りたい」の1文だけ。書き換え後に人間が直したのは次の3か所でした。第1に、勝手に追加されていた「改善提案を3つ添える」という指示を削除しました。渡していない情報から提案を作らせないためです。第2に、「プロフェッショナルなトーンで」という曖昧な指定を、「見出し・絵文字・感嘆符を使わない」という判定できる条件に置き換えました。第3に、文字数の上限が入っていなかったので300字以内を足しました。

手直しの基準は1つで、読んで真偽を判定できない指定は残さない、です。書き換え機能は言い回しを整えるのが得意ですが、何を書いてはいけないかは作り手しか知りません。

知識ファイルを付ける判断と公式ヘルプが示す上限

知識ファイルとは、Gemの[知識]セクションにアップロードして、そのGemとの会話で参照させる資料のことです。

操作は、[知識]の下にある「ファイルを追加」アイコンをクリックし、端末から入れるなら[ファイルをアップロード]、Googleドライブから入れるなら[ドライブから追加]を選びます。NotebookLMのノートブックを足す場合は[その他のアップロード]から[ノートブック]を選びます。公式ヘルプには「[知識] セクションが表示されていない場合は、下にスクロールしてください」という注記もあります(Gem を使用する)。

ドライブを使う場合は前提条件が2つあります。公式ヘルプいわく「Google ドライブからファイルを追加するには、[アクティビティの保存] をオンにし、Google Workspace を Gemini アプリに接続する必要があります」。そして接続後の挙動として「Google ドライブからファイルを追加した場合は、Gemini は最新バージョンのファイルを使用します。ファイルに変更を加えると、変更内容が Gem に反映されます」と書かれています。台帳や手順書のように更新が続く資料は、端末からのアップロードよりドライブ参照のほうが運用が楽になります。Workspace側の連携全体を把握したい場合はGeminiはGmailとGoogleドキュメントで仕事をどう変える?が参考になります。

回答に出典表示を出したくない場合は、「Gem の回答に知識ファイルの引用を含めたくない場合は、[知識の引用を無効にする] を選択します」と公式ヘルプが案内しています。選択すると、Gemとのチャットでアップロードしたファイルの引用も同時に無効になる点は把握しておいてください。

上限については、Gemのヘルプが「サポートされるファイル形式と制限をご確認ください」としてファイルアップロードのヘルプへ誘導しています。そのページに書かれている数値を、Gem設計の観点で読み直したのが次の表です(出典:Gemini アプリでファイルをアップロードして分析する、日本語版・英語版とも同じ数値を記載)。

確認したい項目 公式ヘルプに書かれている上限 Gemを設計するときの読み方
同一プロンプトのファイル数 最大10個(状況により制限がかかる場合がある) 1回の依頼で読ませる資料は10個までを前提に、章ごとに分けて渡す設計にする
1ファイルのサイズ 動画は1ファイル最大2GB、その他の対応形式はそれぞれ100MBまで 大きなPDFは分割してから登録し、100MBを超える資料は要約版を別途作る
動画の合計の長さ 合計5分まで。Google AI Pro またはGoogle AI Ultra で合計1時間まで 長い収録をそのまま渡さず、該当区間だけを切り出して登録する
音声の合計の長さ 合計10分まで。Google AI Pro またはGoogle AI Ultra で合計3時間まで 会議音声は文字起こし済みのテキストへ置き換えたほうが上限に当たりにくい
ZIPファイル 最大10個のファイルを含められ、上限は合計100MB。動画・音声は含められない 資料一式をまとめて渡す運用は、動画を外した構成にしておく
コードフォルダ・GitHubリポジトリ 1つのチャットに1つ、ファイル数は5,000個まで、サイズは合計100MBまで コード読解用のGemは、対象ディレクトリを絞ってから渡す
Geminiアプリの保存容量 保存できるデータ容量に上限があり、ドライブやWorkspaceの容量とは別枠 動画や写真を抱えたGemが増えると先に容量へ当たるため、使わないGemは整理する

ここで区別が必要なのは、これらが「同一のプロンプトに」と書かれた数値であって、1つのGemの[知識]に登録できるファイル数の上限としてそのページに明記されているわけではない、という点です。Gem単位の登録上限やカスタム指示の文字数上限は、今回参照した公式ページには記載が見当たりませんでした。数を積む運用を前提にする場合は、公式ヘルプで最新の記載を確認してください。無料の範囲でどこまで試せるかを先に見ておきたい場合は、Google AI無料活用ガイドが目安になります。

仮の例では、週次レポート下書きGemの[知識]に入れたのは、指標の定義をまとめたスプレッドシート1件と、過去4週分の投稿文を貼ったドキュメント1件だけでした。入れなかったのは、元データの生ログと、個人名が入った議事録です。前者は容量を食うわりに参照されず、後者は次章以降の共有で相手に見えてしまうためです。

保存前のプレビューで見る3つの観点

プレビューとは、Gemを保存する前に右側の入力欄からプロンプトを投げて、応答を試せる画面のことです。

公式ヘルプは「右側のテキスト ボックスに、Gem をプレビューするためのプロンプトを入力し、必要に応じてカスタム指示を編集します」と説明しています。そのうえで、作成のヒントをまとめた公式ページが見落としやすい注意を添えています。「プレビュー ウィンドウを使用しても Gem は自動的には保存されません」。試して満足したまま画面を離れると設定が残らないため、最後に[保存]を押す動作まで含めて1セットです。

プレビューで見るのは次の3つです。

  • 形式が指示どおりか。箇条書きの数、行の順番、禁止した記号が混ざっていないかを目で数えます。
  • 入力が足りないときの振る舞い。あえて何も貼らずに送り、指定した催促文が返るかを見ます。
  • 渡していない情報を補っていないか。数値を1つ抜いたメモを渡し、欠損として扱うか勝手に埋めるかを確認します。

仮の例では、3つ目で問題が出ました。数値を1つ抜いたメモを渡したところ、前週の値から推定した数字が入ってしまったため、カスタム指示に「値が欠けている指標は『データなし』と書いてください」の1行を足しています。前章の完成例にこの行が入っているのは、このプレビューの結果を反映したためです。1回のプレビューで1つ直す、くらいの粒度で回すと原因が特定しやすくなります。

通常のチャット・Gem・NotebookLM・APIの使い分け

同じ依頼でも、保存の必要性と資料の量によって、Gemが適する場合とそうでない場合が分かれます。

Gemは「指示を保存して繰り返す」ための道具です。資料を大量に読み込んで調べる作業はNotebookLMのほうが向きますし、自社のシステムに組み込むならアプリではなくAPIの領域になります。切り分けの基準を表にしました。

経路 向いている依頼 こちらへ切り替える合図
通常のGeminiチャット その場限りの調べ物、条件が毎回変わる相談 同じ前置きを打ち直す回数がまだ2回以下のとき
Gem(保存したカスタム指示) 形式が決まっていて繰り返す作業、他の人にも同じ形で使わせたい作業 同じ前置きを3回以上打った、または出力の形を統一したくなったとき
NotebookLM 手元の資料群を根拠に、出典をたどりながら読み解く作業 指示より資料の量が主役になり、どこに書いてあったかを追いたくなったとき
Gemini API 自社のツールやワークフローへ組み込む処理 人がブラウザを開く前提をやめ、処理を自動で回したくなったとき

NotebookLMを併用する場合は、共有まで見据えた注意が1つあります。公式の共有ヘルプに「NotebookLM のノートブックは、共有 Gems のソースとして使用できません」と明記されているためです(Gemini アプリで Gem を共有する)。自分専用のGemならノートブックを知識に足せますが、後からチームへ配る予定があるなら、最初からドライブのファイルで組んでおくほうが作り直しになりません。NotebookLM側の使い方はNotebookLMの使い方|資料整理・要約・音声概要まで解説、ドライブとの同期の挙動はNotebookLMとGoogle Driveを同期する方法|自動更新・手動同期・反映されない時の対処に分けてまとめています。

そもそもGeminiで組むか、別のAIで組むかを迷っている段階なら、GeminiとChatGPTの違いはどっち?無料で使うならどう選ぶ?で前提を決めてからのほうが手戻りが減ります。API側へ寄せる場合の考え方は、Gemini API料金の読み方2026|モデル別単価・キャッシュ・無料枠・試算で整理しています。

仮の例では、社内から来た3つの依頼を振り分けました。「週次報告の体裁を揃えたい」はGem、「契約書の束から該当条項を探したい」はNotebookLM、「問い合わせメールの一次仕分けを自動化したい」はAPI、という結論です。Gemに寄せすぎると、資料検索の精度も自動化も中途半端になります。

作ったあとの編集・更新・削除とモバイルでの制約

保存したGemは[マイ Gem]から呼び出し、内容の書き換えや削除ができます。

パソコンでは、Gemの一覧を開いて[マイ Gem]から対象をクリックし、編集を加えて送信アイコンを押します。削除はその他アイコンから[削除]です。モバイルの手順ページでは編集の確定が[更新]と表記されており、編集アイコンをタップしてから直す流れになっています(モバイル版の手順)。ただし前述のとおり、モバイル版ヘルプは作成・編集・削除をウェブアプリ限定と記載しているため、外出先での修正を前提にした運用は避けたほうが無難です。スマートフォン側の操作範囲はGeminiスマホアプリの使い方とは?初心者が今日から使える操作手順にまとめています。

公開範囲の話とは別に、利用できない場面も公式に書かれています。「現時点では、Gemini Live では Gem を使用できません」。音声で呼び出す前提の設計にはしないでください。また、「Google の利用規約(生成 AI の使用禁止に関するポリシーを含む)に違反する可能性があるとシステムが判断した場合、Gemini アプリによって Gem が削除されることがあります」とも記載されています。業務の中核を1本のGemだけに預けるより、カスタム指示の原文を手元のドキュメントにも残しておくほうが復旧が早くなります。

ここで決めるのは、改訂をどう追うかです。Gem側に版管理の機能があるという記載は、今回参照した公式ページには見当たりませんでした。そこで仮の例では、カスタム指示の冒頭に運用メモを1行だけ置いています。「改訂メモ:欠損値の扱いを追加(3回目の改訂)。原文は共有ドライブの運用フォルダに保存」。たった1行ですが、複数人が編集するGemでは、誰がどこを触ったかを追う起点になります。

Gemを共有する手順と、相手に渡る権限

Gemの共有とは、作ったGemを他のユーザーが使ったり編集したりできる状態にする操作です。

公式の共有ヘルプは冒頭で「Gemini アプリからであれば、Gem を共有し、他のユーザーが使用、編集できるようにすることが可能です」と説明しています。手順はGemの一覧を開き、対象のGemの横にある[共有]をクリックし、共有相手のメールアドレスを入力し、権限を1つ選び、[送信]または[共有]をクリックする流れです。任意の操作として[有効期限を追加]があり、通知メールに添えるメッセージの入力欄や、[通知]を外す選択肢も用意されています。

権限は2層あります。Gem本体に対する役割と、知識ファイルに対するアクセスレベルです。混同しやすいので分けて並べます。

設定する場所 選べる値 公式ヘルプに書かれているできること
Gemの共有相手の権限 編集者 Gemを他のユーザーと共有する、カスタム指示とアップロードしたファイルに変更を加える、Gemを削除する
Gemの共有相手の権限 閲覧者 共有したGemを使用する、カスタム指示とアップロードしたファイルを表示する
知識ファイルへのアクセス 閲覧者 ファイルに付与するアクセスレベルの選択肢として提示(ファイル側の権限の詳細は公式ヘルプの記載に従う)
知識ファイルへのアクセス 閲覧者(コメント可) 同じく選択肢として提示(この記事では権限の中身を断定しない)
知識ファイルへのアクセス 編集者 同じく選択肢として提示(ファイル自体を書き換えられる想定で渡す相手を選ぶ)

オーナーを移す操作も用意されています。公式の共有ヘルプは「重要: Gem のオーナー権限を譲渡すると、新しいオーナーはユーザーの Gem へのアクセス権を削除できるようになります」と注意しています。担当交代でオーナーを渡す場合は、自分のアクセスが失われる可能性を前提に、カスタム指示の原文を先に手元へ控えておいてください。

リンクで配る方法もあり、対象のGemの横の共有アイコンから[リンクをコピー]を選びます。ただし公式ヘルプは「他のユーザーが共有リンクから Gem にアクセスするには、Gem へのアクセス権が必要です」と補足しています。リンクを貼っただけでは開けない場合がある、という前提でアナウンス文を書いたほうが問い合わせが減ります。

仮の例で選んだ組み合わせは次のとおりです。共有相手は同じ部署の3名、役割は全員[閲覧者]、通知はオン、有効期限は四半期末の日付。編集者を1人も置かなかったのは、カスタム指示を書き換えられると出力の形が揃わなくなるためで、修正依頼はチャットで受けて作成者が反映する運用にしました。

共有前に確認したい知識ファイルとドライブ保存の扱い

共有したGemはGoogleドライブに保存され、知識ファイルの中身は、そのGemにアクセスできる相手から見える状態になります。

公式の共有ヘルプは重要事項として「Gem にアップロードした Gem カスタム指示とファイルは、Gem にアクセスできるすべてのユーザーが閲覧できます」と明記し、さらに「Gem にファイルをアップロードした場合、そのファイルを表示してほしくないユーザーとは Gem を共有しないでください」と踏み込んでいます。閲覧者であってもカスタム指示と知識ファイルは見える、という理解が出発点です。

保存先の挙動も押さえてください。公式ヘルプいわく「共有した Gem は、Google ドライブの新しいフォルダに保存されます」。そして「ユーザーの Gem へのアクセス権が削除されると、そのユーザーの Google ドライブから Gem が削除されます」とあります。ドライブ上の実体を探したいときは、Gemの一覧で対象の横の[その他]から[ドライブで探す]を使う導線が案内されています。

共有できる形式にも条件があります。「アップロードしたファイルを含む Gem は、デバイス ファイルまたは Google ドライブ ファイルとのみ共有できます。Gem の [知識] セクションに他のファイル形式がアップロードされている場合、Gem を共有することはできません」。前章で触れたNotebookLMのノートブックが該当します。

広い範囲へ開くかどうかも、ここで決めます。選択肢と説明を並べます(出典:Gem を共有する)。

一般的なアクセスの選択肢 公式ヘルプの説明 選ぶ前に確認すること
一般公開 GoogleでGemを検索してアクセスでき、Googleアカウントへのログインは不要。職場や学校のアカウントでは表示されないことがある カスタム指示と知識ファイルを社外の第三者が見ても支障がないかを先に判定する
リンクを知っている全員 リンクを知っている全員がGemを使用でき、Googleアカウントへのログインは不要 リンクの転送を止められない前提で、社内限定の資料を外しておく
組織内 職場や学校のアカウントで、組織のアカウントにログインしているユーザーであれば開ける 組織の全員に見せてよい内容かを、部署単位ではなく全社基準で見直す
非公開 アクセス権のあるユーザーだけがGemを開ける 個別に渡した相手の一覧を、四半期ごとに棚卸しできる形にしておく

仮の例では、共有の直前に知識ファイルを1件外しました。過去4週分の投稿文を貼ったドキュメントに、まだ公表していない施策名が残っていたためです。代わりに、指標の定義だけを抜き出した要約ドキュメントを新しく作って登録し直しました。共有の可否を決める作業は、権限画面ではなく知識ファイルの中身を読み直す作業になる、というのがここでの実感です。

仕事用・学校用アカウントで共有できないときに見る順番

職場や学校のGoogleアカウントでは、Gemの共有可否が組織の管理設定に左右されます。

共有アイコンが見当たらない場合、公式ヘルプは原因を2つ挙げています。「共有がサポートされていないファイル形式が Gem に含まれている」ことと、「組織の管理者が Gem の共有を無効にしている」ことです。順番としては、まず自分の[知識]セクションを見てノートブックなどが混ざっていないかを確認し、それが原因でなければ管理者側の設定を疑う、という流れになります。

管理者側の設定は、Workspace管理者向けヘルプに手順が書かれています。Google管理コンソールのメニューから生成AIの項目に入り、Geminiアプリの設定へ移動し、[Gem の共有]までスクロールして[ユーザーに Gem の共有を許可する]を選択し、保存します。操作には「Gemini の『設定』管理者権限」が必要で、組織部門やグループ単位で適用範囲を絞ることもできます。反映のリードタイムについては「変更が反映されるまでに最長で 24 時間ほどかかることがありますが、通常はこれより短い時間で完了します」と記載されています(Gem の共有を有効または無効にする)。

注意したいのは、無効化しても過去の共有が消えるわけではない点です。同じヘルプに「重要: この設定を無効にすると、Gemini アプリから Gem を共有できなくなります。ただし、以前に共有した Gem には、ドライブ内から引き続きアクセスして共有できます」とあります。加えて「共有された Gem は Google ドライブに保存・共有されるため、ドライブの共有設定は Gem にも適用されます」とも書かれており、組織外への共有を許可している環境では、Gemも組織外へ出せる状態になり得ます。

仮の例では、共有アイコンが出ない状況で、次の文面を管理者へ送りました。「Geminiアプリで作成したGemを、同じ部署の3名へ閲覧者として共有したいのですが、共有の導線が表示されません。知識ファイルは端末からアップロードしたスプレッドシート1件のみで、ノートブックは含めていません。管理コンソールの生成AI設定でGemの共有が有効かどうかをご確認いただけますか。反映に時間がかかる場合の目安も教えてください」。原因の切り分け(ファイル形式は問題ない)を先に書いておくと、往復が1回で済みます。

ここまでの記載は、今回参照した時点の公式ヘルプに基づくものです。管理設定の項目名や既定値は変わることがあるため、社内展開の直前には公式の管理者向けヘルプで最新の記載を確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q0. スキルが出てきた今、Gemを作っても無駄になりませんか。
公式はスキルがまもなくGemに代わると案内していますが、時期は「soon」とだけ書かれており、作成済みのGemの扱いも詳細は公式の移行ヘルプで確認が必要です。スキルがまだ画面にない環境では、Gemを作る手順は公式ヘルプに残っています。カスタム指示の原文を手元に保存しておけば、スキルへ移す場合にも作り直しの手間を減らせます。日本の個人アカウントでスキルが見えるかは確認できていないため、ご自身の画面で確かめてください。
Q1. スマートフォンだけでGemを作れますか。
公式ヘルプのモバイル向けページには、カスタムGemの作成・編集・削除はGeminiウェブアプリでのみ行えると記載されています。使うことはウェブアプリとモバイルアプリの両方で可能です。作成はパソコンで済ませ、外出先では呼び出して使う、という分担が現実的です。
Q2. カスタム指示は何文字まで書けますか。
今回参照した公式ページには、カスタム指示の文字数上限にあたる記載が見当たりませんでした。数値を推測で書くことは避けますので、長文の指示を前提にする場合は公式ヘルプで現在の記載を確認してください。実務上は、判定できない曖昧な指定を削るほうが、長さを詰めるより効果が出やすいです。
Q3. 知識ファイルを付けたGemを共有すると、相手に中身が見えますか。
公式の共有ヘルプは、アップロードしたカスタム指示とファイルはGemにアクセスできるすべてのユーザーが閲覧できると明記しています。閲覧者権限でも見えるため、見せたくないファイルが含まれているGemは、共有前に知識ファイルを差し替えてください。
Q4. 共有をやめたいとき、相手の手元からGemは消えますか。
共有したGemはGoogleドライブに保存され、アクセス権が削除されるとそのユーザーのドライブからGemが削除される、と公式ヘルプは説明しています。ただしオーナー権限を譲渡している場合は、新しいオーナーが自分のアクセス権を削除できる点にも注意が必要です。
Q5. プレビューで良い結果が出たのに、翌日開いたら設定が残っていません。
プレビューウィンドウを使っても自動保存はされない、と公式ヘルプが注意しています。試した内容を残すには、画面を離れる前に[保存]を押す操作が要ります。試行と保存を別の動作として覚えておくと取りこぼしが減ります。
Q6. 動画や音声を知識として読ませたいのですが、長さの制限はありますか。
ファイルアップロードの公式ヘルプには、動画は合計5分まで、音声は合計10分までと記載があり、Google AI ProまたはGoogle AI Ultra へのアップグレードでそれぞれ合計1時間・合計3時間まで延びると書かれています(ファイル形式とアップロードの制限事項)。長い素材は該当区間だけを切り出すか、文字起こしに置き換えるほうが扱いやすくなります。
Q7. Gemが突然使えなくなることはありますか。
公式ヘルプには、利用規約に違反する可能性があるとシステムが判断した場合にGemが削除されることがある、という記載があります。業務で使うGemは、カスタム指示の原文を手元のドキュメントにも保存しておくと、作り直しの時間を短くできます。

まとめ

Gemの作成そのものは短い操作で終わります。差が出るのは、カスタム指示に禁止事項と欠損時の振る舞いまで書けるか、知識ファイルを共有相手に見せてよい状態まで整理できるか、という2点でした。

なお、2026年10月13日からスキルの展開が始まり、Gemは将来スキルに置き換わる方向です。作る前に冒頭の節で現状を確認し、指示文の原文は手元にも残しておくと安心です。手を動かす順番としては、まず同じ前置きを3回以上打っている作業を1つ選び、4つの観点で下書きし、プレビューで形式・催促・情報の補完の3点を確かめてから保存します。共有はそのあとで十分です。知識ファイルを付けたまま配ると、権限画面ではなくファイルの中身が公開範囲を決めてしまいます。

この記事の数値と画面ラベルは、Googleの公式ヘルプに記載されている表現に沿っています。1つのGemに登録できるファイル数や文字数の上限のように、公式ページで確認できなかった項目は、推測せずにGemini アプリの公式ヘルプで最新の記載を確認してください。仕様や画面の表記は更新されることがあるため、社内へ展開する前の再確認をおすすめします。

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この記事を書いた人

株式会社S.Line 代表取締役。偏差値39から起業し、AIとSNSの活用で「普通の人」が成果を出す方法を発信。

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