Gemini 3.5 Flash-Liteは、Gemini APIで使えるFlash系モデルのひとつで、モデルIDはgemini-3.5-flash-lite、提供状態はStable(安定版)として公式ページに掲載されています。公式モデルページは、低レイテンシで費用を抑えやすいマルチモーダルモデルで、サブエージェントの処理や文書の読み取りといった高スループットの用途に向けて最適化されたモデルだと説明しています。入力は約105万トークン(1,048,576トークン)、出力は65,536トークンまでで、入力にはテキスト・画像・動画・音声・PDFを渡せます。
料金はGemini 3.5 Flashより低く設定されています。公式料金ページの2026年10月2日時点の表示では、Standardの有料枠で入力が100万トークンあたり0.30米ドル、出力(思考トークンを含む)が2.50米ドルです。この記事では、モデルページ・料金ページ・変更履歴の3つの公式ページで確認できた内容だけを使い、Flash-Liteの特徴、料金、Flashとの使い分けを整理します。公式ページに載っていない項目は、推測で埋めず「公式ページで未掲載」と書きます。
読み終えたときに、自分の用途にFlash-Liteが合うか、それともFlashを選ぶべきかを、公式の数字と条件で判断できる状態を目指します。ベンチマークの順位や他社モデルとの優劣は、公式ページで確認できていないため扱いません。
Gemini 3.5 Flash-Liteとは|公式の位置づけ
【完全無料】AI×SNSで成果を出す100大特典を受け取る
AIの使い方を、SNS運用の実務につなげたい方へ。LINEで特典の案内を受け取れます。
Gemini 3.5 Flash-Liteは、Googleが公式モデルページで「低レイテンシで費用対効果の高いマルチモーダルモデル」と説明している、サブエージェント処理や文書解析などの大量処理向けのGemini APIモデルです。
公式モデルページの冒頭には、次の趣旨の説明があります。Gemini 3.5 Flash-Liteは、サブエージェントのタスクとドキュメント解析に向けた、高スループットかつ低コストの実行に最適化された、低レイテンシで費用対効果の高いマルチモーダルモデルです。テキスト・画像・動画・音声・PDFの入力に対応し、大量のエージェント型ワークフロー、単純なデータ抽出、そしてレイテンシとAPI費用が最優先の制約になるアプリケーション向けに設計されている、と書かれています(Gemini 3.5 Flash-Liteの公式モデルページ、要約は筆者によるもので原文が正です)。
ここから読み取れるのは、Flash-Liteが「一つの難しい問いにじっくり答えるモデル」ではなく、「同じ種類の処理を大量に、費用を抑えて回すモデル」として位置づけられている点です。サブエージェントという言葉は、親となるエージェントが細かな作業を子のモデルに任せる構成を指します。たとえば、親が全体の計画を立て、子が1件ずつ文書を読んで要点を取り出す、といった分担です。この分担の「子」の側に、Flash-Liteが想定されています。
また、公式のモデル一覧ページ(Gemini API Models)でも、Flash-Liteは3.5世代のモデルの一つとして、高スループットの実行向けという説明が付いています。同じ一覧では、Gemini 3.5 Flashは「legacy Flash model」、つまり旧来のFlashモデルとして、ルーティン的で高スループットなワークロードに基礎的な速度と性能を提供すると説明されています。後述するとおり、公式ページ同士で3.5 Flashの説明文に差があるため、その点も併せて確認します。
なお、名前が似ているGemini 3.8 Flash-Lite TTSは、音声を生成する別のモデルです。テキスト生成用のFlash-Liteとは用途が異なるため、音声合成を調べている方はGemini 3.8 Flash TTSとは|音声生成の料金・言語・声の選び方を先に確認してください。
基本スペック|モデルID・入出力・トークン上限
Gemini 3.5 Flash-Liteの基本スペックは、モデルIDがgemini-3.5-flash-lite、入力トークン上限が1,048,576、出力トークン上限が65,536、出力形式がテキストのみ、という公式モデルページの表示のとおりです。
公式モデルページの仕様表に載っている項目を、そのまま整理します。この表の内容は公式モデルページの2026年10月2日時点の記載で、同ページのフッターには「Last updated 2026-07-30 UTC」、仕様表には「Latest update July 2026」と表示されていました。
| 項目 | 公式ページの記載 | 読み方のポイント |
|---|---|---|
| モデルコード | gemini-3.5-flash-lite | APIで指定する文字列。ハイフンの位置まで一致させる |
| 入力できるデータ | Text, Image, Video, Audio, and PDF | 文書・画像・音声をまとめて渡せる設計 |
| 出力 | Text | 画像や音声そのものの生成は別モデルの領域 |
| 入力トークン上限 | 1,048,576 | 長い資料を一度に渡せる上限の目安 |
| 出力トークン上限 | 65,536 | 1回の応答で返せる最大の長さ |
| バージョン | Stable: gemini-3.5-flash-lite | 公式にはStableのみ表示。Previewの別IDは記載なし |
| 最終更新 | July 2026 | モデルページ側の更新月の表示 |
| 知識のカットオフ | 公式ページで未掲載 | このモデルページの仕様表には項目がない |
この表で注意したいのは、入力上限と出力上限が別の数字であることです。入力の1,048,576トークンは「渡せる量」、出力の65,536トークンは「返してもらえる量」で、両方を合算した上限ではありません。長い議事録を要約するときのように、入力は大きく出力は小さい用途ではこの差は気になりませんが、長い文章を生成させる用途では出力側の上限がボトルネックになります。
知識のカットオフ日は、確認したモデルページの仕様表には載っていませんでした。「どの時点までの情報を知っているか」は用途によっては重要ですが、公式ページで確認できない以上、日付を推測して書くことはしません。最新情報が必要な処理には、検索によるグラウンディングのような仕組みを併用する設計を考えるのが現実的です。この仕組みについてはGoogle検索によるグラウンディングとは?Gemini APIの料金と仕組みで整理しています。
対応機能と非対応機能|公式の一覧で確認できること
公式モデルページでは、Flash-LiteはThinking・Function calling・Structured outputs・Code execution・Search grounding・Batch APIなどが「Supported」、Live API・画像生成・音声生成が「Not supported」と表示されています。
同じ公式モデルページの「Capabilities」と「Consumption options」の欄を、対応状況ごとに並べます。
| 区分 | 公式の表示 | 機能 |
|---|---|---|
| Supported | 対応 | Caching、Code execution、File search、Function calling、Grounding with Google Maps、Search grounding、Structured outputs、Thinking、URL context |
| Supported (Preview) | プレビューとして対応 | Computer use |
| Not supported | 非対応 | Audio generation、Image generation、Live API |
| Consumption options | 利用形態の対応 | Batch API、Flex inference、Priority inference がいずれもSupported |
この一覧のうち、実務で影響が大きいのは3点です。1つ目はFunction callingとStructured outputsに対応していること。アプリ側の関数を呼ばせたり、JSONなど決まった形式で結果を返させたりする処理が、Flash-Liteでも公式に対応と表示されています。使い方はGemini APIのFunction Calling入門|仕組み・書き方・料金とGemini APIの構造化出力とは|JSONスキーマ指定と使い方が参考になります。
2つ目はThinkingに対応している点です。ただし、Thinkingの段階(レベル)の選択肢や、レベルごとの挙動はモデルページの仕様表には書かれていません。思考の設定方法はGemini APIのThinkingとは|使い方・料金・モデル対応表を見たうえで、Flash-Liteで使える設定値は実際にAPIで試して確認するのが安全です。
3つ目はComputer useが「Supported (Preview)」である点です。プレビュー扱いなので、仕様や条件が変わる可能性があります。画面操作を自動化したい場合は、本番運用の前にGemini Computer Useとは|対応環境・安全機能・料金の考え方で条件を確認してください。
一方で、Live APIが非対応である点は見落としやすい項目です。リアルタイムの音声対話を作りたい場合、Flash-Liteは選択肢になりません。リアルタイム対話の対応モデルはGemini Live APIとは|対応モデル・料金・セッション制限で確認できます。
料金|Standard・Batch・Flex・Priorityの4つの表示
Gemini 3.5 Flash-Liteの料金は、公式料金ページで100万トークンあたりの米ドル建てとして、Standardの有料枠が入力0.30ドル・出力2.50ドル、Batchが入力0.15ドル・出力1.25ドルと表示されています。
料金は条件とセットで読まないと誤解が生じます。以下の金額は、Gemini API Pricing(英語版)の2026年10月2日取得分で、有料枠(Paid Tier)の単位は「per 1M tokens in USD」、つまり100万トークンあたりの米ドルです。入力は「text / image / video / audio」が同じ単価として表示され、出力は「including thinking tokens」、つまり思考トークンを含む単価です。
| 利用形態 | 入力(100万トークンあたり) | 出力・思考トークン込み(100万トークンあたり) | コンテキストキャッシュ |
|---|---|---|---|
| Standard | 0.30米ドル | 2.50米ドル | 0.03米ドル+保管料1.00米ドル/100万トークン/時間 |
| Batch | 0.15米ドル | 1.25米ドル | 0.02米ドル+保管料1.00米ドル/100万トークン/時間 |
| Flex | 0.15米ドル | 1.25米ドル | 0.02米ドル+保管料1.00米ドル/100万トークン/時間 |
| Priority | 0.54米ドル | 4.50米ドル | 0.05米ドル+保管料1.00米ドル/100万トークン/時間 |
この4つの違いは、処理の急ぎ方と待てる度合いにあります。公式料金ページには、Standard・Batch・Flex・Priorityの4つの料金表が並んでいます。それぞれの条件(応答までの待ち時間の目安、割当の扱いなど)の詳細は料金ページ本文だけでは足りないため、導入前に各機能の公式ドキュメントを確認してください。Batchの考え方はGemini Batch APIの使い方|非同期処理と50%割引の料金で整理しています。
無料枠(Free Tier)も確認できます。同じ料金ページのStandard欄では、Flash-Liteの無料枠は入力・出力ともに「Free of charge」と表示されています。一方で、無料枠のコンテキストキャッシュは「Not available」、Google検索によるグラウンディングも無料枠では「Not available」です。さらに「Used to improve our products」の行では、無料枠が「Yes」、有料枠が「No」となっています。つまり、無料枠で送った内容はGoogleのプロダクト改善に使われる設定が表示されている点は、社内文書や個人情報を扱う前に意識しておきたい条件です。
検索グラウンディングの料金は、Flash-Lite専用ではなく共通の表示です。公式料金ページには「5,000 free search requests per month (shared across all Gemini 3.x models), then $14 per 1,000 requests」とあり、月5,000件の無料リクエストはGemini 3.x系のモデルで共有され、その後は1,000件あたり14米ドルです。Flash-Liteを使う場合も、この枠は他のモデルと合算されます。料金全体の読み方はGemini API料金の読み方2026|モデル別単価・キャッシュ・無料枠・試算にまとめています。
Gemini 3.5 Flashとの違い|説明文と料金を並べて比較
Gemini 3.5 Flashとの違いは、公式料金ページ上でFlash-Liteの方が入力・出力の単価が低いことと、公式の説明文でFlash-Liteが高スループット・低コスト寄り、3.5 Flashが旧来のFlashと位置づけられている点です。
ここでは、公式ページで両方の値が確認できた項目だけを並べます。比較の根拠は公式料金ページとそれぞれのモデルページで、ベンチマークの得点や応答速度の実測値は公式ページで確認できていないため載せません。
| 項目 | Gemini 3.5 Flash-Lite | Gemini 3.5 Flash |
|---|---|---|
| モデルID | gemini-3.5-flash-lite | gemini-3.5-flash |
| Standard 入力(100万トークン・米ドル) | 0.30 | 1.50 |
| Standard 出力(思考トークン込み) | 2.50 | 9.00 |
| Standard キャッシュ | 0.03 | 0.15 |
| Batch 入力/出力 | 0.15/1.25 | 0.75/4.50 |
| 無料枠のBatch | Free of charge | Not available |
| 無料枠のコンテキストキャッシュ | Not available | Free of charge |
| 入力トークン上限/出力トークン上限 | 1,048,576/65,536 | 1,048,576/65,536 |
| モデルページの最終更新表示 | July 2026 | May 2026 |
数字を見比べると、Standardの入力単価は0.30ドル対1.50ドルで、Flash-LiteはFlashの5分の1の表示です。出力単価は2.50ドル対9.00ドルです。トークン上限は両モデルで同じ数字が表示されており、入力と出力の上限が理由でFlash-Liteを避ける必要は、公式ページの表示上はありません。
無料枠の違いは見落としやすい点です。Batchは、Flash-Liteの無料枠では「Free of charge」と表示される一方、3.5 Flashの無料枠は「Not available」です。反対にコンテキストキャッシュは、3.5 Flashの無料枠が「Free of charge」、Flash-Liteの無料枠が「Not available」です。検証段階でキャッシュを無料枠で試したいのか、Batchを試したいのかによって、使えるモデルが変わります。
説明文の食い違いにも触れておきます。モデル一覧ページでは3.5 Flashは「legacy Flash model」と書かれ、料金ページでは「Our earlier Flash model」と書かれています。一方、3.5 Flash自身のモデルページには「sustained frontier-level intelligence」を備え、サブエージェントの展開や複数ステップのワークフローに優れる、という趣旨の説明が残っています(Gemini 3.5 Flashの公式モデルページ)。公式ページ同士で表現に差があるため、この記事では3.5 Flashの性能を断定せず、「どちらのページにこう書かれている」という形で扱います。
費用の試算例|仮の例で単価の差を確かめる
費用は「入力トークン数×入力単価+出力トークン数×出力単価」で概算でき、公式の単価をそのまま掛けると、Flash-LiteとFlashの差を具体的な金額で見積もれます。
次の2つは、単価の差を確かめるための「仮の例」です。実在の事業や実績ではなく、トークン数も任意に置いた数字です。単価は公式料金ページの2026年10月2日取得分(有料枠・Standard・100万トークンあたり・米ドル)を使い、キャッシュや検索グラウンディングの料金は含めていません。
仮の例1は、入力100万トークン、出力20万トークンを処理するケースです。Flash-Liteは、入力が0.30ドル、出力が0.2×2.50=0.50ドルで、合計0.80ドルになります。3.5 Flashは、入力が1.50ドル、出力が0.2×9.00=1.80ドルで、合計3.30ドルです。同じ分量の処理で、単価の表示だけを比べると差が出ることがわかります。
仮の例2は、1,000件の文書から要点を抽出する処理です。1件あたり入力3,000トークン、出力300トークンと仮定すると、合計は入力300万トークン、出力30万トークンです。Flash-Liteでは、入力が3×0.30=0.90ドル、出力が0.3×2.50=0.75ドルで、合計1.65ドルになります。3.5 Flashでは、入力が3×1.50=4.50ドル、出力が0.3×9.00=2.70ドルで、合計7.20ドルです。同じ処理をBatchで行う場合は、Flash-Liteが入力0.15ドル・出力1.25ドルなので、3×0.15+0.3×1.25=0.825ドルとなります。
この計算で注意したいのは、思考トークンが出力側に含まれることです。Thinkingを使うと、画面に表示される回答の長さよりも多くのトークンが出力として数えられる場合があります。料金ページの出力欄に「including thinking tokens」と書かれているのはそのためです。試算の段階では、実際にAPIを呼んで返ってきた使用量のデータで、入出力のトークン数を確認してから金額を見積もってください。
もう一つの観点は、同じ処理を繰り返すときのコンテキストキャッシュです。Flash-Liteの有料枠では、キャッシュの読み出し側が0.03ドル、保管料が100万トークンあたり1時間1.00ドルと表示されています。長い共通の指示文や資料を何度も使い回す設計なら、キャッシュの条件を一度確認する価値があります。使い方と注意点はGemini APIのコンテキストキャッシュとは|料金・使い方・注意点で説明しています。
Flash-Liteが向く用途|公式が挙げる用途から考える
Flash-Liteが向く用途は、公式モデルページが挙げるサブエージェントのタスク、ドキュメント解析、単純なデータ抽出、大量のエージェント型ワークフローのように、同種の処理を大量に回す場面です。
公式ページが用途として明記しているのは、サブエージェントのタスク、ドキュメント解析、大量のエージェント型ワークフロー、単純なデータ抽出です。料金ページの説明文にも、大量のエージェント型タスク・翻訳・シンプルなデータ処理に向けた費用対効果の高いモデル、という趣旨の記載があります。この記載を、実務の場面に置き換えて整理します。
1つ目は、定型的な抽出です。たとえば、請求書や申込書のPDFから、日付・金額・宛名といった決まった項目を取り出し、JSONで返してもらう処理です。入力にPDFを渡せること、Structured outputsに対応していることが、公式の対応表から確認できます。出力の型を固定する方法は構造化出力の解説記事が参考になります。
2つ目は、分類やタグ付けです。問い合わせメールを種類ごとに仕分ける、レビューの内容を数種類のラベルに分けるといった処理は、1件あたりの入出力が短く、件数が多くなりがちです。公式料金ページで単価が低く表示されているモデルで回すと、件数が増えたときの費用の伸びを抑えやすくなります。ただし、分類の精度が自社の基準を満たすかどうかは、公式ページからはわかりません。自社データから抜き出した見本で、正解との一致を確かめる手順が必要です。
3つ目は、翻訳や要約の下処理です。料金ページが翻訳に言及しているため、多言語の文書を大量に処理する前段として使う設計が考えられます。たとえば、長文を短い要点にまとめる段階だけをFlash-Liteに任せ、最終的な文章の仕上げは別のモデルや人の確認に回す、という分担です。
4つ目は、ファイルを参照する処理です。モデルページではFile searchがSupportedと表示されています。ファイルの保存期間や料金は別の仕組みの条件で決まるため、Gemini APIのFile APIとは|使い方・保存期間・料金で条件を確認してから設計に組み込んでください。
5つ目は、コード実行を伴う小さな計算です。Code executionがSupportedと表示されており、表計算に近い集計や単純な検算をモデルに任せる使い方が想定できます。実行の制限や料金はGemini APIのCode Executionとは|使い方・料金・制限を確認してください。
Flashを選ぶ場面と、使い分けの考え方
使い分けの基本は、件数が多く1件あたりの処理が単純ならFlash-Lite、1件ごとの判断の質や推論の深さを優先するならFlashや上位のモデルを検討し、両方を同じ入力で試して選ぶことです。
公式のモデル一覧には、どの用途でFlashを選ぶべきかを一対一で示した対応表はありません。そのため、使い分けの結論は公式の説明文と単価から導いた判断の目安であり、品質の優劣を示すものではない点をご承知ください。判断の軸は、費用・処理の複雑さ・失敗したときの影響の3つです。
費用の軸では、公式料金ページの単価を前提に、処理件数が多いほどFlash-Liteの単価差が効いてきます。前節の仮の例2では、同じ1,000件でもFlash-Liteが1.65ドル、3.5 Flashが7.20ドルでした。これを1日に何度も回す、あるいは数十万件に広げるといった場面では、単価の差が積み上がります。
処理の複雑さの軸では、1件ごとに複数の資料を照らし合わせて判断する、長い推論の連鎖が必要になる、といった処理はFlash-Liteの公式説明(高スループット・単純なデータ抽出)とは方向が違います。こうした処理では、まずFlashや後述の新しい世代のモデルで品質を確かめ、そのうえで費用を下げたい部分だけをFlash-Liteに移す順序が現実的です。
失敗したときの影響の軸では、誤りが顧客への案内や金額の計算に直結する処理ほど、出力の確認工程を厚くします。モデルの単価が低いからといって、確認工程を省く理由にはなりません。逆に、下書きや社内の整理用途のように、人が最後に目を通す前提の処理は、Flash-Liteでの大量処理と相性がよいと考えられます。
なお、Googleは新しい世代のモデルも提供しています。変更履歴には、2026年7月21日にGemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-LiteがGAになったこと、Gemini 3.6 Flashは「lower price point than 3.5 Flash」という趣旨で3.5 Flashより低い価格帯だと説明されていることが載っています。Gemini 3.8 FlashについてはGemini 3.8 Flashとは?できること・制限・旧世代Flashとの違いで整理しています。モデルを選ぶときは、Flash-LiteとFlashの二択ではなく、新しい世代も含めて、同じ見本データで比べる手順が現実的です。
提供状態の経緯|GAの日付と変更履歴
Gemini 3.5 Flash-Liteは、公式の変更履歴で2026年7月21日にGemini 3.6 Flashとともに一般提供(GA)になったと記載されており、現在はStableとして掲載されています。
Gemini APIの変更履歴(英語版)には、2026年7月21日の項目として「Gemini 3.6 Flash and Gemini 3.5 Flash-Lite generally available (GA)」があります。そこでは、最新の3.x Flashモデルの安定した本番向けバージョンを公開した、としたうえで、Gemini 3.5 Flash-Lite(gemini-3.5-flash-lite)を、大量の自動化向けの低レイテンシで費用対効果の高いサブエージェントの選択肢だと説明しています。この記事で確認した範囲では、プレビュー期間の有無や、それ以前の提供開始日は、取得したページから読み取れませんでした。
もう一つの項目は、2026年9月1日の「Agentic video understanding」です。変更履歴では、Gemini 3.7 Flash、3.6 Flash、3.5 Flash-Lite向けに、Interactions APIとGenerateContent APIでエージェント型の動画理解を公開した、と書かれています。モデルが動画のタイムラインを動的にたどり、必要に応じて文字起こし・フレーム・音声トラックを取得する方式で、長尺コンテンツでは静的な処理に比べて最大88%少ないトークンで済む、という趣旨の説明です。この「88%」は公式が示す条件付きの数字であり、自社の動画で同じ削減が得られるとは限りません。動画を扱う場合は、実際の素材で使用量を測ってください。
変更履歴の2026年5月19日の項目には、gemini-3.5-flashがGA版として公開されたことが書かれています。Flash-LiteのGAはその約2か月後にあたります。この日付の差は、2つのモデルがいつから安定版として使えるかを知る手がかりになります。
提供状態の確認で大切なのは、Stableの表示があっても、すべての機能が同じ成熟度ではない点です。Flash-LiteでもComputer useはPreviewと表示されています。モデル全体の状態と、個々の機能の状態は別に確認してください。
日本語版と英語版の差、公式ページで未掲載の項目
日本語版と英語版の公式ページで確認できた範囲では、Flash-Liteの料金の数字は一致しており、説明文の表現に差があるものの、知識のカットオフ日などは両方で未掲載です。
公式ページは言語版によって、内容や更新状況が違うことがあります。そこで、料金ページについては日本語版と英語版の両方を取得して照合しました。Standard・Flex・Priorityの有料枠の入力・出力・キャッシュの数字は一致していました。日本語版は単位を「100万トークンあたり、米ドル」と表示し、英語版は「per 1M tokens in USD」と表示しており、意味は同じです。Batchの行も、日本語版と英語版で数字が一致していました。
モデル一覧ページには差がありました。日本語版のモデル一覧では、3.5 Flashが「以前のFlashモデル」、Flash-Liteが高スループットの実行向けの3.5モデルとして説明されています。英語版と同じ趣旨ですが、訳語の選び方は異なります。説明文の表現に差があるときは、英語版を原文として扱い、日本語版は翻訳として参照するのが安全です。
次の表は、導入判断に必要そうでありながら、確認した公式ページに載っていなかった項目の一覧です。載っていない項目は、推測で埋めずに、利用前に公式の別ページか実機で確認してください。
| 確認したい項目 | この記事での扱い | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 知識のカットオフ日 | 公式ページで未掲載 | モデルカード(モデルページからリンク)を確認する |
| Thinkingの選択肢(段階の名称) | 公式ページで未掲載 | Thinkingの公式ドキュメントと実際のAPI応答で確認する |
| 1分あたりのリクエスト上限などのレート制限 | 公式ページで未掲載(今回は確認していない) | AI Studioの利用状況画面や公式のレート制限ページで確認する |
| 応答速度の実測値 | 公式ページで未掲載 | 自社の入力で計測する |
| 他社モデルとの性能比較 | 扱わない | 公式ページでは確認できない |
こうした表を作る目的は、わからないことを「わからない」と記録しておくことです。記事や社内の資料で、確認できていない事柄を断定すると、後から訂正が必要になります。未掲載の項目は、確認した日付とともに残しておくと、次に公式ページが更新されたときの差分を、公式の変更履歴と照らして確認するのに役立ちます。
使い始める手順|モデルIDの指定から検証まで
使い始めるには、Google AI StudioでAPIキーを用意し、リクエストのモデル名にgemini-3.5-flash-liteを指定し、小さな見本データで出力と使用量を確認してから本番の件数へ広げます。
公式モデルページには「Try in Google AI Studio」のリンクがあり、ブラウザ上で試せる入口になっています。コードから使う場合に押さえる要点は、次の4つです。
1つ目は、モデル名の指定です。APIの呼び出しでは、モデルコードとして公式モデルページに書かれているgemini-3.5-flash-liteを指定します。Stableの表示がある文字列を使い、別名や略称は使いません。2つ目は、無料枠と有料枠の切り替えです。前述のとおり、無料枠の入力は製品改善に使われる設定が表示されています。実際の業務データを流す前に、有料枠で使う設定になっているかを確認してください。
3つ目は、見本データでの確認です。次のような「仮の例」の手順を、小さく試します。仮の例として、社内の問い合わせメール30通を用意し、「問い合わせの種類」「緊急度」「次の対応」の3項目をJSONで返すよう指示します。返ってきた結果を人が見て、正解と合っているかを数えます。同時に、1通あたりの入力・出力のトークン数を記録し、前節の式で費用を見積もります。品質と費用の両方を、同じ30通で測ることがポイントです。
4つ目は、同じ見本データで3.5 Flashなど別のモデルとも比べることです。Flash-Liteの出力が基準を満たすなら、単価の低いモデルのまま本番に進めます。満たさないなら、モデルを切り替えるか、指示文や出力形式の設計を見直します。指示文を直しても改善しない部分だけを上位のモデルに回す、という二段構えも考えられます。
ここまでの手順は、モデルの選び方というより、AIを業務に入れるときの検証の型です。AIの出力をそのまま外部に出さない、数値や固有名詞は人が確認する、確認した内容を記録する、という運用を組み込めば、モデルを入れ替えても検証の手順は使い回せます。
導入前に確認したいチェックポイント
導入前には、用途の適合・データの扱い・費用の上限・機能の成熟度・モデルの更新への備えの5点を、公式ページの記載と自社の見本データで確認します。
最後に、導入前の確認事項を5つに整理します。公式の記載に基づく部分と、自社で確かめるべき部分を分けています。
用途の適合では、処理の種類が公式の挙げる用途(サブエージェント・文書解析・単純な抽出・大量処理)と近いかを見ます。近くない場合は、Flash-Liteの採用を前提にせず、他のモデルと同じ条件で比べます。データの扱いでは、無料枠が製品改善に使われる表示である点を踏まえ、機密や個人情報を含む入力は有料枠で扱う、そもそも外部のAPIに送ってよい種類のデータかを社内で決める、という整理が必要です。
費用の上限では、使用量の見通しを立てたうえで、想定を超えたときに止める仕組みを用意します。検索グラウンディングは公式料金ページで月5,000件の共有枠を超えると1,000件あたり14米ドルがかかる条件とされているので、検索を併用する設計では、リクエスト数の増え方にも注意が必要です。機能の成熟度では、Computer useのようなPreview表示の機能を、本番の必須要件にしないことが基本です。
モデルの更新への備えでは、モデルIDを設定ファイルに切り出しておくと、将来のモデル入れ替えが楽になります。公式のモデル一覧には、古いモデルへのアクセス制限や、新しいプロジェクトで使う最新モデルの案内が載っています。2026年10月2日時点では、新規プロジェクト向けの案内として「3.5 Flash-Lite or 3.8 Flash」が挙げられていました。案内は将来変わる可能性があるため、導入のたびに最新のモデル一覧を見直してください。
この5点は、Flash-Liteに限らず、新しいモデルを業務に取り入れるときに共通して使えます。Googleのモデルと周辺の機能をまとめて学びたい方は、Gemini API料金の読み方2026から、料金と無料枠の見方を押さえておくと、モデル選びの判断が速くなります。
よくある質問(FAQ)
- Q1. Gemini 3.5 Flash-Liteのモデルコードは何ですか?
gemini-3.5-flash-liteです。公式モデルページに、バージョンとして「Stable: gemini-3.5-flash-lite」と表示されています。Previewの別のコードは、確認したページには載っていませんでした。- Q2. 料金はいくらですか?
- 公式料金ページの2026年10月2日取得分では、Standardの有料枠が100万トークンあたり入力0.30米ドル、出力(思考トークン込み)2.50米ドルです。Batchは入力0.15米ドル、出力1.25米ドルと表示されています。最新の金額は公式料金ページで確認してください。
- Q3. 無料で試せますか?
- 公式料金ページのStandard欄では、無料枠の入力・出力が「Free of charge」と表示されています。ただし、無料枠は「Used to improve our products」が「Yes」と表示されているため、機密や個人情報を含む入力には向きません。無料枠の利用上限の数字は、確認したページでは見つかりませんでした。
- Q4. 画像や音声を生成できますか?
- 公式モデルページでは、Image generationとAudio generationはNot supportedです。出力はテキストのみと表示されています。画像や音声を入力として渡すことは、入力形式にImage・Audioが含まれているため可能です。
- Q5. Gemini 3.5 Flashとどちらを選べばよいですか?
- 公式ページに一対一の選び方は書かれていません。大量で単純な処理や費用を抑えたい処理ならFlash-Lite、1件ごとの判断の質を優先するならFlashや新しい世代のモデルを検討し、同じ見本データで出力と費用を比べて決めるのが現実的です。
- Q6. リアルタイムの音声対話に使えますか?
- 公式モデルページでLive APIがNot supportedと表示されているため、Flash-Liteはリアルタイムの音声対話の用途には使えません。対応モデルは、Live APIの公式ページで確認してください。
- Q7. 知識のカットオフ日はいつですか?
- 確認した公式モデルページの仕様表には項目がなく、公式ページで未掲載です。最新の情報が必要な処理では、検索グラウンディングなどを併用する設計を検討してください。
まとめ|Flash-Liteは大量処理向け、選ぶ前に同じ見本で比べる
Gemini 3.5 Flash-Liteは、モデルIDがgemini-3.5-flash-liteのStableモデルで、公式には低レイテンシで費用対効果の高い、サブエージェントや文書解析などの高スループット用途向けと説明されています。入力1,048,576トークン・出力65,536トークン、入力はテキスト・画像・動画・音声・PDF、出力はテキストのみです。Thinking・Function calling・Structured outputs・Code execution・Search groundingなどに対応し、Live API・画像生成・音声生成は非対応、Computer useはPreviewと表示されています。
公式料金ページの2026年10月2日取得時点では、Standardの有料枠が入力0.30米ドル・出力2.50米ドル(100万トークンあたり)で、3.5 Flashの1.50米ドル・9.00米ドルより低い表示でした。ただし、無料枠のデータ利用条件、キャッシュやBatchの無料枠の違い、検索グラウンディングの共有枠など、料金表の細部で条件が分かれます。知識のカットオフ日やレート制限のように公式ページで未掲載の項目は、推測で補わず、利用前に確認してください。
実際の選び方は、自社の見本データを同じ条件でFlash-Liteと別のモデルに通し、品質と費用を並べて決める手順が現実的です。AIモデルの最新情報やAI×SNSの活用に関する特典は、下のLINEからまとめて受け取れます。
あわせて読みたい・姉妹メディア
