Gemini APIのManaged Agentsとは|Preview機能の拡張点と本番前の確認事項(2026年10月確認)

Google Gemini APIのManaged Agentsを本番運用向けに拡張 2026最新【2026年最新】のアイキャッチ
📅 公開日: 2026年7月8日🔄 最終更新: 2026年10月12日

Gemini APIのManaged Agentsとは?本番で使う前に何を確認するか
Managed Agentsは、1回のAPI呼び出しでGoogle側のLinuxサンドボックスを用意し、その中でエージェントが推論・コード実行・ファイル操作・Web閲覧を進める仕組みです。Gemini API公式のAgents overviewでは、現在はPublic Previewと案内されています。

2026年7月28日の公式ブログで、実行前後のフック、トークン予算の上限、スケジュール実行などが加わりました。本番に使うかどうかは、Preview段階であることと、バージョン管理が未対応であることまで含めて判断します。

「Gemini APIでエージェントを動かしたいが、Managed Agentsは何が用意されていて、どこまで本番に任せられるのか」と迷っていないでしょうか。

Managed Agentsは、Gemini APIのInteractions APIから呼び出す機能として、Google公式のドキュメントで案内されています。この記事は、公式ページで確認できる範囲に絞って書いています。確認日は2026年10月12日です。

この記事では、仕組み、最初の呼び出し、環境の寿命、認証情報、フック、費用の見積もり方、スケジュール実行、Previewならではの制約を順に整理します。公式に書かれていない機能・数値・上限は載せていません。

  • Managed Agentsが何を提供し、何は自分で用意するのか知りたい
  • 最初の1回をどう呼び出し、保存して再利用するのか知りたい
  • 秘密情報・外部通信・費用を、どの設定で制御できるのか知りたい
  • Previewの機能を業務で使う前に、何を決めておくべきか知りたい
岡田颯太
岡田颯太

AIエージェントは、任せる範囲と人が確認する場面を先に決めておくと、扱いやすくなります。まずは公式の手順で一度動かして、挙動を確かめてみてください。

目次

この記事でわかること

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  • Managed Agentsとは何か・全体像
  • 提供開始から現在までの経緯と提供状態
  • Interactions APIでの最初の呼び出し方
  • 環境(Environment)の仕組みと保持期間
  • 管理エージェントの保存と呼び出し
  • 認証情報とネットワークの設計
  • フックによる実行前後の見張り
  • 費用とトークン上限の考え方
  • 本番に使う前の制約と確認事項

Managed Agentsとは何か・全体像

Managed Agentsとは何か・全体像の要点を整理した図解
Managed Agentsとは何か・全体像の要点を整理した図解

Managed Agentsは、Gemini APIの1回の呼び出しでGoogle側のLinuxサンドボックスを用意し、エージェントが自分で計画してコード実行やファイル操作を進める機能です。Gemini API公式のAgents overviewでは、2026年10月12日の確認時点でPublic Previewと案内されています。

図解は、役割を定義する、ツールを接続する、運用を管理する、本番で使うか判断する、という4つの段階で全体を示しています。Managed Agentsの公式ドキュメントも、ほぼ同じ順序で読み進められます。

最初の「役割を定義する」段階では、エージェントの指示文を書きます。公式の管理エージェントの作成ページでは、system_instructionと、環境に置くAGENTS.mdの2通りが紹介されています。両方を置いた場合は、どちらも適用されると説明されています。

次の「ツールを接続する」段階では、標準のツールに加えて、リモートのMCPサーバーや自分で定義した関数をつなぎます。標準で有効なのは、コード実行、Google検索、URLコンテキストの3つです。

3つ目の「運用を管理する」段階が、この記事の中心です。認証情報の預け方、外部通信の許可先、フックによる実行前後の検査、トークン上限といった設定がここに当たります。

4つ目の「本番で使うか判断する」段階では、Previewである点、バージョン管理が未対応である点、フックの限界などを踏まえて、任せる範囲を決めます。図解の下段にある権限設計、失敗時の復旧、人の確認点も、この判断の材料です。

Managed Agentsが自動で解決してくれるのは、サンドボックスの用意と実行のループです。何を許可し、どこで人が確認し、失敗したときにどう戻すかは、使う側が設計します。この切り分けを最初に押さえておくと、以降の設定項目を読むときに迷いにくくなります。

提供開始から現在までの経緯と提供状態

Managed Agentsは2026年5月19日にGemini APIとGoogle AI Studioでpreviewとして提供が始まり、7月28日の拡張を経て、9月17日にAntigravity Agentの新しい版が公開されています。Gemini API公式のchangelogで日付を確認できます。

日付と出来事を、公式ページの記載に沿って並べると次のとおりです。確認日は2026年10月12日で、各行の出典は右端の列にリンクしています。

日付 公式ページに書かれている内容 出典
2025年12月11日 Interactions APIが、モデルとエージェントを扱う共通の入口として公開された。同日にDeep Researchエージェントがpreviewで公開された changelog
2026年5月19日 Managed Agents in the Gemini APIがpublic previewで提供開始。Antigravity Agentも同日にpreviewで加わった 公式ブログ、changelog
2026年6月 Interactions APIが一般提供(GA)となり、新規プロジェクトで推奨される入口になった Interactions API overview
2026年7月28日 既定モデルがGemini 3.6 Flashになり、環境フック、予算上限、スケジュール実行、無料枠での利用、Environments APIが加わった 公式ブログ
2026年9月17日 Antigravity Agent 09-2026が公開された。旧版のantigravity-preview-05-2026は10月5日に終了と記載されている changelog
2026年10月8日 Deep Researchエージェントの旧版deep-research-pro-preview-12-2025が、2026年10月23日に終了すると告知された deprecations

この表から読み取れる点が2つあります。1つ目は、機能追加と版の入れ替えが数か月単位で続いていることです。名称に「preview」が付いたエージェントIDは、終了日が決まると新しい版への切り替えが必要になります。

2つ目は、既定のモデルが変わっていることです。7月28日の公式ブログは既定をGemini 3.6 Flashと記しています。一方、現在のドキュメントではAntigravity Agentの既定はGemini 3.8 Flashです。コードでagent_configにモデルを明示しておけば、既定の入れ替えに挙動を左右されにくくなります。

Google I/O 2026でのエージェント関連の発表を、モデルや料金の変化と合わせて整理した記事は、Google I/O 2026 AIエージェント 全貌にまとめています。

最初の1回を動かす:Interactions APIの呼び出し方

Managed Agentsの最初の1回は、Interactions APIのPOST /v1beta/interactionsに、agent、input、environmentの3項目を渡して呼び出します。項目名はGemini API公式のManaged Agents quickstartで確認できます。

クイックスタートでは、エンドポイントはhttps://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/interactionsで、APIキーはx-goog-api-keyヘッダーで渡します。エージェントには、現在の汎用エージェントであるantigravity-preview-09-2026を指定し、environmentに"remote"を渡すと新しいサンドボックスが用意されます。

POST https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/interactions
x-goog-api-key: $GEMINI_API_KEY

{
  "agent": "antigravity-preview-09-2026",
  "input": "調べたい内容や、作ってほしいファイルの指示",
  "environment": "remote"
}

上の例は、クイックスタートに載っている項目名だけで組んだ最小構成です。実際にはSDK(Python、JavaScript、Java、Go)経由でも呼び出せます。

レスポンスのInteractionオブジェクトで、最初に見る項目は4つです。idは会話の続きに使う識別子、environment_idはサンドボックスの識別子、output_textは最終的な回答、stepsは推論・ツール呼び出し・コード実行の履歴です。

2回目以降の呼び出しでは、状態が2つに分かれて管理されます。会話の文脈はprevious_interaction_id、ファイルやパッケージなどの環境の状態はenvironmentに環境IDを渡して引き継ぎます。クイックスタートには、組み合わせの例として次の2つが挙がっています。

  • 会話は引き継がず、ファイルだけ残したい場合:previous_interaction_idを省き、環境IDをenvironmentに渡す
  • 会話は引き継ぎ、作業場所は新しくしたい場合:previous_interaction_idを渡し、environmentは"remote"にする

会話が長くなった場合は、約135kトークンの付近で自動の圧縮(コンパクション)が働くと、同じクイックスタートに記載されています。利用者側の操作は要りません。

途中経過を画面に出したいときは、stream: trueを指定します。ステップごとの差分が流れ、step.stopイベントに使用量の集計が含まれます。環境内で作られたファイルは、現時点ではSDKのメソッドがなく、files/environment-{環境ID}:downloadへのHTTPリクエストでtarアーカイブとして受け取る手順になっています。

入力できる形式にも制限があります。Antigravity Agentの公式ページでは、入力はテキストと画像のみで、画像はインラインのbase64文字列で渡すと説明されています。PDFや音声を直接渡す設計にしたい場合は、この点が先に確認すべき条件になります。

環境(Environment)の仕組みと保持期間

環境(Environment)は、エージェントが作業するサンドボックスのことで、ファイルやインストールしたパッケージを保持します。保持期間や読み込み元の上限は、Gemini API公式のEnvironmentsページに定められています。

環境の指定方法は3通りです。"remote"は新しい環境、環境IDは既存の環境の再利用、設定オブジェクトは読み込み元やネットワーク規則を付けた新しい環境を意味します。

環境のライフサイクルは、公式ページで次のように整理されています。

状態 公式ページに書かれている挙動
作成 "remote"または設定オブジェクトを渡したときに用意される
稼働中 Interactionを実行している間
アイドル 15分の無操作で、自動でスナップショットが取られて停止する
オフライン 最後に稼働してから7日間は保持され、環境IDで再開できる
削除 7日の保持期間が過ぎるか、手動で削除したときに消える

表のとおり、環境に置いた成果物は、7日を過ぎると消える前提で扱います。残したいファイルは、環境から取り出して自分の保管先へ移す運用にしておく必要があります。Agents overviewにも、非稼働が7日続くと環境が完全に削除されると書かれています。

環境には、作成時にファイルを読み込ませられます。読み込み元の種類と上限は次のとおりです。

  • Gitリポジトリ(repository):500MBまで
  • Cloud Storage(gcs):2GBまで
  • インライン(inline):1ファイルあたり1MB、合計2MBまで

取り込み先(target)にルート(/)は指定できないため、サブディレクトリを指定します。標準のOSはUbuntuで、Python 3.12とNode.js 22が入っており、pipやnpmで追加したパッケージは、同じ環境IDを使い続ける間は残ります。

環境の一覧・取得・削除は、Environments APIで行えます。使い終わった環境を早めに削除すると、不要なデータを保持し続けるリスクを減らせます。

管理エージェントとして保存して呼び出す

管理エージェントは、基盤となるエージェント、モデル、指示、ツール、環境の設定をPOST /v1beta/agentsで保存し、IDで呼び出せるようにしたものです。設定項目はGemini API公式のBuilding managed agentsに一覧があります。

公式ページには、カスタマイズの方法が2つ紹介されています。1つは、保存せずにInteractionごとに設定を渡す方法です。もう1つは、設定を管理エージェントとして保存し、IDで呼び出す方法です。2つの違いを、公式の記載から整理します。

比較する点 Interactionごとに設定を渡す 管理エージェントとして保存する
事前の登録 不要 必要(idとbase_agentが必須項目)
モデルの変更 呼び出しごとにagent_configで指定できる 作成時に固定され、呼び出し時には上書きできない
環境の扱い 呼び出しごとに指定する 呼び出しのたびに基底の環境から複製され、毎回まっさらな状態で始まる
呼び出し時に上書きできる項目 すべて自由に指定できる system_instruction、tools、環境のネットワーク設定

保存する場合の設定項目は、id、description、base_agent、agent_config、system_instruction、tools、base_environmentです。このうちidとbase_agentが必須で、base_agentに使えるのは現時点でantigravity-preview-09-2026だけと記載されています。

idはGoogle Cloudのプロジェクト内で一意にします。gemini-、google-、antigravity-、veo-、kaggle-などの予約された接頭辞は使えません。

作り方も2通りです。base_environmentにファイルやリポジトリなどの読み込み元を指定して作る方法と、環境を先に対話的に整えてから、その環境IDを元に複製して保存する方法があります。後者は、パッケージのインストールや前処理を済ませた状態を、そのまま基底として使いたい場合に向いています。

環境に置くファイルには、長めの指示を書いた.agents/AGENTS.mdと、手順書にあたる.agents/skills/<スキル名>/SKILL.mdがあります。AGENTS.mdは起動時に自動で読み込まれると公式ページに記載されています。コードと一緒にバージョン管理したい指示は、こちらに置く構成が公式の例に沿っています。

保存した管理エージェントの数には、上限が1,000と記載されています。削除すると設定だけが消え、すでにある環境やInteractionには影響しません。

モデルは、保存時にagent_configで選びます。公式ページに挙がっているのは、Gemini 3.8 Flash(既定)、Gemini 3.6 Flash、Gemini 3.5 Flash-Liteの3つです。Gemini API公式のモデル一覧は、Gemini 3.8 Flashを長期的なソフトウェア開発や自律型エージェント向けのモデルと説明しています。Gemini 3.5 Flash-Liteは、大量処理を高速・低コストで行うための3.5世代のモデルと説明されています。

モデルの世代差や切り替えの確認点は、Gemini 3.5 Flashの性能と活用事例|現行Gemini 3.8 Flashとの違いと切り替えの確認点で扱っています。

認証情報とネットワークの設計

認証情報は、外部サービスのトークンなどをサーバー側に預け、IDで参照する仕組みです。サンドボックスの外にある出口のプロキシが、通信の時点で値を差し込みます。仕様はGemini API公式のCredentialsページにまとまっています。

エージェントに外部のAPIを呼ばせたいとき、トークンをそのまま指示文や環境変数に書くと、エージェントから読めてしまいます。公式ページでは、通常の文字列として渡した環境変数は、サンドボックス内のあらゆる処理から読めると説明されています。設定値には使えますが、秘密情報の置き場にはしない、というのが公式の案内です。

そこで、認証情報として預けます。作成はPOST /v1beta/credentialsで、種類は3つあります。

  • bearer_token:ヘッダー名や接頭辞を指定して、トークンを付ける。更新の仕組みはない
  • oauth2:クライアントID、クライアントシークレット、リフレッシュトークン、トークンURLを渡す。作成時に実際にトークン交換を試し、成功した場合だけ保存される
  • environment_variable:環境変数に差し込む。injection_location(header、query、body)の指定が必要で、trusted_domainsの設定が推奨されている

秘密の値は書き込み専用で、どのエンドポイントも値を返しません。レスポンスに含まれるのは、IDや種類などのメタデータだけです。

参照の仕方で中心になるのが、ネットワークの許可リスト(environment.network.allowlist)です。許可リストを設定すると、載っているドメインだけに外部通信が許されます。"network": "disabled"を指定すれば、外部通信を完全に止められます。許可リストを設定しない場合の既定は、制限なしです。

許可リストの書き方には、見落としやすい点があります。公式のEnvironmentsページによると、*.example.comはexample.comそのものにはマッチしません。ルートのドメインも使うなら、別の行として足す必要があります。

値を入れ替えたいときは、PATCH /v1beta/credentials/{id}で更新します。更新は次にプロキシが値を解決する時点から有効になり、許可リストやツール側の参照を書き換える必要はありません。反対に、認証情報を削除すると、それを参照していた許可リストの行・ツール・環境変数は解決に失敗します。削除する前に参照を外します。

フックで実行前後を見張る

フックは、エージェントがサンドボックス内でコードを実行したりファイルを変更したりする前後に、自分のスクリプトや外部のHTTPリクエストを走らせる仕組みです。Gemini API公式のHooksページが、設定方法と限界を説明しています。

用途として、公式ページは3つを挙げています。高リスクなシェルコマンドや制限したいファイルの読み取りをブロックする、ファイル変更後に整形やテストを走らせる、実行後のテレメトリを外部の監視へ送る、の3つです。

イベントは2種類あります。pre_tool_executionはツール実行の前に動き、allowかdenyを返せます。拒否された場合、ツールは実行されず、理由がモデルに返るため、エージェントは別の方法を試せます。post_tool_executionは実行後に動き、判断は無視されます。

設定は、環境内の.agents/hooks.jsonに書きます。ハンドラーの種類はコマンドとHTTPの2つで、どちらも既定のタイムアウトは30秒です。HTTPのハンドラーは、先に説明したネットワークの許可リストに載せる必要があり、ループバックのアドレスは使えません。

本番で使うときに特に押さえたいのが、次の3つの限界です。

  • 失敗時は許可になる:(Hooksページの記載)スクリプトの異常終了、HTTPの非2xx、タイムアウト、解釈できない出力は、すべてallowとして扱われます。フックが壊れても処理が止まらない設計である反面、検査が働かないまま実行が進むことがあります
  • 対象のツールが限られる:公式ページが対象にしているのは、コード実行とファイル系のツールです。カスタム関数と外部のMCPツールは対象外と書かれています
  • 書き換えられる可能性がある:書き込み権限のあるエージェントは、書き込み可能な作業場所にあるフックのファイルを変更できます。公式ページは、フックを厳密な強制ではなく、運用上のガードレールと位置づけています。強く守りたい設定は、読み取り専用のリポジトリから読み込ませる方法が案内されています

したがって、削除や外部送信のように取り返しのつかない操作は、フックだけに頼らず、権限そのものを絞る設計が前提になります。認証情報のスコープを狭くする、許可リストに載せるドメインを減らす、といった層と組み合わせます。

Hooksページの例として、コマンドにrm -rfが含まれていたら拒否する安全の門、/private/配下のファイルの閲覧を拒否するプライバシーの門、ファイル操作後に監視先へ記録を送る監査の記録、の3つが紹介されています。なお、一部の言語のサンプルには、ドキュメント上のツール名と一致しないマッチャーが使われている箇所があります。コピーして使うときは、本文に挙がっているツール名と照合してください。

費用とトークン上限の考え方

Managed Agentsの費用は、基盤となるGeminiモデルのトークンとツールの利用に対する従量課金で、環境の計算資源はPreviewの間は課金されないと案内されています。根拠はGemini API公式の料金ページです。

料金ページの「agents」の項では、Managed agentsのモデル推論は標準のGemini料金で課金され、環境の計算(CPU、メモリ、サンドボックスの実行)はプレビュー期間中は課金されないと記載されています。プレビュー期間がいつまでか、終了後にどんな料金になるかは、このページには書かれていません。

見積もりの難しさは、1回のInteractionが複数の推論ループを回す点にあります。Agents overviewは、1回のInteractionで通常10万〜300万トークンを消費することがあると説明しています。

この幅を、公式料金ページのモデル別の単価に当てはめた計算例が次の表です。条件は、Gemini Developer APIの有料枠、Standard、100万トークンあたりのUSD、2026年10月12日の確認時点の表示です。Gemini 3.8 Flashの価格は2026年12月31日までの表示で、それ以降は料金ページの価格欄で確認してください。

モデル 10万トークンがすべて入力の場合 10万トークンがすべて出力の場合 300万トークンがすべて入力の場合 300万トークンがすべて出力の場合
Gemini 3.8 Flash(入力$0.75、出力$3.75) 約$0.075 約$0.375 約$2.25 約$11.25
Gemini 3.5 Flash-Lite(入力$0.30、出力$2.50) 約$0.03 約$0.25 約$0.90 約$7.50

この表は、入力だけ、出力だけという両端を示した計算で、実際の1回の費用はその間のどこかになります。キャッシュされたトークンの扱いや、Google検索のグラウンディングなどツール側の料金は含めていません。出力の単価には思考トークンも含まれます。概算の上限を知る目安として使い、実際の請求は利用状況の画面で確かめてください。

費用の暴走を抑える機能が、max_total_tokensです。Antigravity Agentの公式ページでは、agent_configに指定すると、入力・出力・思考のトークンの合計に上限をかけられると説明されています。キャッシュされたトークンは含まれません。上限に達するとステータスはincompleteになり、上限は厳密ではなく、わずかに超える場合があると記載されています。

公式の例にある上限50,000トークンを、先ほどの単価に当てはめてみます。すべて出力だった場合でも、Gemini 3.8 Flashなら約$0.19です。上限値の決め方は、まず小さめの値で試し、incompleteになる頻度を見ながら調整する進め方になります。

無料枠についても公式に記載があります。Agents overviewによると、管理エージェントは無料枠のプロジェクトでも使え、無料枠用のレート制限と利用枠があります。なお、Interactionの保存期間は、Interactions APIのページで、有料枠が55日、無料枠が1日と案内されています。

モデル選びの観点で、複雑な推論が必要な場合にPro系を検討する読者もいるかもしれません。ただし、管理エージェントのagent_configで公式に挙がっているのは、先に挙げたFlash系の3つです。Pro系との違いは、Gemini 3.1 Proとは|特徴・API料金・Flashとの使い分けで確認できます。

バックグラウンド実行とスケジュール実行

バックグラウンド実行は、backgroundをtrueにして長い処理を非同期で走らせる方法で、すぐに返るInteractionのIDを使って状況を確かめます。Gemini API公式のBackground executionページに手順があります。

通常のリクエストは、おおむね60秒で接続が閉じると、同ページに書かれています。エージェントが数分かかる作業をする場合は、接続が切れても作業が続くように、バックグラウンド実行を使います。

状態は5種類で、in_progress(実行中)、requires_action(クライアントの入力待ち)、completed(完了)、failed(失敗)、cancelled(キャンセル済み)です。公式の例では、5秒間隔でGETを繰り返し、in_progressでなくなるまで待ちます。実行中のInteractionにはキャンセルを送れます。

ストリーミングで進捗を見ている途中に接続が切れた場合は、最後に受け取ったevent_idをlast_event_idに渡すと、続きから再開できます。会話をつなぐprevious_interaction_idは、in_progressのInteractionに対して使うと400エラーになるため、completedになってから使います。管理エージェントの会話をつなぐときは、environmentも一緒に渡します。

バックグラウンド実行には、Interactionの保存が必要です。Interactions APIのページによると、既定はstore=trueで、store=falseとは両立しません。

決まった時刻に動かしたい場合は、スケジュール実行(トリガー)を使います。Antigravity Agentのページでは、次の仕様が説明されています。

  • cron形式のスケジュールで、タイムゾーンはIANA形式で指定する
  • 状態はactive、paused、disabledの3つ
  • 連続失敗の許容回数(max_consecutive_failures)の既定は5、1回の実行時間の上限(execution_timeout_seconds)の既定は600秒
  • 実行のたびに同じ環境を使うため、ファイルが実行をまたいで残る
  • 一時停止中でも手動で実行できる

人がいない時間に動くため、認証情報はトークンを直接書く方法ではなく、保存した認証情報を使うことが推奨されています。環境が7日で消える点との兼ね合いで、毎回の成果物は実行ごとに外へ持ち出す設計にします。

音声での対話のように、低遅延の入出力が必要なエージェントは、Managed Agentsではなく別の入口を検討します。公式ブログを踏まえたLive API側の整理は、Gemini 3.8 Liveとは|できること・料金・Live APIでの使い方にまとめています。

本番に使う前に確認したい制約

Managed AgentsはPublic Previewで、バージョン管理、入れ子のサブエージェント、名前付きエージェントのモデル変更などが、2026年10月12日の確認時点でまだ使えないと記載されています。根拠はGemini API公式のBuilding managed agentsです。

7月28日には、実行前後のフック、予算上限、スケジュール実行といった運用向けの機能が加わりました。ただし、公式の位置づけは現在もPreviewです。Agents overviewは、機微な業務で頼る前に、エージェントの行動と出力を確認するよう案内しています。

公式の記載から読み取れる制約を、設計への影響とあわせて整理します。

制約・注意点 公式ページの記載 設計で決めておくこと
提供段階 Public Preview。機能やスキーマは変わる場合がある 変更を受け入れられる業務か。止まったときの代替手段があるか
バージョン管理 管理エージェントのバージョン管理とロールバックは未対応 指示ファイルと設定をGitで管理し、戻せる状態を自分で作る
エージェントIDの版 旧版は終了日が決まる(antigravity-preview-05-2026は2026年10月5日に終了と記載) deprecationsページで、使っているIDの終了日を定期的に確認する
入れ子のサブエージェント 未対応 役割分担は、1つのエージェントの指示とスキルで表現する
入力形式 テキストと、インラインbase64の画像のみ 他の形式の資料は、事前に変換してから渡す
環境の保持 非稼働が続くと7日で削除 成果物は実行ごとに外部へ保存する
フックの限界 失敗時は許可。MCPとカスタム関数は対象外。書き換えられる場合がある 権限・許可リスト・認証情報の範囲を絞る
費用の見通し 1回で10万〜300万トークンを消費することがある。環境の計算はPreviewの間は課金されない トークン上限を設定し、Preview終了後の料金の記載を定期的に確認する

この表で、最初に決める価値が高いのは、失敗したときの戻し方です。バージョン管理がないことと、フックが失敗時に許可へ倒れることを合わせると、「設定を戻せる」「勝手に外へ出られない」の2点は、自分の側で保証する設計になります。

外部への書き込みを伴う業務では、エージェントの出力をそのまま反映しない運用が安全です。公式の注意書きにも、生成されたコード、データの変換、設定の変更は、本番に反映する前に確認するよう記されています。

設計の判断例(架空の社内要約エージェント)

設計の判断例とは、ここまでの設定項目を、1つの仮の業務に当てはめて、どの設定で何を守るかを決めた完成形のことです。以下は架空の例で、設定項目の名前と仕様はGemini API公式のBuilding managed agentsに基づいています。

仮の例:架空のチームが、週ごとの問い合わせ記録のCSVを読み込み、傾向を要約したレポートを作る管理エージェントを作るとします。ここに出てくる名前や値はすべて例示で、実在のチームや実績を示すものではありません。

決める項目 この例での判断 理由と公式の根拠
モデル Gemini 3.5 Flash-Lite 定型の集計と要約が中心で、大量処理を低コストで回す用途と公式のモデル一覧が説明しているため。管理エージェントのモデルは保存時に固定される
ID inquiry-summarizer 予約された接頭辞(gemini-など)で始めない
指示 長い方針はAGENTS.mdに、1回ごとの違いはsystem_instructionに置く AGENTS.mdは起動時に自動で読み込まれ、Gitで管理できる
ツール コード実行のみに絞る 標準ではGoogle検索とURLコンテキストも有効なので、今回の業務に不要なものは外す
ネットワーク 外部通信を無効にする("network": "disabled") CSVはインラインではなくGCSから読み込むため、実行中に外へ出る必要がない
トークン上限 仮の値として50,000を設定 公式の例にある値。incompleteになる頻度を見て調整する
成果物 実行のたびに環境から取り出し、チームの保管先へ移す 環境は非稼働が続くと7日で削除される
人の確認 レポートは担当者が目を通してから共有する 公式が、本番で頼る前に出力の確認を案内している

この仮の例の結果として、エージェントは外部に通信できず、使えるのはコード実行だけという最小の構成になります。権限を絞った分、できることは減りますが、取り違えやフックの失敗が起きたときの影響範囲も小さくなります。

ここから、もし外部のサービスに結果を送りたくなった場合の判断の流れも示します。まず許可リストに送信先のドメインだけを追加し、トークンは認証情報として預けて、IDで参照します。次に、送信前の確認を人の工程として残すかを決めます。MCPやカスタム関数はフックの対象外なので、送信の可否は権限の側で絞ります。

実際に動かしたあとは、stepsの履歴で、どのツールがどの順に呼ばれたかを確認します。想定外のツールが呼ばれていれば、toolsの絞り込みや指示文を見直す材料になります。

Google Cloud側のエージェント基盤との切り分け

Gemini APIのManaged Agentsは、APIキーで呼び出す開発者向けの入口です。Google Cloudには別に、企業向けのGemini Enterprise Agent Platformがあります。入口の違いは、2026年5月19日の公式ブログでも触れられています。

同ブログは、Managed AgentsがGemini APIとGoogle AI Studioで提供される一方、企業はGemini Enterprise Agent Platform上でもpreviewとして使えると説明しています。Agent Development Kit(ADK)などのフレームワークで作ったエージェントを展開する構成は、Google Cloud側の系統で扱われます。

Google Cloudのドキュメントには、Scale your agentsというページがあります。このページでは、Agent Runtimeを、エージェントを基盤の管理なしに展開・運用・拡張するための、完全マネージドの環境と説明しています。対応するフレームワークとして、Agent Development Kit、Agent2Agent、LangChain、LangGraph、AG2、LlamaIndex、独自のエージェントが挙がっています。

Gemini APIのAgents overviewにも、エージェントのフレームワークとして、LangChain・LangGraph、LlamaIndex、CrewAI、Vercel AI SDK、Google ADKなどのガイドへのリンクがあります。ただし、これらはManaged Agentsそのものではなく、自分でループを組む場合の選択肢です。

使い分けの考え方を、公式の記載から整理します。

見る点 Gemini APIのManaged Agents Google CloudのAgent Runtime
主な入口 Interactions API、Google AI Studio Gemini Enterprise Agent Platformのドキュメントに沿ったデプロイ
エージェントの作り方 Antigravity Agentを土台に、指示・スキル・環境を設定する ADKなどのフレームワークで作ったエージェントを展開する
提供段階 Public Preview(Agents overview) Scale your agentsのページには提供段階の記載がない

Google Cloudのプロジェクト管理や権限の仕組みにすでに組み込まれている組織は、Cloud側の基盤を先に確認すると合う場合があります。APIキーで素早く試し、サンドボックスの用意を任せたい場合は、Managed Agentsが入口になります。どちらが優れているという比較は、公式ページには書かれていません。

本番前の確認チェックリスト

本番前の確認チェックリストは、ここまでの公式の仕様を、設計・運用・費用・停止時の4つの観点で、導入前に自分の環境に当てはめるための一覧です。各項目の根拠は、本文で示した公式ページにあります。

導入を決める前に、次の問いに答えられるかを確かめます。答えが曖昧な項目は、小さく試して挙動を観察してから、任せる範囲を広げます。

観点 確認する問い 参照する公式ページ
設計 エージェントに許すツールは、業務に必要なものだけに絞れているか Building managed agents
設計 外部通信は許可リストか無効化で制限しているか。*.example.comがルートに一致しない点を踏まえているか Environments
設計 秘密情報は認証情報として預け、環境変数の文字列には置いていないか Credentials
運用 フックが失敗時に許可になる前提で、権限側の絞り込みを併用しているか Hooks
運用 指示ファイルと設定をGitで管理し、戻せるようにしているか(バージョン管理は未対応) Building managed agents
運用 使っているエージェントIDの終了日を確認したか Deprecations
費用 トークン上限を設定し、料金ページの適用条件と期限を確認したか Pricing
停止時 環境が消えても成果物が残る保存先と、失敗時に人が引き継ぐ手順があるか Agents overview

チェックリストの各項目を通過しても、Previewの機能であることは変わりません。仕様の変更に追従できる体制を持てる業務から始める、という点が、公式の位置づけに沿った進め方です。

よくある質問(FAQ)

Q1. Managed Agentsは、Gemini APIに実在する機能ですか。
A. はい。2026年10月12日に、Gemini API公式のAgents overviewとchangelogで確認しました。2026年5月19日にpublic previewとして提供が始まり、現在もPublic Previewです。
Q2. Managed Agentsは本番の業務で使ってよいですか。
A. 公式はPreviewと位置づけ、機微な業務で頼る前にエージェントの行動と出力を確認するよう案内しています。バージョン管理が未対応である点も踏まえ、止まっても影響の小さい業務から試し、成果物は人が確認してから反映する運用が合います。
Q3. Managed AgentsとDeep Researchは同じものですか。
A. 同じ枠組みの別のエージェントです。Agents overviewでは、汎用のAntigravity Agentと、複数段階の調査をまとめるDeep Researchが、利用できるエージェントとして並んでいます。Deep Researchの旧版deep-research-pro-preview-12-2025は、deprecationsページで2026年10月23日に終了すると記載されています。
Q4. 使えるモデルは何ですか。
A. Building managed agentsでは、agent_configで選べるモデルとしてgemini-3.8-flash(既定)、gemini-3.6-flash、gemini-3.5-flash-liteが挙がっています。名前付きの管理エージェントでは、呼び出し時にモデルを上書きできません。
Q5. 無料で試せますか。
A. Agents overviewによると、無料枠のプロジェクトでも使え、無料枠用のレート制限と利用枠があります。有料枠の料金は料金ページで、適用条件と期限を確かめてください。
Q6. 環境のファイルはいつまで残りますか。
A. Environmentsページでは、15分の無操作で停止してスナップショットが取られ、最後に稼働してから7日間は環境IDで再開できます。7日を過ぎると削除されるため、成果物は外へ保存します。
Q7. 秘密のトークンは、どう渡すのが公式の想定ですか。
A. 認証情報として預け、IDで参照する方法です。Credentialsページによると、値は書き込み専用で、出口のプロキシが通信時に差し込みます。通常の環境変数の文字列は、サンドボックス内から読めます。
Q8. Vertex AIやAgent Development Kitで作るエージェントは、Managed Agentsと同じものですか。
A. 別の系統です。Google Cloud側の基盤の現在の記載は、Scale your agentsのページを入口に、Gemini Enterprise Agent Platformのドキュメントで確認してください。この記事では、Google Cloud側の機能や設定値は、確認できたページの範囲を超えて扱っていません。

用語集

用語 説明 出典
Managed Agents 1回のAPI呼び出しでLinuxサンドボックスを用意し、エージェントが推論・コード実行・ファイル操作・Web閲覧を進める、Gemini APIの機能 Agents overview
Antigravity Agent Managed Agentsの汎用エージェント。現在のIDはantigravity-preview-09-2026 Antigravity agent
Interactions API モデルとエージェントを同じ形で呼び出す入口。2026年6月にGAとなった Interactions API overview
環境(Environment) エージェントが作業するサンドボックス。ファイルやパッケージを保持する Environments
AGENTS.md / SKILL.md 環境に置く、長い指示と手順書のファイル。起動時などに自動で読み込まれる Building managed agents
フック(Hooks) ツール実行の前後にスクリプトやHTTPを走らせる仕組み。実行前に許可・拒否を返せる Hooks
認証情報(Credentials) サーバー側に預けるトークンなど。書き込み専用で、IDで参照する Credentials
max_total_tokens 入力・出力・思考のトークンの合計に上限をかける設定。キャッシュは含まない Antigravity agent

まとめ

Gemini APIのManaged Agentsは、サンドボックスの用意と実行のループをGoogleに任せ、使う側は指示・ツール・権限・費用の設計に集中できる機能です。2026年10月12日の確認時点では、Public Previewです。

この記事で整理した要点は、次の4つです。

1つ目は、公式に実在する範囲で設計することです。Managed Agentsは、Interactions APIから呼び出し、環境・認証情報・フック・トークン上限で運用を管理します。

2つ目は、権限を絞る層を重ねることです。フックは失敗時に許可へ倒れ、MCPやカスタム関数は対象外です。ツール、許可リスト、認証情報の範囲を先に絞ります。

3つ目は、戻せる状態を自分で作ることです。バージョン管理が未対応のため、指示ファイルと設定をGitで管理し、成果物は環境の外へ保存します。

4つ目は、費用と版の入れ替えを追うことです。トークン上限を設定し、料金ページの適用条件と、deprecationsページの終了日を定期的に確認します。

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※本記事は2026年10月12日に公式ページで確認した内容です。

料金・機能・仕様は変更される場合があります。

実装や契約の前に、各公式ページで現在の記載をご確認ください。

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この記事を書いた人

株式会社S.Line 代表取締役。偏差値39から起業し、AIとSNSの活用で「普通の人」が成果を出す方法を発信。

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